第2224回 チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ開幕(4) モナコ、アウエーでRBライプチヒとドロー
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■パリサンジェルマンの脇役になったモナコ
フランス勢の先陣を切って登場したパリサンジェルマンがアウエーでセルチック・グラスゴー(スコットランド)に5-0と大勝して幸先の良いスタートを切った。その翌日に登場するのがモナコである。昨季のモナコはリーグ戦では優勝、チャンピオンズリーグでは準決勝進出といずれもパリサンジェルマンより良い成績を残しており、今回のチャンピオンズリーグも第1シードとして臨んでいる。しかしながら、パリサンジェルマンに次ぐ第二のチームという印象はぬぐえない。それは、この数年はパリサンジェルマンがチャンピオンズリーグで安定した成績を残してきたことに加え、昨季の後半にブレイクし、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントで活躍したキリアン・ムバッペのパリサンジェルマンへの移籍が拍車をかけた。
■議論を巻き起こしたキリアン・ムバッペのパリサンジェルマン入り
ムバッペは昨季の活躍で欧州の移籍市場の主役となった。パリサンジェルマンを含む多くのチームが関心を示したが、すでにネイマールを史上最高の移籍金となる2億2200万ユーロで獲得したパリサンジェルマンはフィナンシャルフェアプレーに抵触するということでムバッペの獲得は無理であろうと思われていた。しかし、ここでパリサンジェルマンは裏技を使う。移籍金を支払って獲得するのではなく、レンタル扱いにすれば移籍金は当面は発生しない。そしてフィナンシャルフェアプレーに抵触しなくなった段階で移籍金を支払ってパリサンジェルマンに移籍するというわけである。
このような昨季からの流れを知るモナコのファンは今季もパリサンジェルマンよりも良い成績をとることを熱望している。リーグ戦では8月中はモナコもパリサンジェルマンも4連勝、ところがインターナショナルマッチデー明けの第5節ではニースに0-4と大敗し、昨季後半から続けてきた無敗記録が24でストップしてしまう。パリサンジェルマンは第5節のメッス戦で5-1、チャンピオンズリーグの初戦で5-0と続けて大勝しており、モナコもチャンピオンズリーグの初戦で軌道を戻したいところである。
■1部昇格初年で2位となり、初めてのチャンピオンズリーグを戦うRBライプチヒ
モナコの初戦の相手はドイツのRBライプチヒである。多くの日本人選手がブンデスリーガでは活躍しているが、日本のファンの皆様にとってもなじみの薄いチームではないだろうか。それもそのはず、2009年に当時5部リーグに所属していたチームを飲料メーカーのレッドブルが買収し、昨季1部に昇格したばかりである。レッドブルというとオーストリアのレッドブル・ザルツブルク、米国のレッドブル・ニューヨークを所有している。ドイツではチーム名に企業名を入れることができないため、頭文字のRBのみを冠としている。資金力にものを言わせてビッグネームを集めるのではなく、若手選手を中心にチームを編成し、もちろんその中にはレッドブル・ザルツブルク出身の選手も数人いる。1部昇格初年に2位に入り、チャンピオンズリーグ本戦出場を決定、ドイツ勢では本戦に出場した12番目のチームとなり、記念すべき試合を迎えた。
■先制された直後に追いついたモナコ、勝ち越し点をあげられずドロー
試合はホームで4万人の声援を受けたRBライプチヒが終始優勢に試合を進めた。そして33分にRBライプチヒのスウェーデン代表エミル・フォシュベリが先制ゴールをあげる。フォシュベリはかつてはスウェーデンのマルメに所属し、チャンピオンズリーグにも出場したことがあったが、うれしい初ゴールとなった。
対するモナコも直前のニース戦での大敗のショックを振り切るためにもゴールが欲しい。失点した直後の34分、モナコはユーリ・ティーレマンスが同点ゴールを決める。
試合はその後もRBライプチヒが押し気味に進めるが、両チーム決め手を欠き、勝ち越し点を奪うことができない。
終盤には両チームとも攻撃陣を入れ替え、RBライプチヒはパリサンジェルマンから移籍してきた20歳のジャン・ケビン・オーギュスタンを投入し、スタジアムは沸く。しかしながら試合は1-1のままドローで終了、アウエーとはいえ、モナコは痛恨の引き分けとなった。(続く)