第2287回 崖っぷちのラグビー代表(1) 連敗の続く夏秋のテストマッチ
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■南アフリカで3連敗、長いトンネルに入ったラグビー代表
前回までの本連載では国内のタイトルが目白押しであった1月のサッカーの模様を紹介してきたが、2月に入るとチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントも始まり、国際試合をファンは楽しみにしている。そして2月最初の週末にはテニスのデビスカップ、ラグビーのシックスネーションズが開幕する。テニスに関しては昨年は見事にデビスカップで優勝したが、ラグビーは第二次世界大戦後最悪のシーズンとなった。
ベスト8に終わった2015年のワールドカップ後に就任したギ・ノベス監督の1年目の2016年、6か国対抗では4位、6月と11月の南半球勢相手のテストマッチでは2勝3敗と負け越す。2年目の2017年は6か国対抗は最終戦のウェールズ戦では本連載第2195回で紹介した20分のロスタイムの末、勝利して3勝2敗と勝ち越して終わるが、ここから長いトンネルに入る。
6月には南アフリカに遠征して3戦する。2015年のワールドカップで日本に敗れた南アフリカは、翌年にはイタリアに初黒星するなど4勝8敗と大きく負け越す。かつてのような強さのない南アフリカ相手にフランスは第1戦は国内のTOP14の決勝に出場したメンバーを欠いたという理由はあるものの、14-37、15-37、12-35と3戦ともトリプルスコアに近いスコアで大敗を喫した。
■ワールドカップ開催決定に水を差したニュージーランド戦の敗戦
フランスは2023年のワールドカップの開催も決定し、本来であればここで意気が上がるところであるが、11月の試合はファンに失望だけを与えた。
11月は北半球勢のホームゲームとなる。フランスはニュージーランド、南アフリカ、日本を迎えた。11月11日、スタッド・ド・フランスで行われたニュージーランド戦、前半で5-31と大量リードを奪われた時点で勝負は決まった。後半にフランスは反撃したものの18-38というスコアで敗れる。
その3日後、両チームはリヨンに舞台を移してテストマッチ対象外となる試合を行った。Bチーム同士の戦いでとなったが、フランスはBチームとはいっても若手選手ではなくほとんどが代表の常連選手、このあたりがメンバーが固定しないフランスのチーム状態が不安定なところを表している。代表経験のないガブリエル・ラクロワの2トライで食い下がったフランスは23-28と惜敗する。これがこの秋最後のフランスの輝きとなった。
■3連敗を喫した南アフリカと空清だらけのスタッド・ド・フランスで再戦
11月18日にはスタッド・ド・フランスに戻り南アフリカと対戦する。6月にフランスに3連勝した南アフリカであるが、南半球の国で争うラグビーチャンピオンシップは3位に終わり、11月のウインドウマンスに入ってからはアイルランドと対戦し、ダブリンで3-38と大敗してフランス入りする。このような相手にアウエーとはいえ6月には3連敗をしたとあってはファンの足も遠のき、スタッド・ド・フランスはラグビーの試合としては異例の5万5000人と空席だらけの中でのキックオフとなった。
■1点及ばす、南アフリカにまたも敗れる
フランスは5分にトライを奪われ、先制を許してしまう。さらに17分にもハイタックルの反則でPGを追加され、0-8と差を広げられる。フランスは1週間前のニュージーランド戦で代表にデビューしたばかりの21歳のスタンドオフ、アントニー・ベローが28分にトライをあげ、自らがコンバートも成功させて7-8と1点差に迫る。ベローは32分にも40メートルのPGを狙うが、やや左に外れ、逆転ならず。南アフリカもPGを失敗し、前半はフランスが1点ビハインドで折り返す。
後半に入って48分にベローが逆転のPGを決める。フランスのスクラムハーフはこの日が代表5試合目のアントワン・デュポンが先発、後半の途中からバプティスト・サランが登場する。ところが、途中出場して3分も経たない時点で反則を犯し、シンビンとなってしまう。この反則で得たPGを南アフリカが決めて逆転、さらにその4分後にジェシー・クリエルがトライを決め、ゴールも追加して18-10と点差を広げた。
フランスは76分にサランが汚名返上とばかりにトライをあげ、ベローがゴールを決めるが1点及ばず、17-18と敗れたのである。(続く)