第2139回 ゴールラッシュの続く第1戦 (3) 壮絶な点の取り合いの末に敗れたモナコ
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■唯一予備戦3回戦から勝ち残ったモナコ
第2134回の本連載以降、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦におけるフランス勢のたたきを紹介してきたが、最後に登場したのがモナコである。モナコは他の3チームが登場した翌週の2月21日にイングランドのマンチェスター・シティとの第1戦を迎えた。
昨季リーグ戦で3位のモナコは予備戦の3回戦から参戦した。7月27日のフェネルバフチェ(トルコ)戦で始まった欧州の長い旅は年を越えた。チャンピオンズリーグには16チームが決勝トーナメントに残ったが、この中で予備戦3回戦から戦ってきたのはモナコだけである。
予備戦3回戦からすでにモナコは10試合、半年以上の戦いとなった。ここまで予備戦3回戦の第1戦とグループリーグの最終戦で敗れているが、グループリーグの最終戦はすでに決勝トーナメント進出を決めた後での敗戦である。
■フランス勢に負けなしのプレーオフから参戦のマンチェスター・シティ
一方の対戦相手のマンチェスター・シティとポルト(ポルトガル)の2チームはプレーオフから参戦し、残りの13チームは9月に始まったグループリーグから参戦している。したがって、プレーオフ以下から参戦しているマンチェスター・シティとモナコの決勝トーナメントでの対戦は成り上がり同士の対戦と言っていいだろう。
マンチェスター・シティはプレーオフでステアウア・ブカレスト(ルーマニア)に連勝し、グループリーグではグループCでバルセロナ(スペイン)に次いで2位で通過した。近年力をつけてきたもう1つのマンチェスターのチームはこれまで欧州カップでフランス勢と対戦したことは2回(3試合で1勝2分)しかない。いずれもパリサンジェルマンが相手で昨年のチャンピオンズリーグの準々決勝で1勝1分でパリサンジェルマンを下したことは記憶に新しい。
■イングランド勢と相性のいいモナコ、リードして前半を折り返す
ところがモナコもイングランド勢を得意としており、今季もグループリーグではトットナム・ホットスパー相手に2試合とも勝利している。これまで欧州カップでの2回戦制の対戦6回のうち5回は勝ち抜いている。そしてイングランドの地でのアウエー戦の成績も勝ち越している。
このように相手国のチームとの対戦を得意としているチーム同士の対戦となり、両チームが攻めあう展開となった。立ち上がりからモナコは積極的にシュートを放つがなかなか枠をとらえられない。マンチェスター・シティはボールを保持するがシュートに結びつかない。しかし、先制点をあげたのはマンチェスター・ユナイテッドであった。22分に左ウイングのルロワ・サネのパスを右ウイングのラーヒム・スターリングが決める。モナコも31分にラダメル・ファルカオのヘディングシュートが決まり同点に追いつく。さらにモナコは41分にキリアン・ムバッペが逆転ゴールを決める。18歳2か月のゴールはフランス人のチャンピオンズリーグの得点者においてカリム・ベンゼマの17歳11か月に次ぐ史上2番目に若い記録となった。試合を支配されていたが、モナコは前半をリードして後半を迎えた。
■PK失敗から流れが変わり、終盤に大量失点したモナコ
後半が開始して間もない48分、ファルカオはペナルティエリア内で倒される。ファルカオ自身がPKを蹴るが、GKにストップされてしまい、リードを広げることができない。このPK失敗が響くことになる。58分にはチーム歴代最多得点者のセルヒオ・アグエロのゴールで追いつかれてしまう。それでも61分にはファルカオがPK失敗を取り返す勝ち越し点を奪い、3-2とリードする。
しかし、最後の20分間にホームのマンチェスター・シティはゴールを重ねた。71分にアグエロが同点ゴール、そして77分にはCKからジョン・ストーンズがヤヤ・トゥーレからのパスを決めて逆転する。さらに82分にはアグエロのパスからサネがゴールを決めて5-3と突き放す。立て続けに失点したモナコは84分にファルカオが得点機をつかむが、ハットトリックならず。結局壮絶な点の取り合いとなり、マンチェスター・シティが5-3と勝利したのである。(この項、終わり)