第2009回 国内三冠を狙うパリサンジェルマン(1) フランスカップ準決勝でロリアンと対戦

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■国内外四冠の夢が破れたパリサンジェルマン

 前回までの本連載でチャンピオンズリーグ準々決勝でパリサンジェルマンがイングランドのマンチェスター・シティに敗れたことを敗退した。これでパリサンジェルマンは4年連続での準々決勝敗退であるとともに、フランス勢悲願のチャンピオンズリーグ制覇が今年も達成できなかった。(1993年に八百長疑惑によってタイトルを剥奪されたマルセイユを除く)
 そして、国内の3タイトル(リーグ、カップ、リーグカップ)と合わせた四冠の夢も消えたことになる。欧州においてアマチュアも含めた多数のチームができるオープンカップ(イングランドのFAカップ、フランスのフランスカップなど)とプロの限定されたチームだけが参加できるリーグカップの両方が存在している国は実は数少なく、イングランド、フランス、ポルトガル、スコットランドくらいである。
 ドイツカップ、スペインカップ、イタリアカップなどはアマチュアのチームも参加できるが極めて限定的であり、参加チームはプロも併せて100チーム以下である。出場チーム数を考えればリーグカップに近いともいえる。またスペインは1980年代はリーグカップも開催されてきたが過密日程であるという理由で現在は行われていない。
 欧州で国内外の四冠を達成したチームはこれまでに1966-67シーズンのセルティック(スコットランド)だけであり、それに並ぶという偉業達成は来年以降の楽しみである。

■3週続けて平日にも試合を行うパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンにとっては昨年に続く国内三冠が目標である。フランスリーグについては本連載第2002回と第2003回で紹介した通り、3月13日に優勝を決めており、残るはフランスカップの準決勝以降とリーグカップの決勝である。
 フランスカップはチャンピオンズリーグの準々決勝第2戦の次の週の平日の19日と20日に行われ、パリサンジェルマンは19日に出場する。パリサンジェルマンは3週続けて平日に試合を行うことになる。
 また、リーグカップの決勝は土曜日の4月23日に行われる。この日は通常のリーグ戦の第35節が行われるが、リーグカップのファイナリストの出場する試合は日程をずらして行われる。すなわちパリサンジェルマンはノックアウト方式の試合をわずか5日の間に2試合も行うことになる。このような過密日程も強いチームだからである。

■準決勝の相手ロリアンとはリーグ戦で2連勝

 パリサンジェルマンの準決勝はアウエーでロリアンと対戦する。ロリアンは現在リーグ11位、来季の欧州カップ出場はこのフランスカップでの優勝しか残されていない。2002年にロリアンはフランスカップで優勝し、リーグカップでも準優勝しているが、それ以来のタイトルまであと2勝である。しかし、パリサンジェルマンとの力の差は明白であり、今季はリーグ戦ですでに2回対戦しているが、パリサンジェルマンの2勝である。

■ジャイアントキリングを期待するオレンジと黒のスタジアム

 本連載でこれまで紹介してきたとおり、今年のフランスカップはベスト32決定戦は無風、ベスト16決定戦はジャイアントキリングの嵐、そしてベスト8決定戦以降は順当な結果が続いてきた。この準決勝でジャイアントキリングが復活すると期待するロリアンのファンがムストワール競技場を埋め尽くした。
 パリサンジェルマンはGKにサルバトーレ・シリグ、中盤の底にバンジャマン・スタンブリを起用するが、それ以外はほぼベストメンバー、布陣も4-3-3に戻している。しかし明らかに動きは悪く、疲労と精神的なショックは隠せない。勢いづくのはスタジアムを埋めた1万5000人のファンである。創設時の会長の妹が着ていた服の色を由来とするオレンジと黒のチームカラーが揺れる。
 そして21分にアクシデントが起こる。この日の主審を務めていたフランク・シュナイデール氏が肉離れを起こす。4分後の25分に主審を続けることは無理であり、第四の審判であったセバスチャン・モレイラ氏にホイッスルを渡す。このようにジャイアントキリングを予感させる試合展開となったのである。(続く)

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