第2258回 ベルギーに競り勝ち、16年ぶりのデビスカップ優勝 (3) ベルギーの決勝進出の立役者ダビッド・ゴファン

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2015年に111年ぶりに決勝進出を果たしたベルギー

 これまでに7回の対戦経験のあるフランスとベルギー、決勝では初めての対戦となる。ベルギーがデビスカップの決勝に進出するのは初挑戦の1904年を除くと2015年だけである。ワールドグループ制になってからは、ワールドグループとその下のグループIの往復が続き、ワールドグループでもなかなか1回戦が突破できず、1回戦で敗れてプレーオフで勝って残留するという時代が続いた。
 そのベルギーが16年ぶりにワールドグループの1回戦を突破したのが2015年のことである。スイス、クロアチア、アルゼンチンを破り、111年ぶりに決勝に進出する。決勝ではアンディ・マリーを擁する英国に1-3で敗れたが、この決勝進出を契機にベルギーではテニス熱が起こった。

■ドイツに初勝利した1回戦、ダビッド・ゴファンの参戦でイタリアにも勝利

 そして今年は1回戦でドイツとフランクフルトで対戦、西ドイツ時代も含めて過去8回対戦していずれもドイツが勝利しているが、今年は違った。シングルスでスティーブ・ダルシスが2勝をあげる活躍でドイツに4-1と勝利し、9回目の対戦で初めてドイツを下したのである。このドイツ撃破が快進撃の始まりであった。
 準々決勝からダルシスに代わってエースとなったのがダビッド・ゴファンである。日本の皆様は秋に行われる楽天オープンで昨年は準優勝、今年は優勝していることからよくご存知のテニスプレーヤーであろう。今年に入って1月の全豪オープンでベスト8に入り、2月には初めてランキングでトップ10入りした。4月初旬に行われたイタリア戦ではシングルス2試合に出場していずれもストレート勝ち、このゴファンの2勝とダルシスの勝利でベルギーはイタリアを下し、準決勝に進んだのである。

■準決勝はテニス大国豪州と対戦

 準決勝の相手は豪州である。四大大会の開催国であり、これまでに優勝24回と米国に次ぐ優勝回数を誇るテニス大国である。しかし、意外なことにベルギーとはこれまで4回対戦して2勝2敗とタイの成績である。さらにワールドグループ制になってからは2007年のワールドグループ1回戦、2010年のプレーオフと2回対戦し、2回ともベルギーが勝利しており、ベルギーにとっては相性のいい相手である。9月15日から17日にかけてブリュッセルで準決勝が行われた。この準決勝でも大活躍したのがゴファンであった。第1ラバーに出場し、ジョン・ミルマン相手に第1セットをタイブレークで落としたが、第2セットから3セット連続で奪って先勝する。そして第2ラバーはダルシスが豪州のナンバーワンのニック・キルギオスである。キルギオスはダルシスとフルセットの熱戦を制して、初日のシングルスは1勝1敗で終えた。2日目のダブルスは豪州ペアがストレート勝ち、豪州は王手をかけた。

■昨年の楽天オープン決勝の雪辱を果たしたゴファン

 最終日のシングルス、第4ラバーはエース対決である。ゴファンとキルギオス、日本の読者の皆様ならばよくご存じであろう、昨年の楽天オープンの決勝の再現である。有明では当時の世界ランキング15位で第6シードのキルギオスがランキング14位で第5シードのゴファンに対して2-1で逆転勝ちを収めている。ランキングもシード順も上位であったゴファンにとっては痛恨の敗戦であったであろう。ゴファンは金曜日同様に第1セットをタイブレークで落としたが第2セット以降は3セット連取、逆転勝ちで2勝目をあげ、決勝戦へのチケットは最終第5ラバーの結果に委ねられたのである。
 最終戦、ベルギーはダルシスで順当であるが、豪州は前日のダブルスに出場したジョーダン・トンプソンを起用した。ダルシスはストレートで勝利し、ベルギーが決勝進出を決めたが、ゴファンの活躍なしに今のベルギーテニス界は語れないであろう。
 ゴファンの世界ランキングは7位、これはゴファンにとってのキャリアハイである。そして今年の10月に行われた楽天オープンでは優勝、この手ごわいエースがフランスの前に立ちはだかるのである。(続く)

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