第1931回 世界王者のドイツと 対戦(1) 恐喝事件でメンバーから外れたカリム・ベンゼマとマチュー・バルブエナ

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■強豪相手と連戦する11月のフランス

 9月、10月、11月と代表チームは2試合ずつ国際試合を行う。10月までは基本的に欧州選手権予選でグループIに入ったチームと対戦してきた。したがって、フランスと力量に差のあるチームとの対戦も含まれていたが、11月以降は両チームの実力、イメージに合致した国との対戦をすることができる。また11月に試合を行うと次の代表の試合は3月まで予定されておらず、11月の連戦を終えたところで一区切りとなる。
 この11月のインターナショナルマッチデーにフランスはドイツ、イングランドというアングロサクソン系の強豪と試合を行う。11月13日にスタッド・ド・フランスでドイツ、17日にロンドンのウェンブリーでイングランドと戦う。さながら来年の欧州選手権の決勝トーナメントをイメージしたような戦いとなる。

■ディディエ・デシャン監督の発表した23人

 この連戦に向けてディディエ・デシャン監督は11月5日に23人のメンバーを発表した。  GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、ブノワ・コスティル、DFはパトリス・エブラ、クリストフ・ジャレ、エリアキム・マンガラ、バカリ・サーニャ、ママドゥ・サコー、ラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、ルカ・ディーニュ、MFはヨアン・カバイエ、ラッサナ・ディアラ、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、モルガン・シュナイデルラン、ムーサ・シソッコ、FWはハテム・ベンアルファ、キングスレー・コマン、アンドレ・ピエール・ジニャック、オリビエ・ジルー、アントワン・グリエズマン、アントニー・マルティアルというメンバーである。
 10月のアルメニア、デンマークとの連戦と比べると6人が入れ替わった。まず第3GKは10月に初めて代表入りしたアルフォンス・アレオラがメンバーから外れ、コスティルが復帰した。DF陣はブノワ・トレムリナス、クルト・ズーマが外れ、コシエルニー、ディーニュがメンバーに入った。そしてMFはメンバーに入れ替えはなく、FWはカリム・ベンゼマ、ポール・ジョルジュ・ヌテップ、マチュー・バルブエナに代わって、ハテム・ベンアルファ、コマン、アンドレ・ピエール・ジニャックがメンバーに入った。

■チームメイトのマチュー・バルブエナ相手に恐喝事件を起こしたカリム・ベンゼマ

 守備陣の選手については控え選手が入れ替わった形であり、中盤に関してはメンバー入れ替え無しということで落ち着いた人選となった。ところが、攻撃陣に関しては大幅な入れ替えとなった。これはベンゼマが恐喝をした疑いで警察の事情聴取を受け、検察当局に起訴されるという事件が起こったからである。恐喝の対象はチームメイトのバルブエナである。恐喝された側のバルブエナも試合に出場できる精神状況ではないということでデシャン監督が発表したリストにはなかった。CFとして安定感を取り戻したベンゼマ、そして昨年のワールドカップ以降、すべての試合に出場しているバルブエナをメンバーから外さなくてはならないことは大きな痛手である。

■3年ぶりに復帰したハテム・ベンアルファ、新人のキングスレー・コマン

 そしてこの2人に代わる存在としてアレクサンドル・ラカゼットを入れるかと思われたが、ベンアルファ、コマン、アンドレ・ピエール・ジニャックをメンバーに入れた。ベンアルファは性格的な問題が災いし、所属クラブでも代表チームでもトラブルを繰り返し、2012年の欧州選手権以来3年ぶりの代表入りとなった。チーム内の規律を重視するデシャン監督からは招集されないと思われていただけに、意外であると誰しもが思ったであろう。
 そして今回唯一の代表初招集となったのがコマンである。コマンは1996年生まれでまだ19歳の選手である。パリサンジェルマンの下部組織で育ち、欧州中が注目する中で昨季ユベントス(イタリア)に移籍した。そして今季はドイツのバイエルン・ミュンヘンへとビッグクラブの間で移籍している。暗い事件の起こった中でのチャンス到来、19歳の若武者が新風を吹き込むことができるだろうか。(続く)

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