第2259回 ベルギーに競り勝ち、16年ぶりのデビスカップ優勝 (4) 決勝を争う両チームのメンバー
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ラグビーのテストマッチを押しのけてリールで決勝を開催
16年ぶりの優勝を目指すフランスは、16年ぶりにベルギーと対戦する。フランスのホームゲームであるが、フランスはこの決勝の舞台をリールのピエール・モーロワ競技場で行うことに決定した。本連載第2232回で紹介したとおり、ピエール・モーロワ競技場では11月24日にラグビーのフランス-日本戦が予定されており、すでにチケットも販売されていたが、ラグビーンのテストマッチの会場を変更させてまで、フランスはこのピエール・モーロワ競技場での開催にこだわった。
まずは、その収容人数である。本来はサッカー場であるが、屋根付きであることからテニスを行うこともでき、多くの観客を受け入れることができる。本連載の読者の皆様ならよくご存じの通り、2014年の決勝ではスイスとの対戦にこのピエール・モーロワを使用し、3日間で8万人の観客を集めた。テニスの試合としては世界最多の観客を集まるという実績がある。そして今回の相手はベルギー、ベルギーのファンにとってもフランス北部のリールは願ってもない立地である。
その主催者側の目論見通り、平日であるにもかかわらず、初日の11月24日の金曜日から満員の27,500人の観衆が集まった。そしてホームゲームであるフランスはコートのサーフェースを決定することができるが、赤土のクレーコートではなく室内では一般的なハードコートを準備したのである。
■ヤニック・ノア監督の選んだメンバー
このハードコートで優勝を狙うメンバーとしてヤニック・ノア監督が選んだメンバーは次の4人である。シングルス要員としてジョー・ウィルフィード・ツォンガとルカ・プイユ、そしてダブルス要員としてリシャール・ガスケとピエール・ユーグ・エルベールである。ダブルスに関してはダブルスのスペシャリストのニコラ・マユあるいはベテランのジュリアン・ベネトーと英国戦で活躍したメンバーも候補として挙がったが、四銃士の一員のガスケをノア監督は起用した。
一方のベルギーは前回までの本連載で紹介してきたようにシングルスはダビッド・ゴファン、スティーブ・ダルシス、そしてダブルスにはルーベン・ベメルマンスとジョリス・デローレを起用する。
■開幕戦はルカ・プイユ-ダビッド・ゴファン戦
開幕前日の11月23日、リールの県庁のホールで組み合わせ抽選会が行われた。シングルスで両チームのナンバーワン同士は最終日の第1試合、すなわち第4ラバーで対戦するので、この抽選会は初日のシングルスで各国のエースが第1ラバーに出場するか第2ラバーに出場するかが注目点である。
この時点で両国のシングルスプレーヤーの世界ランキングを紹介すると、フランスのナンバーワンはツォンガであり、ランキング15位、ナンバーツーがプイユとなり18位である。対するベルギーはナンバーワンのゴファンが7位、ナンバーツーのダルシスが76位である。
組み合わせ抽選の結果、第1ラバーはプイユ-ゴファン、第2ラバーはツォンガ-ダルシスとなり、ナンバーワンプレーヤーはベルギーが第1試合、フランスは第2試合に出場することになった。
■世界ランキング7位のゴファンに対し3戦全勝のプイユ
第1ラバーは23歳のプイユと26歳のゴファン、第2ラバーは32歳のツォンガと33歳のダルシスと若手同士、ベテラン同士の戦いとなった。この4人のランキングを見るならば、自己最高位で7位のゴファンが頭1つリード、そして10位台のツォンガとプイユがいて、大きく離れてダルシスと見える。ベルギーとしてはまずゴファンがプイユを退けたいところであるが、このプイユとゴファンはこれまでしているように見える。しかし、プイユはこれまでにゴファンと3回対戦し、3回とも勝利している。いずれも昨年対戦しており、ハードコートのブリスベーン国際に始まり、クレーコートのマドリッドでも勝利、直近の対戦は室内ハードコートのメッスである。プイユは世界ランキング1ケタのゴファンに対して優位な立場でコートに入るのである。(続く)