連覇を狙うフランス・サッカー 若き“ブルー”の肖像~ワールドユース、フランス戦記(3)

期待を背負う若きブルーたち

 さて、今まで2回しか本大会に出場経験のないフランスユース代表であるが、今回は兄貴分のフル代表がタイトルを立て続けに獲得していることに加え、昨年のU-18欧州選手権で優勝していることから期待が高まっている。昨年7月にドイツで行われたU-18欧州選手権には予選を勝ち抜いた7カ国と開催国のドイツが出場。グループBのフランスは初戦でもっとも弱いという下馬評のフィンランドに敗れ、第2戦のチェコ戦では18分に先制しながら、54分に2人が退場処分を受ける。しかしフル代表顔負けの守備陣の健闘が最少得点を守り抜き、最終戦のロシア戦に望みをつなぐ。最終戦の結果次第ではすべてのチームに決勝進出の可能性があるという混戦になった。フランスはロシア戦で2-0と快勝、フィンランドがチェコに2-3と敗れたため、2勝1敗、得失点差+2のフランスがグループBの首位となり、決勝に進出。ウクライナとの決勝では途中出場したエルベ・ブニェが決勝点をあげて、3年ぶり4回目の優勝を飾ったのである。
 大西洋を渡った21人の若きブルーのメンバーを簡単に紹介しよう。まず注目すべきことは昨年のU-18欧州選手権にエントリーされた18人の選手のうち16人が今回のアルゼンチン大会にもエントリーされていることである。注目選手としてはバスティアのゴールマスクを守るニコラ・ヌトー、パリサンジェルマンのDFとして、昨秋に日本代表と対戦し、日本のファンの皆さんもよくご存知のベルナール・メンディ。日本代表との試合では途中からキャプテンマークをつけ、未来のディディエ・デシャンを思わせる風格がすでに漂っている。
 リーグ戦の成績はさえなかったが若手の宝庫オセールからは3人が選出され、DFのフィリップ・メグゼとジブリル・シセはリーグ戦の経験も豊富である。そして昨年のU-18欧州選手権の決勝で唯一のゴールを上げたブニョもボルドーで活躍している。ガンガンのジョナタン・ジョゼフ・オーギュスタンは負傷したサミュエル・ネヴァに代わって追加登録されたが、「アルゼンチン行きのために自分のバカンスが短くなることもいとわない」と頼もしい発言をしてくれている。

初の栄冠獲得に熱が入るフランス

 そのような上り調子の若い選手たちを率いるのはオリンピックチームの監督を6年にわたり務めながらも、シドニーオリンピックの出場権を逃したレイモン・ドメネッシュである。U-18欧州選手権を制した時はジャック・クルボワジエが監督であったが、ドメネッシュを監督にしたところから本大会におけるフランスの熱の入れ方が理解できる。
 1984年のロサンジェルス・オリンピックの優勝以来、フランスは年齢制限のある世界規模での大会で優勝していない。しかも前回のワールドユースはタレントをそろえながら、決勝トーナメントに出場できなかった。
 フランス・ユース代表は年明けから親善試合をこなし、1月にはユーゴスラビアに2-0、2月には昨年のU-18欧州選手権で唯一の黒星を喫したフィンランドをナルボンヌに迎え、2-1と雪辱を果たす。5月下旬には恒例の第29回ツーロン国際ユース大会に出場する。ニームでの初戦はポルトガルに2-3と負け、第2戦も日本と1-1と引き分け、2試合で勝ち点わずか1というピンチに立たされる。しかし、オーバーニュに舞台を移したグループリーグ最終戦のポーランド戦でようやく3-1と初勝利をあげて、決勝トーナメント進出、しぶとさをみせる。準決勝ではコロンビアに1-2と敗れ、3位決定戦に回り、オランダを2-1と破り、3位を確保する。
 昨年のU-18欧州選手権での成績を考えると、ツーロンでの4年ぶりの優勝を逃したことは物足りないが、相性の悪いマル・デル・プラタでのグループリーグを難なく突破し、初の栄冠を持ち返ってくれることを期待したい。

ツーロン国際大会
フランスのツーロンで行われているユース強化のための国際大会。2001年の大会では、フランスU-20対日本U-20も行われ、1-1の引き分けで終わっている。ちなみに日本はこの大会グループリーグ2敗1分けの4位と予選リーグ敗退に終わった

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