第2253回 ワールドカップを目指し、発進(7) 10戦全勝で予選を突破したドイツ
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ワールドカップで敗れてからドイツに連勝しているフランス
ウェールズに64年ぶりに勝利したフランス、14日にはアウエーでドイツと対戦する。ウェールズとは異なり、サッカーの世界ではドイツは隣国のライバルとして数多く戦ってきた。東西ドイツ時代を含めてこれまで30回対戦し、戦績はフランスが13勝8分9敗と勝ち越している。しかし、ワールドカップの本大会では1958年の初対決の際に6-3と勝利したのが最後で、1982年大会、1986年大会、そして前回の2014年大会と3連敗中である。これらの対戦はいずれも決勝トーナメントであり、来年のワールドカップでも対戦するとすれば、決勝トーナメントであろう。そして2014年夏に0-1とブラジルの地で敗れてから2015年の同時多発テロの起こったスタッド・ド・フランスでの親善試合、そして昨年マルセイユで行われた欧州選手権準決勝と2回対戦しているが、いずれもフランスが勝利している。フランスとしては今回も勝利して、世界チャンピオンのドイツに苦手意識を持たせたいところである。
■予選で10戦全勝、43得点4失点という抜群の強さを見せたドイツ
世界チャンピオンのドイツはワールドカップ予選では他を寄せ付けない強さを見せた。チェコ、北アイルランド、ノルウェー、アゼルバイジャン、サンマリノという比較的恵まれたチームとともにグループCに入る。ここで10戦全勝で本大会出場を決めた。悪漢だったのはその内容である。10試合で総得点43、失点はわずかに4、得失点差は実に+39という驚異的な数字であり、1点差の勝利はアウエーのチェコ戦だけであり、大差をつけてロシア行きのチケットをつかんだのである。そして親善試合でも負け知らず、欧州選手権の準決勝でフランスに敗れて以来、1年3か月の間無敗を続けている。
■イングランド戦の3バックに代え、4バックシステムのドイツ
連覇を狙うドイツもワールドカップの決勝トーナメントの終盤になればフランスクラスとの対戦は十分にある。そういう点でフランス同様に手ごたえのある相手との試合で選手をテストしたいところである。ドイツはこの11月の親善試合は10日にイングランドとウェンブリーで対戦し、スコアレスドローとなっている。イングランドとドイツも対戦成績は均衡しており、それまでは双方が13勝、5つの引き分けであったが、今回の32回目の対戦も引き分けとなった。
イングランド戦は3バックで臨んだドイツであったが、このフランス戦は4バックの布陣となる。ドイツのGKはご当地パリサンジェルマン所属のケビン・トラップ、DFは右からエムレ・ジャン、ニクラス・ジューレ、マッツ・フンメルス、マルビン・プラッテンハルト、MFは低い位置にサミ・ケディラとトニ・クロース、攻撃陣は右にイルカイ・ギュンドガン、中央のトップ下にメスト・エジル、左にユリアン・ドラクスラー、そして1トップはティモ・ベルナーである。
■注目の若手ストライカーのティモ・ベルナー
この11人のうちイングランド戦にも先発出場したのはフンメルス、ギュンドガン、エジル、ドラクスラー、ベルナーの5人である。フンメルスからドラクスラーまではよく知られている選手で、親善試合とは言えどもチームには欠かせない主力選手であろう。
そしてウェンブリーでの試合に引き続きトップを務めるベルナーはまだ21歳、チーム最年少である。代表デビューは今年の3月であるが、コンフェデレーションズカップでは3得点2アシストと得点王に輝いている。代表ではこれまで8試合出場で6得点という驚異的な得点力を有する。そしてシュツットガルト出身であるが、シュツットガルトが2部に降格したのを機会にちょうど1部に昇格してきたRBライプチヒに昨季移籍する。RBライプチヒではリーグ4位となる21得点をあげて、チームの躍進に貢献し、昇格初年でリーグ2位、チャンピオンズリーグ出場へと自身もチームもスターダムへと駆け上がったのである。チャンピオンズリーグでは11月1日のポルト(ポルトガル)船で初ゴールを決め、若きストライカーがウェンブリーに続き、スタッド・ド・フランスでも初顔見世となったのである。(続く)