第2070回 フランスリーグ序盤戦 (2) 古豪ニース、単独首位に立つ

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■首位モナコと2位ニースが対戦

 前回の本連載では今夏の移籍市場の最後にイタリアのACミランからニースに移籍してきたマリオ・バロテッリがデビュー戦で2ゴールをあげ、モナコとニースが第4節終了時で勝ち点でトップに並んだことを紹介した。
 第5節でモナコはレンヌに3-0と完勝、ニースがモンペリエと引き分けたことから、勝ち点を13と伸ばしたモナコが単独首位となる。
 そして第5節終了段階で首位モナコと2位ニースが週の半ばに行われた第6節で直接対決する。ニースのホームゲーム、会場のアリアンツアリーナには地中海沿い同士のチームの首位攻防戦ということで平日の夜ではあるが2万人以上の観衆が集まった。  ニースの首位獲りを期待する地元ファンであるが、2010年代に入ってからホームのモナコ戦では1勝しかしていない。また、この対戦の直前に行われた欧州カップでもモナコはアウエーでトットナム・ホットスパー(イングランド)に勝利したが、ニースはホームでシャルケ04(ドイツ)に敗れている。

■この試合も2ゴールをあげたマリオ・バロテッリ

 しかし、ニースはこれらの前評判を覆すパワーを持っていた。17分にニースはFKからポール・ベセが先制点をあげると、次々にゴールを奪う。30分にはバロテッリが追加点をあげる。さらに後半に入って68分にもバロテッリは得点を重ねる。バロテッリは直前のモンペリエ戦は出場しておらず、出場2試合で4ゴールというハイペースである。そして終了間際にもニースはアラッサン・プレアが得点をあげ、4-0と大勝し、今季初めて単独首位に立ったのである。

■ハテム・ベンアルファがパリサンジェルマンに移籍したニース

 補強が見事に功を奏したニースのバロテッリ獲得には伏線がある。ニースは昨季のリーグ戦で4位に入り、今季のヨーロッパリーグにも出場する。この好成績の原動力となったのが、ハテム・ベンアルファである。2015年1月にイングランドのニューカッスルからニースへの移籍が合意したが、このシーズンにベンアルファはイングランドのハルシティにも所属しており、FIFAの1シーズンに3チームでの出場は認められないという規定により、半年間試合に出場できなかったが、2015年の夏に開幕した2015-16シーズンでは37試合出場、18得点というキャリア最高の記録を残し、古豪ニースをヨーロッパリーグ出場に導いたのである。フランス代表にも久しぶりに招集され、欧州選手権でもバックアップメンバーに入った。しかし、ベンアルファはパリサンジェルマンに移籍したため、点取り屋を求めていたニースはイタリア代表のバロテッリを獲得したわけである。

■上位チームに勝利できないパリサンジェルマン

 さて、そのパリサンジェルマンであるが、昨年の独走優勝はズラタン・イブラヒモビッチの驚異的な活躍によるものである。そのイブラヒモビッチの不在を埋める攻撃陣として獲得したのが、レアル・マドリッドの23歳のヘセ・ロドリゲスであり、ベンアルファなのである。
 ベンアルファのパリサンジェルマンでのデビュー戦は前回の本連載でも紹介したチャンピオンズトロフィーのリヨン戦である。この試合で先制点をベンアルファは記録し、早くもパリジャンの心をつかんだ。
 そのパリサンジェルマンは開幕2連勝したが、第3節でモナコに敗れ、第4節はサンテチエンヌとホームで引き分けてしまう。第5節はアウエーでカーンに6-0、第6節はホームでディジョンに3-0と勝利し、勝ち点13でモナコと並び、得失点差で上回ってリーグ2位になっているが、欧州カップに出場しているような上位陣との対戦では苦戦している。9月中旬に開幕したチャンピオンズリーグでもホームでイングランドのアーセナルとの対戦は引き分けに終わっている。イブラヒモビッチという絶対的なエースが去った今季、宿願の欧州チャンピオンへの道は険しそうである。(この項、終わり)

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