第2087回 中盤戦を迎えた欧州カップ (2) 試合終了前に追いついたモナコ、惜敗したリヨン
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■レバークーゼンに相性のいいモナコ
前回の本連載ではチャンピオンズリーグの第2節でパリサンジェルマンがアウエーでブルガリアのルドゴレツ・ラズグラドに快勝したことを紹介したが、今回はフランスから出場しているモナコとリヨンの第2節の戦いぶりを紹介しよう。
モナコは、第2075回の本連載で紹介したとおり、モナコは9月14日にイングランドのトットナム・ホットスパーをウェンブリーで破った。イングランドのサッカーの聖地で勝利し、勢いづいて第2節を迎える。
第2節の相手はドイツのレバークーゼンとホームで対戦した。本連載の読者の皆様ならよくご存じと思われるが両チームは2014-15シーズンのグループリーグでも対戦している。グループ内の順位はレバークーゼンが首位であり、モナコが2位であり、両チームが決勝トーナメントに進出したが、両チームの直接対決については2戦ともモナコが1-0で勝利している。モナコはこのグループリーグは2勝2分2敗という成績であったが、レバークーゼン戦での2勝が決勝トーナメントの扉を開けた。さらにモナコはチャンピオンズリーグでドイツのチームに対して相性がいい。レバークーゼンは初戦はホームでCSKAモスクワと引き分けている。
■ハビエル・フェルナンデスのゴールで先制を許す
モナコは直前のリーグ戦でニースと対戦したが、ファルカオを負傷で欠き、0-4と大敗してしまった。この日もファンの関心は必ずしも高くなく、観客は8,000人である。いつもながら少ない観衆であるが、モナコはチャンピオンズリーグのホームゲームでは高い勝率を誇る。大声援に押されて勝利を勝ち取るチームと、閑散としたスタジアムで勝利してしまうチーム、つくづくサッカーは不思議なスポーツである。
レバークーゼンのメキシコ代表のハビエル・フェルナンデスのキックオフで始まったこの試合、前半は攻めるモナコに対し、レバークーゼンが積極的なプレッシングで守るという構図であった。その中で際立ったのがアディショナルタイムのハビエル・フェルナンデスのシュートである。これをクロアチア代表GKのダニエル・スバシッチが見事に防ぐ。
後半に入ってチャンスをつかんだのはモナコであった。51分にトマス・ルマーからジブリル・シディベにボールをつなぎ、シディベがゴール前につないだパスにベルナール・シウバがよく反応したが、シュートはわずかに外れる。
73分に均衡が崩れる。ハビエル・フェルナンデスがゴールを決めて、モナコは追う展開となる。
■試合終了直前にカミル・グリックのボレーシュートで引き分け、首位をキープ
モナコは必死の攻めを見せるが、追いつけず、このまま試合終了かと思われたアディショナルタイムの94分、ポーランド代表のストッパーのカミル・グリックが鮮やかなボレーシュートを決めて同点に追いつく。モナコは勝ち点1を積み上げ、グループEの首位をキープしたのである。
■元21歳以下フランス代表のウィッサム・ベンイエデルのシュートに敗れたリヨン
そしてグループHのリヨンも第1節はディナモ・ザグレブ(クロアチア)に勝利し、首位で第2節を迎えた。リヨンの第2節はアウエーでスペインのセビリアとの対戦となる。リヨンはチャンピオンズリーグのアウエーゲームが苦手である。リヨンはこの試合で思い切った起用をする、右サイドDFに19歳のジョルディ・ガスパールを配す。ガスパールは8年前からリヨンに所属しているが、この試合がプロとしてのデビュー戦である。また2トップはナビル・フェキルとマクスウェル・コルネが並ぶ。一方のセビリアにはサミール・ナスリ、ウィッサム・ベンイエデル、スティーブン・エンゾンジというフランス人選手が先発メンバーに名を連ね、日本の清武弘嗣はベンチスタートである。
ベンイエデルはアントワン・グリエズマンらとともに2012年に21歳以下の代表合宿中に合宿を抜け出して、年代別代表から追放された時期があったが、グリエズマンはフル代表で欧州選手権で活躍した。フランスのチーム相手にアピールしたいベンイエデルは前半にゴールを決めるがオフサイドの判定でノーゴール。後半に入ってもゴールを狙うベンイエデルは52分にヘディングでシュートを決める。
リヨンは、アウエーゲームながらボールを支配し、シュートの本数でもセビリアを上回ったが、1点を返すことができず、1勝1敗となり、グループ内では1勝1分のセビリア、ユベントス(イタリア)を追う立場となったのである。(続く)