第2048回 若きブルー、欧州を制覇(2) ポルトガルに勝利し、決勝進出
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■強豪イングランドとの初戦から気持ちを切り替えたいクロアチア戦
19歳以下の欧州選手権の初戦、フランスはイングランドに1-2と敗れて始まった。相手のイングランドは2004年にマルタで行われた17歳以下の欧州選手権で優勝したチームのメンバーが持ち上がったチームである。その大会にフランスは予選で敗れ、本大会に出場できなかったことを考えれば、順当な結果かもしれないが、切り替えたいところである。
フランスの第2戦の相手はクロアチアである。フランスをはじめ、ドイツ、イタリア、オランダなど国内リーグが強豪のチームはメンバー全員が国内組であるが、クロアチアのメンバーのうち3分の1はこの年代で他国のリーグに所属している。クロアチアも初戦でオランダに敗れており、フランスとの試合は20歳以下のワールドカップに向けて勝たなくてはならない試合となった。
■主力の2人が活躍し、初勝利
アーヘンに舞台を変えての試合、フランスは主力の2人が活躍する。試合の序盤はクロアチアがペースをつかむが、次第に試合はフランスのリズムとなり、クロアチアのゴールに迫る。この試合で最初にゴールネットを揺らしたのはフランスのエース、ジャン・ケビン・オーグスティンであった。37分にオーグスティンが先制点を奪い、フランスは1点リードしてハーフタイムを迎える。後半に入って69分にはキリアン・ムバッペがクロアチアのGKをかわして無人のゴールに追加点を決める。フランスは2-0と初勝利をあげ、決勝トーナメントに望みを残したのである。
■直接対決となったオランダ戦で大勝、決勝トーナメントへ
最終戦の相手は、もう1つの試合でイングランドに敗れたオランダとの戦いとなった。1勝1敗同士の対戦、この試合でフランスは勝利すれば、決勝トーナメント進出決定、引き分け以下であれば3位以下となる。
アーヘンで行われたこの試合、フランスは攻撃陣が爆発する。10分にムバッペが先制点をあげると、29分にはドニ・ビル・ポアのシュートはクロスバーに当たって跳ね返ったところをオーグスティンが追加点。オランダはPKで1点を前半に返したが、後半に入るとフランスの攻撃は止まらなくなった。後半開始早々にオーグスティンがゴールを決め、63分にはムバッペがゴール。フランスの両エースが2点ずつを奪う展開となった。そして2人のうちどちらがハットトリックを決めるかどうか、という展開となり、75分にオーグスティンがゴールを決めてハットトリック達成。フランスは5-1と大勝して決勝トーナメント進出を決め、同時に来年の20歳以下のワールドカップ出場権も獲得したのである。
■フル代表が欧州選手権決勝で敗れたポルトガルに逆転勝利、決勝進出
決勝トーナメントの1回戦はグループAを首位で通過したポルトガルとの対戦となった。準決勝2試合は7月21日にマンハイムで行われ、第1試合はイタリアがイングランドに勝利し、フランスとポルトガルは第2試合で対戦した。
スタッド・ド・フランスでの決勝から2週間たたない弟分の再戦となった。この試合、先手を取ったのはポルトガルであった。3分に右サイドからのFKからペドロ・パチェコがヘディングで鮮やかに先制点を決めた。
これに対してフランスも反撃する。10分、左コーナー付近からムバッペが狭いスペースを抜け出しポルトガルの守備陣を交わしてクロスを上げる。これをルドビック・ブラスが左足で決めてフランスは同点に追いつく。
1-1で迎えた後半、フランスは67分にクレマン・ミシュランの右サイドからのクロスをムバッペが決めて逆転に成功した。ここで試合はフランスのペースとなる。そして75分にもミシュランが右サイドからのロングスローはゴール前に、ここで待っていたのがムバッペであり、ヘディングでダメ押しとなる3点目を入れる。フランスは11日前のスタッド・デ・フランスでの兄貴分の敗戦の敵を討つ形でポルトガルを下し、決勝に進出したのである。(続く)