第2264回 ベルギーに競り勝ち、16年ぶりのデビスカップ優勝 (9) 16年前の決勝の最終戦で勝利したニコラ・エスクーデ

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■19歳の大黒柱ロジャー・フェデラーを下したニコラ・エスクーデ

 フランスが前回優勝した2001年、この年の準々決勝のスイス戦、シングルスは歴史の残るものとなった。まず初日の第1試合、アルノー・クレマンはフルセットの末、マルク・ロセを下したが、タイブレークのないファイナルセットは15-13というスコアであった。そして第2試合にフランスはニコラ・エスクーデ、スイスはロジャー・フェデラーが登場する。まだ19歳のフェデラーであったが、この年がデビスカップチームに加入して3年目、そして直前の1回戦ではシングルス2試合、ダブルス1試合に出場して3勝、チームの全勝利を稼いでいる。このフェデラーに対し、エスクーデは3-1と競り勝ち、フランスは初日のシングルスに連勝し、王手をかける。

■第5ラバーの最終戦のシングルスで競り勝ったエスクーデ

 しかし、フェデラーがロレンツォ・マンタと組んだダブルスでフランスのセドリック・ピオリンとファブリス・サントロのペアはフルセットの末敗れ、さらに最終日のシングルスの第1試合でフェデラーがアルノー・クレマンとのエース対決で勝利、スイスはフェデラーの活躍で2勝2敗のタイに追いついた。
 最終戦で準決勝行きのチケットをかけて争うことになった。フランスはエスクーデを起用するが、スイスは初日の長時間の試合の疲れのあるロセを交代し、ジョージ・バストルを起用する。このバストルとエスクーデの戦いも長丁場となる。第1セットはバストルが6-1と簡単に奪うが、第2セットをエスクーデが7-5と取り返し、第3セットはタイブレークを制したバストルが取る。しかし、エスクーデは第4セットを6-4、そして第5セットは6-6となってから2ゲームを連取し、8-6と競り勝つ。
 フランスは3勝2敗でスイスを下したが、5試合のうち3試合がフルセットマッチ、そしてそのいずれもが6-6になってから2ゲーム差が続くまでの激戦であった。

■決勝の相手はレイトン・ヒューイットとパトリック・ラフターの豪州

 そして準決勝でオランダに勝利したフランスは決勝で豪州と対戦する。この年のフランスは多彩なタレントが集まり、シングルスのメンバーをその都度入れ替えていた。準々決勝と準決勝ではエスクーデとクレマンを起用したが、1回戦ではクレマンとセバスチャン・グロスジャンを起用していた。決勝でもこの時点でフランス勢で最もランキングの高いグロスジャンをクレマンとともに起用する。対する豪州のエースはレイトン・ヒューイット、そしてパトリック・ラフターも控える。

■開幕戦と最終戦で勝利したエスクーデが優勝に導く

 全豪オープンの舞台であるメルボルンのロッド・レーバー・アリーナで行われたこの対戦、初日のシングルス第1試合で波乱が起こる。エスクーデがヒューイットをフルセットの末に下す。ところが第2試合でフランスのエースであるグロスジャンがラフターにストレートで敗れてしまい、初日のシングルスは星を分け合う。2日目のダブルスで豪州はヒューイットとラフターというナンバーワンとナンバーツーがペアを組む。対するフランスはピオリンとサントロのペア、フランスは1回戦からすべてダブルスはこのペアであった。息の合ったところを見せ、フランスが勝利し、王手をかけた。このまま一気に優勝に持ち込みたいところであったが、豪州のエース、ヒューイットが意地を見せる。最終日のシングルス第1試合、グロスジャンとのエース対決でヒューイットはストレート勝ち、準々決勝に続いて最終戦までもつれ込んだ。
 フランスはエスクーデをそのまま起用、一方の豪州は長身のサウスポー、ウェイン・アーサーにメンバーを変える。第1セット第2セットともにタイブレークとなり、1-1で分け合い、第3セットと第4セットはエスクーデがブレイクを重ね、いずれも6-3で奪い、エスクーデは最終戦で勝利する。準々決勝に次いで最終戦での勝利でチームを栄冠に導いたエスクーデはアンリ・コシェ、アルノー・ブッチに続き、伝説を作ったのである。(続く)

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