第2145回 8強の決まったフランスカップ (1) ベスト16決定戦を勝ち抜いた下部リーグ勢

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■4チームしかベスト16決定戦に残らなかった2部勢

 リーグで首位を走っていた古豪ニースが初戦となるベスト32決定戦でリーグ最下位のロリアンに敗れるという波乱が起きたが、それ以外は順当な100年目のフランスカップであった。
 フランスカップのベスト16決定戦は1月31日と2月1日に行われた。32チームの所属リーグを見ると1部が15チーム、2部が4チーム、ナショナルリーグが7チーム、4部に相当するCFAが3チーム、5部に相当するCFA2部が2チーム、6部に相当するDHが1チームとなっている。
 7回戦から参戦する2部勢が近年元気がなく、7回戦、8回戦。ベスト32決定戦と3連勝したのはストラスブール、RCランス、オセール、ニオールだけである。

■6部に相当するDHのクラブを下した2部のストラスブール

 その中でストラスブールは唯一DHから勝ち残ったル・ポワレ・シュール・ビとアウエーで対戦する。ジャンヌ・ダルクという名前で生まれた大西洋岸のバンデ県にあるクラブはナショナルリーグ昇格が最高の成績である。ストラスブールとは2013-14シーズンと2014-15シーズンのナショナルリーグで対戦し、2勝2敗と互角の成績である。優勝経験のあるアルザスのチームを3500人のファンとともに迎えたが、立ち上がりは劣勢で、10分に失点をする。その後は落ち着きを取り戻し、後半は互角の展開となったが、得点をあげることができず、最少失点で敗れてしまい、ストラスブールがベスト16入りしたのである。

■1部のサンテチエンヌを延長戦で下した2部のオセール

 ニオールもアルザス地方のCFA2部のサレグミヌと対戦する。サレグミヌはゲスト32決定戦では2部のスタッド・ド・ランスに勝利しており、2部勢に連勝したいところである。しかし、試合はニオールが3得点を奪い、3-0と勝利した。
 そして2部勢で唯一1部勢と対戦したのがオセールである。この時点でオセールは降格圏内の19位である。対戦相手のサンテチエンヌは1部で5位、本連載でも紹介してきたとおり欧州の大会でもヨーロッパリーグで決勝トーナメントに進出し、年が明けてからここまで3勝1分と負けがない。このような理由もあってオセールのアベ・デシャン競技場は満員には程遠い空席の多い中でのキックオフとなった。ちょうど冬の移籍市場の最終日であり、サンテチエンヌは前日にジョルジーニョを獲得したが、ベンチには入らなかった。試合はサンテチエンヌが支配するがオセールの守備陣が健闘し、90分経っても両チームともノーゴール、延長戦に突入する。先にゴールネットを揺らしたのは2部で降格圏内にいるオセールであった。96分にモハメド・ヤッタラが先制点、これで調子に乗ったオセールは延長前半終了間際の105分にもビラマ・トゥーレが追加点、さらに試合終了間際の119分にもケンジ・ボトが3点目を決めて、3-0と勝利し、1部勢を倒した。
 2部勢で唯一不覚を取ったのがRCランスであり、CFAのベルジュラックに0-2と敗れている。結局2部勢は3チームがベスト16入りした。

■1部のナンシーを下したナショナルリーグのCAバスティア

 これ以外の番狂わせはナショナルリーグのCAバスティアが1部のナンシーを破った試合であろう。バスティアというと1905年に創立した1部のSCバスティアが有名であるが、それに次ぐのが1920年創立のCAバスティアである。ただ1シーズンだけ2部に在籍したことがあり、それが2013-14シーズンである。この時はフランスカップでも活躍し、ベスト16決定戦で延長の末アンジェを破り、ベスト8決定戦に進出している。そしてその翌季はベスト32決定戦でロリアンを破っている。観衆わずか500人というホームゲームであったが、CAバスティアは11分にウマール・カマラがナンシーのアルー・ディアラを交わして先制点、さらに終了間際の89分にも追加点をあげて2-0と勝利し、3年ぶり2回目の16強入りを決めたのである。
 ナショナルリーグ以下で16強入りしたのはクビリー、アブランシュ、CAバスティアのナショナルリーグ勢3チーム、CFAのフレジュス・サンラファエル、ベルジュラックの2チームの合計5チームである。(続く)

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