第2204回 2部から昇格した3チーム(2) 24年ぶりの入れ替え戦を制したトロワが1部昇格
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■最終節までもつれた2部降格争い
前回の本連載では6チームが争う昇格争いで首位のストラスブールと2位のアミアンが1部に昇格し、得失点差でアミアンに及ばなかったトロワは1部18位のチームとの入れ替え戦に回ることになった。
昨季のフランスリーグは2部が1部よりも1週間早く終了し、1部の最終節は5月20日に行われた。最終節を迎える段階で2部への降格の決まったチームはなく、20位のナンシー(勝ち点32、得失点差-25)、19位のバスティア(34、-26)、18位のロリアン(35、-26)、17位のカーン(36、-29)、16位のディジョン(36、-12)という5チームに降格の可能性があり、20位のナンシーだけは18位以下が確定していた。この5チームはいずれもすでに残留を決めているチームと対戦したが、勝利することができたのはナンシーだけであり、残りのチームは引き分けまたは敗戦であった。19位に順位をあげたナンシーと最下位のバスティアの2部降格が決まった。
■パリサンジェルマン相手にアディショナルタイムに追いついたカーンが残留
そして注目すべきはカーンとロリアンの17位争いであろう。最終戦で17位のカーンはアウエーでパリサンジェルマンと対戦し、勝ち点1差で追う18位のロリアンはホームでボルドーと対戦する。パリサンジェルマンは優勝を逃したとはいえ、ホーム最終戦で確実に勝利し、その翌週末にあるフランスカップ決勝に向けて調子をあげたい。そしてボルドーは6位であるが、順位を1つ上げればヨーロッパリーグに出場することができる。パリサンジェルマン、ボルドーともに前半の早い時間帯に先制し、地力の違いを感じさせたが、ロリアンは69分に追いつく。ロリアンはカーンに得失点差で上回っているため、これでロリアンは17位に浮上し、残留決定かと思われたが、なんとパルク・デ・プランスではカーンが後半アディショナルタイムにロニー・ロデランのゴールで追いつき、ロリアンは18位にとどまり、入れ替え戦に回ることとなった。
■第1戦は終了間際の決勝点でトロワが先勝
1部と2部の間の入れ替え戦が行われるのは1993年以来24年ぶりのことである。
入れ替え戦は5月25日にトロワで第1戦、28日にロリアンで行われた。トロワでの第1戦、満員の観衆に支えられたトロワは37分にゲームキャプテンのステファン・ダルビオンが先制点を決める。11シーズン1部に在籍してきたロリアンは82分に追いつく。アウエーのロリアンが引き分けに持ち込むかと思われた90分、トロワは途中出場してきた本来の主将である40歳のバンジャマン・ニベが勝ち越しゴールを決める。3分のアディショナルタイムを乗り切ってトロワは2-1とホームで先勝したのである。
■支配された第2戦を無失点に抑えたトロワ、今世紀4回目の1部昇格
第2戦はロリアンに舞台を移すが、日曜日の夜の試合と会ってイブ・アレンマ競技場は残留を願うファンであふれる。この試合ホームのロリアンは2点以上の得点が必要であり、パスをつないでボールを支配する。パスの本数、ボール支配率ともにロリアンはトロワの3倍を記録する。しかし、ロリアンはゲームの試合をシュートに結びつけることができず、シュート数はゼロに終わる。結局スコアレスドローとなり、トロワが通算得点2-1で1部昇格を決める。
トロワは2016年の夏に2部に降格したが、1シーズンで1部に復帰を決めたのである。しかし、トロワは典型的なエレベータークラブであり、1部と2部を往復している。今世紀に入ってからすでに1部と2部の間を4往復している。2003年に2部に降格し、2シーズン後の2005年に1部に昇格、しかしわずか2シーズンで2007年には2部に降格した。2部で2シーズン目の2008-09シーズンは19位になり、ナショナルリーグに降格してしまうが、1シーズンで2部に復帰、2011-12シーズンは2部で3位となり1部に復帰する。ところが2012-13シーズンも1部では19位にとどまり、2部降格する。2シーズンで1部に復帰したが、2015-16シーズンも最下位になり、2部に降格し、入れ替え戦を勝ち残って1部に復帰したが、今度こそ定着してもらいたいものである。(続く)