第2173回 モナコ、準決勝で敗れる (2) ゴンサロ・イグアインの2ゴールの前にモナコ沈黙

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ベストメンバーで臨んだモナコ

 過密日程の続くモナコ、5月3日に行われたチャンピオンズリーグ準決勝の先発には前週のフランスカップ準決勝とは打って変わってベストメンバーがそろった。GKはダニエル・スバシッチ、DFは右からナビル・ディラー、カミル・グリック、ジェメルソン、ジブリル・シディベ、守備的MFは右にファビーニョ、左にティエムエ・バカヨコ、攻撃的MFはワイドに開き、右にベルナウド・シウバ、左にトマ・ルマール、2トップは右にラダメル・ファルカオ、左にキリアン・ムバッペという陣容である。このうちシディベとバカヨコ以外の9人は直前の週末に行われたリーグ戦のトゥールーズ戦にも先発しており、ここからはチャンピオンズリーグと国内リーグの二兎を追うという姿勢がよくわかる。

■若手の多いモナコ、ベテランぞろいのユベントス

 出場停止となっている選手はおらず、負傷で戦線離脱したのは左サイドDFのバンジャマン・マンディくらいであり、シディベが1月ぶりに先発メンバーとなった。30歳を超えているメンバーもスバシッチ、ディラー、ファルカオと3人いるが、過半数の6人が23歳以下という伸び盛りの若手が主体のメンバーである。また年齢こそ若いが、チャンピオンズリーグでのキャリアが不十分であるわけではなく、ムバッペ以外の10人は10試合以上チャンピオンズリーグの試合に出場している。そして18歳のムバッペも出場7試合で5得点と驚異的な得点数を記録している。
 対するイタリアのユベントス、青いセカンドユニフォームでモナコの本拠地、ルイ二世競技場に乗り込む。ユベントスもほぼベストメンバーであり、サミ・ケディラが出場停止になっているくらいである。39歳のGKのジャンルイジ・ブッフォンをはじめとしてベテラン選手が多く、先発メンバーの平均年齢はモナコを5歳上回り、30歳である。

■ダニ・アウベスの絶妙のヒールキックからゴンサロ・イグアインが先制

 満員の観衆が見守る中、キックオフ。ユベントスが押し気味であったが、先にチャンスをつかんだのはモナコであった。16分にディラーがムバッペをターゲットにクロスをあげる。ムバッペはシュートするが、ブッフォンがセーブする。ブッフォンはその3分後にもディラーのクロスからのファルカオのヘディングシュートをCKに逃れる。モナコは先制のチャンスをモナコは2回のがしてしまう。
 ボール支配率で6割を超えるユベントスは29分にダニ・アウベスがゴール前でヒールキックでゴンサロ・イグアインにパス、これをイグアインは右足でシュート、スバシッチのセーブも及ばず、ユベントスがアウエーで貴重な先制点を奪う。殊勲のヒールキックとなったダニ・アウベスであるが、この日がチャンピオンズリーグ出場101試合目、そして他の欧州カップも含めると出場142試合目である。ブラジル人として欧州カップの最多出場はこの日までダニ・アウベスとロベルト・カルロスが並んでいたが、ダニ・アウベスはこの日の出場でブラジル人として欧州カップ最多出場となった。記念すべき試合にベテランらしい判断で先制点を導き出した。

■ジャンルイジ・ブッフォンが好守、モナコは本拠地で今季初の完封負け

 そして後半に入っても最初の得点機はモナコであった。47分にファルカオのシュートが枠をとらえたが、ブッフォンに阻まれ、ベテランの守るゴールを打ち破ることができない。59分にユベントスは決定的な追加点を奪う。モナコは中盤でバカヨコがボールを失い、ユベントスはパウロ・ディバラが右サイドのダニ・アウベスにふり、ダニ・アウベスがクロスをあげる。ファーポスト側に走りこんだイグアインが今度は左足でハーフボレーでシュート、ネットが揺れて2点目を決める。イグアインは今季のチャンピオンズリーグでチーム最多の5得点目となる。
 モナコは選手交代で活路を見出そうとするが、ノーゴールのまま第1戦を0-2と落としてしまう。モナコは本拠地で今季初めて無得点に終わり、1週間後のトリノでの戦いで大逆転を狙うには厳しい状況に追い込まれたのである。(続く)

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