第2082回 序盤に強敵と連戦(6) ポール・ポグバの活躍でオランダに勝利
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■ベラルーシ戦と10人が同じ先発メンバーのオランダ
前回の本連載ではオランダ戦に臨むフランスの先発メンバーを紹介したが、今度はオランダの先発メンバーを紹介しよう。ダニー・ブリント監督率いるオランダは伝統の4-3-3システム、GKはマールテン・ステケレンブルフ、DFは右からリック・カルスドルプ、ジェフリー・ブルマ、ビルヒル・ファンダイク、ダレイ・ブリント、MFは右からジョルジニオ・ワイナルドム、ケビン・ストロートマン、デイビー・プロッペル、FWは右にクインシー・プロメス、中央はフィンセント・ヤンセン、左はデビー・クラーセンという布陣である。 7日のベラルーシ戦で負傷してハーフタイムでベンチに下がったウェスレイ・スナイデルに代わってプロッペルが入った以外のメンバー変更はなく、フランス同様に負傷した1人以外は同じメンバーで天王山を迎える。オランダのCFのヤンセンはベラルーシ戦では3得点の大活躍である。
■4年ぶりに復帰したオランダのGKマールテン・ステケレンブルフ
試合はオランダのキックオフで始まった。ベラルーシ戦では27本のシュートを放ったオランダであるがフランス相手ではそうは簡単にシュートまで結びつけることができない。個人技に勝るフランスが中盤を制し、ボール保持率は60%を記録する。攻めるアウエーのフランス、守るホームのオランダという構図ができあがった。13分にはフランスのブレーズ・マツイディからのロングパスを受けたケビン・ガメイロがシュートを放つが、オランダのGKステケレンブルフにセーブされる。ステケレンブルフはアヤックス・アムステルダムの育成機関上がりで、名手エドウィン・ファンデルサールの後継者として期待され、2010年のワールドカップでは決勝進出に貢献する。しかし、その後輝きを失い、2012年以降代表から離れてしまう。また所属クラブでもアヤックスを離れてからは不遇な時期が続き、2014年にはモナコに移籍してきたが、ダニエル・スパシッチの陰に隠れて出場はわずか1試合、フランスのファンにとっては忘れられた存在であった。しかし、ベラルーシ戦で4年ぶりの代表戦出場となり、フランス戦も連続して出場、見事にビッグセーブを見せ、フランスのファンを驚かせた。
■ポール・ポグバの強烈なシュートで先制したフランス
しかし、フランスは攻勢を続ける。この中心となったのがポール・ポグバである。パスの起点となり、前線へのボールをつなぐ。そして30分、ディミトリ・パイエからのパスを受けたポグバは30メートルの位置から強烈なシュートを放つ。このシュートに対し、ステケレンブルフはよく反応し、シュートを手に当てたものの、ボールはゴールネットに吸い込まれる。ポグバの豪快な一撃でフランスはリードする。
後半に入り、引き気味のフランスはオランダの攻撃を受け止めるとともに決定的なチャンスを与えない。一方、フランスはカウンターから敵ゴールに攻め込む。この日絶好調のポグバからのパスを受けたケビン・ガメイロが好機を作り、55分にシュートをするが、またステケレンブルフが好セーブを見せる。また60分にはポグバ自身がヘディングで2点目のチャンスをつかんだがこれもまたステケレンブルフに阻まれる。
■オランダに3連勝、グループ首位となりスウェーデンと対戦
何とか追いつきたいオランダは試合終盤に猛攻をかけるが、終了直前にはフランスのGKウーゴ・ロリスが好セーブを見せ、フランスがアウエーで1-0と逃げ切ったのである。
オランダは3月の親善試合でもフランスに敗れており、1年間に同じ相手に2回敗れたのは1962年のベルギー戦以来54年ぶりという屈辱的な記録になってしまった。
フランスはこれでオランダに2014年以来3連勝となる。そしてこの勝利は今年になって12勝目となる。年間12勝を果たしたのはワールドカップで準優勝した2006年以来10年ぶりのこととなる。フランスの次の試合は11月11日のスウェーデン戦、グループAではフランスと並び勝ち点7のトップである。フランスは年間13勝目を挙げることができるであろうか。(この項、終わり)