第1948回 ようこそフランスへ (8) 予選を勝ち抜いた23か国

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップで好成績を残しながら敗退したオランダとギリシャ

 これまでの連載で来年の欧州選手権の予選を突破した23チームを紹介してきた。改めてその23の顔ぶれを眺めてみると興味深いことがわかる。
 本大会出場がこれまでの16から24へと広がったことから有力国が顔をそろえたが、本連載第1942回で紹介した通り、昨年のワールドカップで3位になったオランダ、決勝トーナメントに進出したギリシャが予選で姿を消している。前回の2012年大会を振り返ると、2010年ワールドカップの決勝トーナメントに欧州勢は6チーム進出したが、その中で2012年の欧州選手権の本大会に出場できなかったのはスロバキアだけである。今回の場合、2014年のワールドカップで決勝トーナメントに進出した欧州勢6チームのうち2チームがこの広き門をくぐることができなかった。

■バルカン半島、バルト海沿岸、北欧が空白地帯

 また、地理的な空白地帯がいくつかある点も今回の予選落ちした国の特徴である。その代表が旧ユーゴスラビアを起点とするバルカン地域である。第1回の欧州選手権の本大会にも出場した旧ユーゴスラビアは1990年代の分裂後もそれぞれの国が強国として地位を築いてきたが、今回の予選を突破したのはクロアチアのみであり、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、スロベニアといったところが敗退しており、バルカン半島南端のギリシャ、ブルガリアを含め、大きな空白地帯となってしまった。
 そして広き門となったことから出場が期待されたものの、やはり出場できなかったのがバルト三国である。ラトビア、リトアニア、エストニアは今回も出場できず、バルト三国の南側のベラルーシも出場できなかった。
 そして北欧勢もデンマーク、ノルウェー、フィンランドが敗退し、北欧からはプレーオフを勝ち抜いたスウェーデンのみが出場する。

■ずらりとそろった中欧勢、スコットランド以外が出場する英国四協会

 また、欧州選手権、ワールドカップという国際大会に久しぶりに出場してきた懐かしい顔もハンガリー、北アイルランド、ウェールズなどである。そしてこのところ停滞気味であった中欧の強豪もチェコ、スロバキア、ポーランド、オーストリア、ハンガリーと軒並み顔を連ねた。
 英国四協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)のうちスコットランドだけが本大会出場を逃したが、英国四協会がそろって本大会に出場したのは1958年のワールドカップが最初で最後である。欧州選手権で英国四協会がそろって出場する日は来るであろうか。
 また、初出場組はアルバニア、アイスランド、ウェールズ、北アイルランド、スロバキアの5か国であるが、アルバニアとアイスランドは驚きの初出場である。両国ともこれまでワールドカップや欧州選手権予選でフランスと同グループに入ることが多く、何度かフランスの地で試合をしたことはあるが、今回は堂々の予選を勝ち抜いてのフランス入りである。

■欧州選手権、ワールドカップとも過去2回開催しているフランス

 今回がフランスで3回目の欧州選手権の本大会である。1960年にはソ連、ユーゴスラビア、チェコスロバキアといずれも現在は存在しない3チームがフランスの地を訪問した。
 そして1984年大会にはベルギー、デンマーク、ユーゴスラビア、西ドイツ、スペイン、ポルトガル、ルーマニアという7か国がフランスの地で欧州一の座をかけて戦っている。  一方、フランスはワールドカップも過去に2回開催し、1938年大会は欧州から、イタリア、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スイス、ハンガリー、チェコスロバキア、オランダ、ベルギーの11の国が参加している。
 1998年大会にはデンマーク、クロアチア、イングランド、イタリア、ノルウェー、オーストリア、スコットランド、ブルガリア、スペイン、ユーゴスラビア、オランダ、ベルギー、ルーマニア、ドイツの14か国が出場している。
 このように見ると、フランスでの国際大会が初出場という国は、分裂や統合前の国をカウントすると、トルコ、アイルランド、ウェールズ、アルバニア、アイスランドと意外と少ないのである。(続く)

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