第2170回 アンジェとパリサンジェルマンが決勝進出 (3) 60年ぶり2度目の決勝進出となるアンジェ

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■準決勝はパリサンジェルマン-モナコとアンジェ-ギャンガン

 前々回と前回の本連載ではフランスカップ準々決勝の模様を紹介し、ギャンガン、モナコ、アンジェ、パリサンジェルマンが準決勝に進出した。
 この顔ぶれから多くのファンは決勝戦でのパリサンジェルマンとモナコの対戦を期待したがもったいないことに準決勝で両雄が4月26日にパルク・デ・プランスで対戦することになり、もう一つの準決勝は4月25日にアンジェとギャンガンの対戦となった。
 前座試合となった感のあるアンジェ-ギャンガン戦であるが、前回の本連載で紹介した通り、アンジェは3年ぶりの準決勝進出である。対するギャンガンもまた最近のフランスカップでは好成績を残しており、2年ぶりの準決勝進出であるが、その前年には優勝している。また2009年にも優勝を果たしている。

■下部リーグ時代に準決勝に進出したアンジェ

 アンジェは2015年に21年ぶりの1部復帰を果たしたが、2部時代の2015年、2011年の2回準決勝に進出しているが、準決勝の壁をなかなか乗り越えることができない。クラブの歴史を振り返るとこれまでフランスカップの準決勝に進出したことは6回あるが、準決勝を勝ち抜いたのは1回だけ、実に60年前の1957年のことである。レイモン・コパ競技場にはこの日も満員の1万5000人のファンが集まった。
 アンジェはこの時点でリーグ戦14位、ギャンガンは10位である。もう1つの準決勝はリーグ戦首位のモナコと2位のパリサンジェルマンが対戦することから、アンジェもギャンガンも、決勝戦でジャイアントキリング起こす権利をかけての戦いとなる。
 両チームはリーグ戦ですでにホーム、アウエーとも戦いを終えており、前半戦はギャンガンで試合を行い、ギャンガンが1-0と勝利したが、後半戦では3月18日にアンジェで戦い、アンジェが3-1と勝利している。

■先制点を奪ったアンジェ、ミスジャッジで得たPKを失敗したギャンガン

 試合は準々決勝同様、黒と白の縦縞のアンジェが立ち上がりから優位に試合を進める。30分台の後半からアンジェが波状攻撃を仕掛ける。ジョナタン・バンバのシュートは力なくギャンガンのGKにセーブされたが、その直後の38分にはバンバが右サイドからクロスをあげて、トマ・マンガニが飛び出して、左足でシュート、このシュートが決まり、アンジェが先制する。マンガニはモナコに所属していた2010年には決勝戦に出場している。大舞台での経験が先制点に結びついた。
 ギャンガンも攻めるが、アンジェの組織的な守備の前に得点機を作れない。何とか追いつきたいギャンガンはアントワン・コンブアレ監督が早め早めの選手交代を仕掛ける。そして89分、疑惑の判定が生まれる。アンジェは自陣のペナルティエリア内でシェイク・エンドイが胸でボールをトラップ、しかし、このプレーに対し主審のブノワ・ミヨー氏はハンドの判定、ギャンガンのPKとなる。思わぬプレゼントを得たギャンガンであるが、キッカーのジミー・ブリアンがこのPKを外してしまう。ブリアンの蹴ったボールはゴールポストの外を通過し、ギャンガンは同点のチャンスをふいにしたのである。
 万雷の歓声に沸くレイモン・コパ競技場、アンジェはアディショナルタイムの92分に気落ちしたギャンガンからボールを奪い、カウンターアタックからカール・トコ・エカンビが追加点をあげる。

■60年ぶりの決勝進出となったアンジェ

 2-0というスコアでギャンガンを下したアンジェは60年ぶりの決勝進出を決め、翌日に行われるパリサンジェルマンとモナコの勝者と5月27日にスタッド・ド・フランスで決勝を戦うことになったのである。
 アンジェは両チームとはリーグ戦ですでに戦い終わっており、4試合とも敗れている。特に後半戦は4月に入ってから対戦したばかりである。8日にモナコ、14日にパリサンジェルマンを迎え、いずれも完封負け。フランスカップのファイナルで勝利すれば、最後の最後にジャイアントキリングが待っているのである。(続く)

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