第2160回 モナコ、準々決勝を突破 (1) フランスと縁のある選手を抱えるボルシア・ドルトムント

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■四冠の夢の破れたパリサンジェルマンとモナコ

 前回までの本連載では4月1日に行われたリーグカップの決勝でパリサンジェルマンがモナコを下して4連覇を果たしたことを紹介した。今季のフランスサッカーを牽引する両チームは3月中旬まではフランスリーグ、フランスカップ、リーグカップ、チャンピオンズリーグという国内外の四冠を獲得する可能性があったが、パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でスペインのバルセロナに歴史的逆転負けを喫し、モナコはリーグカップ決勝で敗れ、いずれも四冠の夢は消えた。
 こうなると注目はチャンピオンズリーグでモナコがどこまで行くのか、パリサンジェルマンが国内のタイトルをどれだけ獲得するのか、この2点に尽きるであろう。

■モナコの準々決勝の相手はボルシア・ドルトムント

 チャンピオンズリーグの準々決勝以降の抽選には同一国、同一グループリーグのチームと対戦したいといった制約がなくなる。モナコと対戦する可能性のある相手はバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムント(以上ドイツ)、レアル・マドリッド、バルセロナ、アトレチコ・マドリッド(以上スペイン)、レスター(イングランド)、ユベントス(イタリア)である。この準々決勝に臨む8チームの顔ぶれをみるとモナコとレスター以外は常連チームばかりである。モナコがこの中で欧州カップで対戦したことがあるのはバルセロナ(2敗)、レアル・マドリッド(1勝1敗)、ユベントス(1勝1分2敗)という名門クラブだけである。抽選の結果、バイエルン・ミュンヘン-レアル・マドリッド、アトレチコ・マドリッド-レスター、ユベントス-バルセロナ、ボルシア・ドルトムント-モナコとなった。
 チャンピオンズリーグ初出場のレスターであるが、アトレチコ・マドリッドとは2回(4試合)対戦したことがある。

■フランス生まれのピエール・エメリク・オーバメヤン

 ボルシア・ドルトムントはモナコとは欧州カップでの対戦経験がないが、日本の香川真司が所属していることから日本の読者の皆様はよくご存じであろう。3シーズンぶりの準々決勝進出となり、チームの最大の攻撃力はガボン代表のピエール・エメリク・オーバメヤンである。今季のチャンピオンズリーグ8試合でオーバメヤンは7ゴールをあげている。バルセロナのリオネル・メッシの11ゴールに続く数字である。このオーバメヤンはフランスのラバルの出身である。当時の父の仕事の関係でラバル出身となったが、父のピエール・オーバメヤンもガボン代表の主将としても活躍したサッカー選手であり、プロ生活のほとんどをフランスのクラブで過ごした。ラバル、ルアーブルなどに所属し、たまたまピエール・エメリクが生まれたときはラバルに所属していた。引退後はイタリアのACミランのスカウトとなり、ヨアン・グルクフなどを発掘するなどの功績を遺した。そして、この父ピエールの子供のビリー、カティリーナ、ピエール・エメリクの三兄弟はACミランの下部組織に入り、そこで才能を開花させ、3人ともプロのサッカー選手となった。
 ピエール・エメリクはACミランに所属している間にフランスのディジョン、リールなどのクラブにレンタルされ、モナコにも1シーズン在籍したという縁がある。フランスのアンダーエイジの代表の試合にも出場した経験があるが、フル代表としてはガボンを選んでいる。またサンテチエンヌ在籍中の2012年にはロンドンオリンピックではガボンチームの一員として出場している。サンテチエンヌの後、2013年からボルシア・ドルトムントに所属しており、そのスピードは脅威である。

■昨季のフランスリーグの新人王のウスマン・デンベレ

 そしてもう1人フランスに縁のある選手としては昨季のフランスリーグの新人王である19歳のウスマン・デンベレがレンヌから移籍してきた。昨年11月にはコートジボワールとの親善試合でフランス代表にデビューしている。
 フランスにゆかりのある選手を抱えるボルシア・ドルトムントであるが、事件は第1戦の行われる予定だった4月11日に起こったのである。(続く)

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