第1958回 新春の訪れ、フランスカップ(3) パリサンジェルマン、ボルドー、サンテチエンヌの欧州組は辛勝
5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ヨアン・カバイエの弟、ジョフレイ・カバイエが所属するワスカル
ワスカルと対戦するパリサンジェルマン、舞台はサンニコラ聖堂で有名なワスカルではなく、ビルヌーブダスクにある北競技場での試合となった。ピエール・モーロワ競技場が完成するまで、リールが本拠地として使用しており、パリサンジェルマンにとってもなじみのある競技場である。1万1000人のファンが昨年度のフランスカップ勝者で、今季もリーグ首位を走るパリサンジェルマンに対し、ワスカルのジャイアントキリングを期待して集まった。CFAで首位のワスカルにはヨアン・カバイエの弟のジョフレイ・カバイエが出場する。
■ズラタン・イブラヒモビッチのゴールで辛勝したパリサンジェルマン
一方のパリサンジェルマンのローラン・ブラン監督は、年初めの試合ということで、レギュラーメンバー、特に南米勢に休養を与えた。ズラタン・イブラヒモビッチは出場し、19歳のジャン・ケビン・オーグスティンと2トップを組む。
ジャイアントキリングを狙うワスカルは試合の序盤にチャンスをつかむが得点ならず。試合は次第にパリサンジェルマンのペースとなっていく。パリサンジェルマンは後期をつかむが得点できず、両チーム無得点のまま、ハーフタイムとなる。今季国内の相手に負けていないパリサンジェルマンに対し、ワスカルが金星をあげるかとファンは期待したが、61分にイブラヒモビッチが得点を決める。この1点が決勝点となり、パリサンジェルマンは苦戦の末に初戦を突破した。
■ナショナルリーグの最下位チーム相手にロスタイムの得点で逆転勝ちしたボルドー
ヨーロッパリーグに出場したサンテチエンヌ、ボルドーも苦戦した。
ヨーロッパリーグのグループリーグではいいところがなく敗退したボルドー、国内リーグ戦の順位も14位と低迷しており、年明けからの巻き返しを図りたいところである。相手はフレジュス・サンラファエル、3部に相当するナショナルリーグの最下位である。パリサンジェルマンが苦戦した相手が下位リーグとはいえ首位のワスカル、ボルドーはナショナルリーグの最下位チーム相手に先制点を許してしまう。33分に失点したボルドーは37分にシェイク・ディアバテのゴールで追いつき、後半を迎える。しかし後半も先に得点をあげたのはフレジュス・サンラファエル、55分にリードを奪う。リードされたボルドーは3人の選手を交代させる。ようやく77分に相手のクリアミスを拾ったディアバテが同点ゴール。試合はそのまま90分を迎え、延長戦かと思われた92分、ボルドーはロングスローからディエゴ・ロランがアクロバティックなシュートを決める。ボルドーはロスタイムにようやく初めてこの試合で勝ち越し、主戦を突破したのである。
■PK戦で大逆転したサンテチエンヌ
ヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を決めたサンテチエンヌはリーグ戦でも6位、好調である。そのサンテチエンヌの2016年最初の相手は5部に相当するCFA2部のラオン・レタップである。ここまで6試合を勝ち抜き、ベスト32決定戦に臨む。下部のリーグに所属しているが、2013年と2014年にもフランスカップのベスト32決定戦に進出しており、フランスカップのスペシャリストと言えるであろう。
試合は序盤からサンテチエンヌが優勢に進め、21分にニエル・モーペイのゴールで先制する。サンテチエンヌの前半のゴールはこの1点で、後半を迎える。後半に入って59分にラオン・レタップは追いつく。ラオン・レタップは守備を固め、なかなかサンテチエンヌは得点を奪えない。そして試合は延長戦に入り、ここでも決着がつかず、PK戦で決着をつけることになる。サンテチエンヌは有利な先蹴、1人目は成功するが、2人目と3人目が失敗、後蹴のラオン・レタップは3人目まで全員成功、2年前のベスト32決定戦でサンテチエンヌはCFAのカンヌに敗れており、悪夢が頭の中をよぎる。しかしここからサンテチエンヌは3人連続して成功、ラオン・レタップは3人連続して失敗、PK戦での逆転勝利でサンテチエンヌも初戦を突破したのである。(続く)