第1930回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(6) レアル・マドリッド、ホームで辛勝、決勝トーナメントへ
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■今まで2回の対戦はいずれもパリで第2戦
今季のチャンピオンズリーグのグループリーグで屈指の好カードとなったパリサンジェルマンとレアル・マドリッド(スペイン)の対戦、中盤戦の第3節と第4節に連戦することになり、パリでの第1ラウンドは10月21日に行われ、スコアレスドローとなった。
これまで両チームは2回対戦しているが、いずれもマドリッドで第1戦が行われており、1992-93シーズンのUEFAカップ準々決勝ではマドリッドで1-3と敗れたが、パリで4-1と見事に逆転勝ち、1993-94シーズンのカップウィナーズカップ準々決勝ではマドリッドで1-0と勝利し、パリでは0-0と逃げ切っている。いずれもパリサンジェルマンはホームアンドアウエー方式において第2戦をホームで戦うというアドバンテージをいかしてレアル・マドリッドを下したが、今回は初めて第2戦をアウエーで迎える。
■勝利すれば決勝トーナメント進出決定の可能性のある両チーム
これまで2回はノックアウトステージでの対戦、今回はグループリーグでの対戦と状況は異なるものの、ホームで引き分けたパリサンジェルマンはマドリッドでは引き分け以上を狙いたいところである。シャフタール・ドネツク(ウクライナ)がマルメ(スウェーデン)に勝利した場合、レアル・マドリッド-パリサンジェルマン戦の勝者は2節を残して早々と決勝トーナメント進出を決めることができる。
■攻勢のパリ、ズラタン・イブラヒモビッチがブレーキ
パリでの対戦の後に両チームは国内リーグの試合を戦ったが完勝し、両チームとも今期は国内外の公式戦で無敗という成績を残している。
ここまでの3試合でレアル・マドリッドは無失点である。その堅守をパリサンジェルマンが崩すことができるかどうかが注目の的である。そのパリサンジェルマンの攻撃陣はズラタン・イブラヒモビッチ、そしてエディンソン・カバーニに加え、今季はアンヘル・ディマリアがレアル・マドリッドから加入した。ディマリアにとっては移籍3か月でマドリッドで試合を行うことになった。
試合は勝ち点3を狙うパリサンジェルマンが積極的に攻める。右サイドのディマリア、左サイドのカバーニからクロスが次々と供給されるが、イブラヒモビッチは得点チャンスを逃してしまう。
■幸運な決勝点をあげたレアル・マドリッド、無失点で決勝トーナメント進出を決定
前半の36分に先制点を奪ったのはレアル・マドリッドであった。トニ・クロースのロングシュートがパリサンジェルマンの選手に当たり、転がったところをレアル・マドリッドのDFナチョがボレーシュート、本来ならばゴールを守っているべきパリサンジェルマンのケビン・トラップはスリップしていてゴールは無人となっていた。
パリサンジェルマンにとっては不運な失点であったが、ここであきらめることなく、後半も攻め続ける。パリのファンにとって今でも語り継がれる、1993年のパルク・デ・プランスでの大逆転劇、その再現を願うファンの思いも伝わらず、試合は1-0のままレアル・マドリッドが勝利する。レアル・マドリッドは公式戦無敗を続け、パリサンジェルマンは今季の公式戦で初めての黒星を喫したのである。
またグループAのもう1つの試合ではここまで3連敗だったシャフタール・ドネツクがホームでマルメを4-0と圧倒、この結果、勝ち点を10に伸ばしたレアル・マドリッドは決勝トーナメント進出を決める。第4節が終了した時点で決勝トーナメント進出を決めているのは、レアル・マドリッド以外にグループDのマンチェスターシティ(イングランド)とグループHのゼニト・サンクトペテルブルクだけである。
レアル・マドリッドについて特筆すべきは第4節が終了した時点で32チームの中で唯一無失点であるということである。ゼニト・サンクトペテルブルクは4失点、マンチェスターシティも5失点している。レアル・マドリッドに次いで失点数が少ないのはパリサンジェルマンの1、以下にこのグループAの両雄の戦いがハイレベルかを物語っているのである。(この項、終わり)