第2050回 金メダルを狙う女子サッカー(1) 2010年代は安定した好成績
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■女子はオリンピック出場、男子は出場ならず
欧州選手権のある年、それは夏季オリンピックのある年でもある。2024年の夏季オリンピック招致を目指すフランスは今大会で好成績を残しておきたいところである。サッカーについては女子については昨年行われたワールドカップで出場権を獲得している。本連載では第1874回から第1880回でこの大会の模様を紹介したが、フランスは準々決勝に進出、欧州勢で3位以内に入り、リオデジャネイロへのチケットを獲得した。
一方、男子については本連載第1886回で紹介した通り、リオデジャネイロ行きのチケットを手にすることはできなかった。昨年6月にチェコで行われた21歳以下の欧州選手権の上位4チームであるスウェーデン、ポルトガル、ドイツ、デンマークが欧州地区からの代表となった。フランスは2013年3月から2014年9月にかけて行われた予選のグループ10では首位で突破したが、本大会出場権をかけたホームアンドアウエー形式のプレーオフにでスウェーデンと対戦し、2014年10月10日に行われたホームの第1戦では2-0と勝利したが、14日に行われたアウエーの第2戦では1-4と大逆転され、本大会に出場することができず、オリンピックへの道も断たれたのである。この時のキャプテンが今回の欧州選手権の終盤で代表にデビューしたサミュエル・ウムティティである。ウムティティ以外にアントニー・マルシャル、キングスレー・コマンも欧州選手権のメンバーに名を連ねている。このようなメンバーをもってしても出場できなかったオリンピック、欧州の争いは厳しい。
■内容では優りながら惜敗続きのフランス
さて、男子とは異なりフルメンバーで臨む女子、2010年代に入ってからは国際大会では好成績を残している。それまではほとんど実績がなかったが、2011年のワールドカップでは4位、準決勝で米国を圧倒していた試合が印象的である。その翌年のオリンピックでも4位、この時も準決勝の日本戦、3位決定戦のカナダ戦とも試合内容では優っていた。2015年のワールドカップでは準々決勝でドイツにPK戦で敗れている。これら2010年代の国際大会でフランスが敗れた試合はいずれもフランスが優勢に試合を進めており、リオデジャネイロではそろそろおつりをもらいたいところである。
■大会直前の親善試合で連勝し、ブラジル入りしたフランス
1部リーグのチーム数が少なく、チャンピオンズリーグやフランスカップの試合数も少ないことから女子サッカーは代表で活動する時間が男子よりも恵まれている。フランスをはじめとするオリンピック出場チームは本大会に向けて数多くの親善試合を行っている。昨年7月に終わったワールドカップの後、オリンピック開幕までにフランスは欧州選手権予選6試合、親善試合9試合の合計15試合を行っている。欧州選手権予選は6戦全勝であるが、親善試合は4勝1分3敗と辛うじて勝ち越している。3月に米国で行われたシービリーブスカップには米国、ドイツ、イングランド、フランスが参加し、総当たりのリーグ戦を行ったがフランスはイングランドに引き分けただけで、米国、ドイツに敗れ最下位に終わっている。しかし、大会直前に行ったカナダ、中国との親善試合でフランスは連勝し、復調してブラジル入りすることになる。
■昨年のワールドカップとほぼ同じメンバーで臨むオリンピック
2010年代に入ってから好成績を残してきたフランスの特徴として若手からベテランまでの幅広い年齢層の選手を起用していることである。また、ベテラン選手は男子では考えられないような多くの試合に出場している。昨年のワールドカップは結果的には準々決勝で敗れているが、ワールドカップ以降に代表から外れたベテラン選手はガエタン・ティニーに加え、負傷した選手はローラ・ジョルジュ、ロール・ブローくらいであり、ほぼ同じメンバーでオリンピックに臨むのである。(続く)