第1985回 4強が決まったフランスカップ (2) パリサンジェルマン、サンテチエンヌを下す

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンに勝ちたいサンテチエンヌ

 前回の本連載では3月2日に行われたフランスカップの準々決勝でロリアンとソショーが勝利したことを紹介したが、準々決勝4試合の中で最も注目を集めたのは同日の21時5分から行われたサンテチエンヌ-パリサンジェルマン戦であろう。
 サンテチエンヌは直前のカーン戦で敗れてリーグ戦の順位を7位に落としたが、準々決勝に勝ち残っている8チームの中では首位のパリサンジェルマンに次ぐ順位である。サンテチエンヌはヨーロッパリーグの決勝トーナメントの1回戦で敗れ、格上のチャンピオンズリーグの1回戦の第1戦を勝利したパリサンジェルマンとの間の差は広がっている。また昨年12月に行われたリーグカップのベスト8決定戦ではパリサンジェルマンと直接対決で敗れている。さらに昨季のフランスカップの準決勝でもパリサンジェルマンと対戦しているが、1-4と大敗している。そして直近の対戦は1月31日のリーグ戦、サンテチエンヌのホームゲームであったが、0-2と完敗している。
 本拠地ジェフロワ・ギシャールにパリサンジェルマンを迎える試合、これ以上負け続けるわけにはいかない。

■パリサンジェルマンの国内無敗の記録を阻止したリヨン

 一方のパリサンジェルマン、国内相手のリーグ戦、フランスカップ、リーグカップという試合は今季無敗であり、国内三冠、国外一冠を狙う勢いであったが、ついにその記録が途絶えた。2月28日のリヨンとのアウエーの新スタジアムでの試合、パリサンジェルマンはリヨンに2点を先行され、後半に1点を返したものの、1-2で敗れる。今季リーグ戦で29試合目にして初めての黒星となった。パリサンジェルマンは無敗記録を昨年の3月から継続してきたが、この無敗記録も36でストップした。
 パリサンジェルマンの無敗記録にストップをかけたのはサンテチエンヌの最大のライバルであるリヨンである。ライバルチームの金星に我も続けと急傾斜のジェフロワ・ギシャールに集まった3万6000人の緑のファンは期待を膨らます。

■4年間の幻の連敗の相手となったサンテチエンヌ

 パリサンジェルマンが国内のチーム相手に最後に連敗したのは2011年11月のことである。この時はナンシーとマルセイユにリーグ戦で敗れたわけであるが、その翌年には記録には残らない連敗を喫している。それはリーグ戦でニースに敗れ、その直後のリーグカップでPK戦で敗れている。リーグカップでのPK負けは記録上は引き分けとしてカウントされるため連敗とはならないが、このPK戦で勝利したのがサンテチエンヌであり、4年前の幻の連敗の相手とパリサンジェルマンは戦うことになる。

■連覇を狙うパリサンジェルマン、フランスカップで10連勝

 パリサンジェルマンはマルコ・ベラッティとアンヘル・ディマリアを負傷で欠き、GKにサルバトーレ・シリグ、右のウイングにハビエル・パストーレを起用した以外はほぼベストメンバーである。対するサンテチエンヌはジャン・クリストフ・バエベックを負傷で欠くが、1月下旬の試合で負傷したロイック・ペランが戦列に復帰し、キャプテンマークを巻いてストッパーの位置に入る。そしてヨーロッパリーグの試合には規定により出場できなかったノルウェー勢のアレクサンダー・セダールンドとオレ・セルナエスも先発メンバーに名を連ねる。
 しかし、試合はパリサンジェルマンが優勢に進め、12分にエディンソン・カバーニが先制点、35分にはズラタン・イブラヒモビッチからのクロスをマルキーニョスが追加点。サンテチエンヌは43分にPKで1点を返すにとどまった。パリサンジェルマンは後半のロスタイムにルーカスが得点をあげ、3-1と勝利する。パリサンジェルマンがサンテチエンヌで3点をあげたのは1994年11月以来、実に22年ぶりのことである。
 そしてフランスカップのタイトルホルダーのパリサンジェルマンは昨季から続くフランスカップでの連勝記録を10に伸ばしたのである。(続く)

 
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