第2058回 欧州の舞台を目指すフランス勢(3) モナコ、リーグ3位として初のプレーオフ勝ち抜き
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■強豪ぞろいの上位国からのプレーオフ参戦チーム
フェネルバフチェ(トルコ)との第2戦で2点差の勝利をあげ、予備戦3回戦を勝ち抜いたモナコ、いよいよ本戦出場にむけた最後の関門のプレーオフである。
プレーオフもチャンピオンチームとチャンピオンチーム以外に分かれて行われる。チャンピオンチーム以外でプレーオフに出場するのは予備戦3回戦を勝ち抜いたモナコを含む5チーム、そしてプレーオフから参戦する5チームの合計10チームである。モナコ同様に予備戦3回戦を勝ち抜いたチームはアヤックス・アムステルダム(オランダ)、アンデルレヒト(ベルギー)、ヤングボーイズ(スイス)、ステアウア・ブカレスト(ルーマニア)という顔ぶれである。
さらに、プレーオフから参戦してくる5チームは、UEFAインデックスでフランスより格上の1位から5位までのリーグの上位チームであり、ビッグネームがそろう。UEFAインデックスでランキング1位のスペインからはリーグ4位のビジャレアル、2位のイングランドからはリーグ4位のマンチェスター・シティ、3位のドイツからはリーグ4位のボルシア・メンヘングランドバッハ、4位のイタリアからはリーグ3位のASローマ、5位のポルトガルはリーグ3位のポルトと強豪ばかりである。
■ラダメル・ファルカオを欠くモナコはスペインのビジャレアルと対戦
そして抽選の結果、モナコはビジャレアルと対戦し、第1戦をアウエー、第2戦をホームで戦うことになった。
モナコは昨年もチャンピオンズリーグ予備戦3回戦から参戦し、予備戦3回戦は勝ち抜いたが、プレーオフでバレンシア(スペイン)に敗れている。UEFAインデックスで6位になってからはフランスリーグの3位チームは予備戦3回戦から参戦しているが、本戦に出場したチームはない。
さらにモナコはフェネルバフチェとの第2戦でラダメル・ファルカオが負傷し、虎というニックネームを持つファルカオは8月12日のリーグ戦の開幕戦にも出場しなかった。そのリーグ開幕戦でモナコはギャンガンと2-2で引き分けている。
■開始早々のPKで先制し、アウエーの第1戦で先勝
スペインのビジャレアルのマドリガル競技場での第1戦は8月17日に行われた。開始早々にモナコはチャンスを得る。3分にペナルティエリア内でトマ・ルマールがビジャレアルのアルフレッド・エンディアイエに倒される。モナコはPKを得て、これをファビーニョが決め、敵地で先制点を奪う。
これに対してビジャレアルは競り合いに勝ったボールを受けたアレクサンドロ・パトが34分に同点ゴールを決める。アウエーのモナコは守勢であるが、アウエーゴールの1点は精神的なゆとりをもたらし、試合は後半に入る。
後半に入って71分、モナコは2トップの1人のバレル・ジェルマンをベンチに下げ、ギド・カリージョを投入する。この交代が見事的中し、カリージョはファルカオに代わって2トップに入っているベルナルド・シウバにパスを供給、シウバがゴールを決めてモナコは勝ち越したのである。モナコは終盤にバンジャマン・マンディが2回目の警告で退場となったが、アウエーの第1戦を2-1と先勝したのである。
■余裕の第2戦は終了間際のPKで勝利、フランス勢として初の快挙
第2戦は翌週の23日に行われたが、この間にスペインリーグも開幕し、ビジャレアルはグレナダと1-1、モナコ同様ドローでのシーズン開幕となった。
最低でも2点を奪わなければならないビジャレアルに対し、ベストメンバーのそろったモナコは無理に攻め急がず、余裕をもって守り、前半は両チーム無得点で折り返す。ゴールネットを揺らす機会は両チームに訪れず、時計の針は90分を過ぎようとした時、ビジャレアルの選手がジブリル・シディベのクロスボールを手で触ってしまう。主審はPKを指示詞、第1戦に続いてファビーニョがゴールネットを揺らす。第2戦も1-0と勝利したモナコが本戦出場を決めたのである。
フランスリーグの3位チームが予備戦3回戦から戦うようになって4年目、過去リヨン(2014年、プレーオフでスペインのレアル・ソシエダに敗退)、リール(2015年、プレーオフでポルトに敗退)、モナコ(2016年、プレーオフでバレンシアに敗退)が挑んでつかめなかった本戦出場を今年のモナコは成し遂げたのである。(続く)