第2216回 若手の活躍でオランダに大勝(1) キリアン・ムバッペは招集、ウスマン・ダンベレは招集されず
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ホームでオランダ、ルクセンブルクと連戦するワールドカップ予選
8月初めにシーズンが始まり、国内のリーグ戦、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの予備戦、プレーオフが行われてきたが、いよいよ8月の末から代表の試合が始まる。終盤戦を迎えたワールドカップ予選、第7節は8月31日にスタッド・ド・フランスでオランダ、第8節は9月3日にトゥールーズでルクセンブルクと対戦する。ホームでの連戦、確実に連勝しておきたいところである。
■3位オランダとの直接対決で敗れた場合、順位が逆転
フランスが所属しているグループAの現在の状況を紹介しておくと、フランスとスウェーデンが勝ち点13で並んでいるが、得失点差はスウェーデンが+8、フランスが+6であり、スウェーデンが1位、フランスが2位である。6月のスウェーデンでの直接対決のアディショナルタイムの失点が悔やまれる。そのフランスが第7節で対戦するオランダは勝ち点13(得失点差+7)で3位である。すなわち、直接対決でオランダがフランスに勝利した場合は順位が逆転する。この3チームに加えて第7節でスウェーデンと対戦する4位の勝ち点9(-3)のブルガリアまでが圏内にあるといえるであろう。前々回の本連載でフランスリーグ第4節は上位陣同士の戦いを紹介したが、このワールドカップ予選でも第7節は上位勢同士の戦いのあるファンの注目を集める日となった。
■また湧き上がったカリム・ベンゼマ待望論
フランス代表のディディエ・デシャン監督は、オランダ、ルクセンブルクとの連戦のために、8月24日にメンバーを発表した。このときに話題になったのが、カリム・ベンゼマをメンバーに入れるかどうかである。ベンゼマについては2015年11月にフランス代表のチームメイトであるマチュー・バルブエナの性行為の映像で恐喝し、警察に逮捕されている。これでベンゼマは代表から追放され、精神的なショックを受けたバルブエナも代表から離れてしまう。昨年の欧州選手権の時点ではベンゼマ自身の法的な問題が解決されたことから、代表復帰も可能であり、ベンゼマの復帰について国内で大きな議論となった。しかし、チームの和を重視する代表にはふさわしくない人物として招集されなかった。そしてベンゼマなきフランス代表はアントワン・グリエズマンの活躍で欧州選手権では準優勝を果たす。これでベンゼマ待望論は消えたかに見えたが、またオランダとの大一番を前にベンゼマ復帰論が沸き起こった。
しかし結局ベンゼマの名前はなく、規律を重視するデシャン監督の人柄のあふれる人選となった。
■明暗の分かれた移籍市場の主役、キリアン・ムバッペとウスマン・デンベレ
そしてもう2人話題となったのがキリアン・ムバッペとウスマン・デンベレである。ドイツのボルシア・ドルトムントで活躍する20歳のデンベレ、昨季のモナコの優勝の立役者と言える18歳のムバッペ、いずれもこの夏の移籍市場の目玉となるフランス人選手である。代表メンバー発表の時点でデンベレはバルセロナ(スペイン)、ムバッペはパリサンジェルマンへの移籍が有力視されており、結果的にはその通りになったが、移籍確実な選手はそれまでの所属チームでは出場機会が失われる。ムバッペについては前々回の本連載で紹介したとおり、マルセイユとの試合には出場しておらず、その前に試合もベンチウォーマーであった。デンベレもボルシア・ドルトムントでは試合に出場しておらず、コンディション面からデシャン監督の判断が注目されたが、練習に参加しているムバッペはリストに入り、練習にも参加していないデンベレはメンバーから外れた。
この結果、24人のメンバーは下記のとおりである。GKはウーゴ・ロリス、アルフォンス・アレオラ、スティーブ・マンダンダ、DFはルカ・ディーニュ、クリストフ・ジャレ、プレスネル・キンペンベ、ローラン・コシエルニー、ジブリル・シディベ、サミュエル・ウムティティ、レイバン・クルザワ、ラファエル・バラン(負傷のため、27日に離脱し、クルト・ズーマが追加招集)、MFはエンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、アドリアン・ラビオ、コランタン・トリッソ、トマ・ルマール、FWはキングスレー・コマン、オリビエ・ジルー、アントワン・グリエズマン、アレクサンドル・ラカゼット、キリアン・ムバッペ、ナビル・フェキル、フローラン・トーバンというメンバーである。(続く)