第1966回 四強が出そろったリーグカップ (5) 四冠と3連覇を目指すパリサンジェルマン

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新スタジアムで準決勝を迎えたいリヨン

 前回の本連載で紹介した準々決勝3試合はボルドー、トゥールーズ、リールが勝ち抜いたが、いずれのチームも昨年12月上旬以降リーグ戦、フランスカップ、リーグカップで負けておらず、好調なチームが準決勝に進出した。
 そして、準々決勝最後の試合は注目の大一番パリサンジェルマン-リヨン戦である。リヨンは新スタジアムでの初戦を飾っている。パリサンジェルマンに勝利し、くじの結果によっては準決勝を新スタジアムで行うことになる。
 しかし、リヨンにとってこの戦いは厳しいものになる。まずは、リヨンの負傷者の多さである。昨年9月4日のポルトガル戦で負傷したナビル・フェキルの復帰は3月まで待たなくてはならない。また、マキシム・ゴナロン、ゲイダ・フォファナというところも負傷でメンバーから離れ、マチュー・バルブエナは体というよりは心の負傷が癒えない状況である。この負傷者を置くかかえたメンバーをどのようにやりくりしていくかは新監督であるブルーノ・ジェネジオも頭を抱えているであろう。

■今季、国内の相手には負けなしのパリサンジェルマン

 そして冒頭に紹介した通り、これまでの準々決勝3試合は昨年12月から負けていないチームが勝ち抜いてきたわけであるが、パリサンジェルマンに仕切り前から軍配が上がる。リヨンは今年に入ってから連勝しているものの昨年12月の成績はリーグ戦ではナントと引き分けた後は3連敗、勝利したのは消化試合となったチャンピオンズリーグのグループリーグ最終節のバレンシア(スペイン)戦とリーグカップのベスト8決定戦で2部のトゥールと戦った試合のみである。一方のパリサンジェルマンは12月1日にアンジェと引き分けた以降は7連勝で12月以降は負けなし。それどころか今季負けたのは11月3日のチャンピオンズリーグのアウエーのレアル・マドリッド戦だけである。リヨンとは開幕前のチャンピオンズトロフィーで対戦し2-0と勝ち、12月13日のリーグ戦ではホームで戦い、5-1と大勝している。

■リーグカップで2連覇中、通算成績も際立つパリサンジェルマン

 また、カップ戦のスペシャリストであるパリサンジェルマンはこれまでにリーグカップを5回制し、現在2連覇中、通算成績は43勝16敗である。一方のリヨンはリーグ7連覇中もこのリーグカップを獲得することはできず、2001年に優勝しただけで、通算成績は27勝20敗である。しかし、2001年のリーグカップ獲得がその後のリヨンの黄金時代を呼び寄せたように、今回のリーグカップでパリサンジェルマンを倒せば、流れは変わるかもしれない。

■気合十分のリヨン、パリサンジェルマンを追い詰めるが及ばず

 試合はリヨンの心意気を象徴するように、立ち上がりはリヨンが積極的に攻める。パルク・デ・プランスに集まった4万7000人を超えるパリのファンは1月前のリーグ戦とは異なる試合展開に驚きを隠せない。しかし、この試合最初の得点機を作ったのはパリサンジェルマン、久しぶりに先発出場したハビエル・パストーレのパスをエセキエル・ラベッシがシュートするもゴールならず。そして先制点はパリサンジェルマンのアドリアン・ラビオであった。左利きの20歳がインターセプトから左足で先制点を決める。直前のプレーでボールが外に出ていたかもしれない微妙なものであったが、ゴールが認められる。リヨンはすかさず反撃に転じる。リヨンの反撃が実ったのは前半終了間際の42分、コランタン・トリソがCKからのこぼれ球をボレーで決め、同点に追いついてハーフタイムを迎えた。
 後半はパリサンジェルマンが優勢にゲームを進める。そして73分、パルク・デ・プランスが揺れた。リヨンのCK、このこぼれ球をエディンソン・カバーニ、アンヘル・ディマリアとつなぎ、最後は途中出場のルーカスがシュートを決める。このルーカスのゴールにパリサンジェルマンは2-1と難敵リヨンを下し、四冠への期待をつないだのである。(この項、終わり)

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