第2041回 ドイツに国際大会で58年ぶりに勝利(2) アイスランド戦と同じメンバーで臨むフランス
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■伝説の1984年欧州選手権準決勝の舞台マルセイユ
今大会に入って最も1試合当たりの失点の少ないドイツと最も1試合当たりの得点の多いフランスの対戦はサッカーの都、マルセイユで行われる。マルセイユでは欧州選手権、ワールドカップの準決勝が行われてきた。ワールドカップでは1938年大会ではイタリア-ブラジル戦、1998年大会ではブラジル-オランダ戦が行われてきたが、フランスのファンにとって印象に残るのは唯一フランスが登場した1984年の欧州選手権の準決勝であろう。
ポルトガルとの戦いでフランスは前半に先制するが、後半に追いつかれ、試合は延長戦にもつれ込む。延長戦ではポルトガルが先に得点を奪う。後半に得点を挙げたルイ・ジョルダンが延長前半の98分にゴールを決め、フランスはピンチに立たされる。しかし、延長後半に入り、フランスは左サイドDFのジャン・フランソワ・ドメルグが同点ゴール、そして延長後半も終わろうとしていたその時にミッシェル・プラティニが決勝ゴールを挙げる。フランスはポルトガルに3-2と勝利したが、この試合のボールボーイにはまだ幼いジネディーヌ・ジダンがいたことは有名なエピソードである。プラティニのゴールに感動したジダンはその14年後、プラティニと同じ背番号をつけてワールドカップで優勝するのである。
1998年のワールドカップではフランスはマルセイユではグループリーグ第1戦の南アフリカ戦を戦っただけであり、マルセイユのファンは32年ぶりのフランス代表のビッグゲームに声援を送ることになったのである。
■アイスランド戦でデビューしたサミュエル・ウムティティが先発
アイスランド戦は累積警告で出場停止となったエンゴロ・カンテとアディル・ラミがドイツ戦で復帰してくるが、ディディエ・デシャン監督はこの2人をベンチに置き、アイスランド戦と同じシステムとメンバーで戦いに臨んだ。4-2-3-1システムのメンバーを紹介するとGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニー、サミュエル・ウムティティ、パトリス・エブラである。中盤は低い位置に2人、右にポール・ポグバ、左にマツイディ、そして攻撃陣は右にムーサ・シソッコ、中央にアントワン・グリエズマン、左にディミトリ・パイエ、トップにはオリビエ・ジルーである。アイルランド戦の後半から同じシステム、そしてアイスランド戦から参戦したウムティティとシソッコがドイツ戦でも登場する。
■主力選手を累積警告、負傷で欠くドイツ
一方のドイツのメンバーであるが、GKはマヌエル・ノイアー、DFは右からヨシュア・キミッヒ、ジェローム・ボアテング、ベネディクト・ヘーベデス、ヨナス・ヘクトル、終盤は低い位置に主将のバスティアン・シュバインシュタイガー、右にエムレ・ジャン、左にトニ・クロース、攻撃陣は中央にトーマス・ミューラー、右にメスート・エジル、左にユリアン・ドラクスラーという布陣である。守備の要であるマッツ・フンメルスは累積警告で出場停止、攻撃陣のサミ・ケディラとマリオ・ゴメスはいずれも負傷のため戦列から離れている。
■昨秋の親善試合を知らないフランスの注目選手
両チームは昨年11月13日にスタッド・ド・フランスで対戦しているが、先発メンバーのうち、この試合に出場したメンバーはフランスは8人、ドイツは7人である。フランスの先発のうち、ドイツ戦の勝利の味を知らないのはウムティティ、パイエ、シソッコの3人であるが、彼らは大会直前あるいは大会中に起用されて見事にそのチャンスをものにしており、自信に満ちた表情で試合前のラ・マルセイエーズを歌う。
一方のドイツは負傷や出場停止で主力選手を欠く。ジャンは昨年11月の親善試合では途中出場したが、今回の欧州選手権では出場機会がまだなく、このフランス戦の先発で初めてフランスのピッチを踏むことになるのである。他方、ドイツはノイアー、ヘクトル、クロース、エジル、ミューラーの5人がこれまで延長を含むフル出場、フランスの3人(ロリス、サーニャ、エブラ)をしのぐのである。(続く)