第2149回 リヨン、ASローマに競り勝ち、8強入り

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■バルセロナでの大逆転劇で残るフランス勢は2チーム

 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦で第1戦を4-0と大勝したパリサンジェルマンが第2戦で1-6と大逆転負けを喫したのは3月8日、パリだけではなくフランスのサッカーファンにとってはまさに悪夢、近づいていた春が一気に真冬に逆戻りした。
 この時点で欧州カップに残っているフランス勢はチャンピオンズリーグで第1戦を3-5と落としているモナコとヨーロッパリーグ決勝トーナメントに進出したリヨンだけとなった。

■イタリア勢とほぼ互角のリヨンはASローマと対戦

 パリサンジェルマンの敗退の翌日、欧州各地でヨーロッパリーグの決勝トーナメント2回戦8試合が行われた。リヨンはイタリアのASローマと対戦、ホームでの第1戦となる。  ASローマは1回戦ではスペインのビジャレアルと対戦、アウエーの第1戦で4-0と大勝し、ホームの第2戦では余裕の0-1の敗戦で勝ち抜いてきた。リヨンは欧州カップではイタリア勢とほぼ互角の戦いを演じており、20戦して7勝5分8敗という成績を残している。新スタジアムで欧州の頂点を狙うリヨンにとってはアルプスの向こうのイタリアのチームを倒して、8強入りしたいところである。

■後半に3ゴール、2点差で第2戦を迎える

 満員のパルク・オランピックリヨネで試合が始まった。先制点はリヨンであった。8分にストッパーのムクタル・ディアカビがファーストチャンスをものにしてネットを揺らす。しかし、ASローマは20分にエジプトのメッシと言われるモハメド・サラーが同点ゴールを決め、33分にはダニエレ・デロッシのパスをフェデリコ・ファジオが決めて逆転に成功する。前半はこのままASローマのリードで終わる。
 しかし、後半にリヨンは目を覚ます。47分にマキシム・ゴナロンからアレクサンドル・ラカゼット、そしてラカゼットとコランタン・トリッソのワンツーが決まり、トリッソが同点ゴールを決める。勝ち越し点は74分、3分前に交代出場したばかりのナビル・フェキルのシュートが決まる。そしてホームアンドアウエーの2回戦方式では追加点が欲しい。CFでこの日はいい動きをしながら無得点だったラカゼットがマチュー・バルブエナからのパスを右足で豪快にシュート、4-2というスコアでリヨンが第1戦を制したのである。

■先制点はまたもやムクタル・ディアカビ、ASローマの猛攻をしのいだリヨン

 そして第2戦はその1週間後の3月16日に第2戦がローマのオリンピックスタジアムで行われた。第1戦で右サイドを破られることが多かったリヨンはラファエルとラシド・ゲザルに代えてクリストフ・ジャレとマクスウェル・コルネを起用する。2点差以上の勝利の欲しいASローマは1トップのエディン・ジェコをサラーとベルギー代表のラジャ・ナインゴランが支える。
 試合は立ち上がりからゴールを量産したいASローマが攻勢にでる。しばしばリヨンのゴールを襲うが、得点はならず、逆に先制点をあげたのはリヨンであった。16分にバルブエナのFKをディアカビがヘディングで決める。第1戦に続きディアカビは試合の最初のゴールを記録した。2試合ともストッパーの選手が先制点というのは珍しいケースであろう。これでASローマは3点が必要になった。その2分後にASローマは大逆転劇へのプロローグともいえる1点を返す。デロッシのFKを司令塔のケビン・ストロートマンがアクロバティックな体制からシュート、リヨンのGKアントニー・ロペスは反応が遅くなり、同点ゴールを許す。ローマのファンは前日のバルセロナの再現を信じ、熱心に声援を送る。
 その声援に応え、ASローマは試合を支配し、リヨンのゴールを襲い続ける。ストロートマンの得点を許した以外はロペスはスーパーセーブを連発し、勝ち越し点を許さない。しかし、ASローマの勝ち越し点は思わぬ形で生まれた。60分にリヨンのトゥサールが痛恨のオウンゴール、これでASローマは残り30分であと1点である。74分、スタジアムが揺れた。ジェコが無人のゴールにシュートを決めたが、オフサイドの判定。リヨンは救われた。リヨンもボールを奪ったら確実に前線までつなげ、見ごたえのある試合となった。結局リヨンはシュート数ではASローマの3分の1にしか及ばなかったが、試合を1-2でおさめ、2試合通算得点で上回り、8強入りしたのである。(この項、終わり)

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