第2300回 パリサンジェルマン、第1戦を落とす(3) ウナイ・エメリ監督の選手起用が裏目に出て、逆転負け

 おかげさまで第2300回の連載を迎えることになりました。連載開始以来17年で2300回もの連載を続けることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

■スペイン人監督のパリサンジェルマン、フランス人監督のレアル・マドリッド

 全世界の注目を集め、欧州カップで3回目の対戦となるパリサンジェルマンとレアル・マドリッド(スペイン)の一戦、今回注目すべき点としては両チームの監督である。パリサンジェルマンはスペイン人のウナイ・エメリ、レアル・マドリッドはフランス人のジネディーヌ・ジダンである。これまでの対戦を振り返るとパリサンジェルマンは1992-93シーズンと1993-94シーズンはパリサンジェルマンはポルトガル人のアルトゥール・ジョルジュ、レアル・マドリッドはスペイン人のベニート・フローロがそれぞれの監督であった。2015-16シーズンはパリサンジェルマンはローラン・ブラン、レアル・マドリッドはジダンとフランス人監督対決となった。今回はお互いのチームの監督の国籍が反対となったが、監督、選手のボーダーレス化が一般的になった今日でも珍しいケースであろう。

■セビリア時代にヨーロッパリーグで連覇したウナイ・エメリ監督

 エメリ監督は選手としてはほとんど実績がないが、前任のセビリア(スペイン)ではヨーロッパリーグで2年連続して優勝し、チームとして3連覇を達成した。欧州カップでの成績がチャンピオンズリーグ優勝を狙うパリサンジェルマンの指揮官として招聘された一つの理由であるが、就任初年の昨季はチャンピオンズリーグの決勝トーナメントで、ホームでの第1戦でスペインのバルセロナに4-0と勝利しながらアウエーの第2戦で1-6と大逆転劇を喫している。2年連続して同じスペインのビッグクラブとの対戦となったが、今年は昨年の轍は踏みたくないところである。

■大一番に3人の驚きの選手起用をしたエメリ監督

 エメリ監督はマドリッドでの第1戦、驚きの選手起用をした。守備的MFにラッサナ・ディアラに代えてジョバニ・ロセルソ、ストッパーにチアゴ・シウバではなくプレスネル・キンペンベ、左サイドDFはトマ・ムニエではなくユーリ・ベルチチェを起用した。いずれも試合出場機会の少ない選手ばかりである。パリサンジェルマンが2月中旬以降は国内の試合でタフな相手との戦いが続くことも考慮しての起用であった。
 サンチャゴ・ベルナベウでの試合、レアル・マドリッドは白、パリサンジェルマンは黒のユニフォームで満員の観衆の前に姿を現す。試合はほぼ互角の展開となる。パリサンジェルマンの攻撃陣は中央にエディンソン・カバーニ、右にキリアン・ムバッペ、左にネイマールとベストメンバーである。しかし、この3人の間のパス交換が少なく、シュートには結びつかない。これはナーチョ、ラファエル・バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロと並んだレアル・マドリッドの守備陣を讃えるべきであろう。ここで先制点を奪ったのがアドリアン・ラビオ、33分に右サイドのムバッペからのパスを右足で決める。

■クリスチャーノ・ロナウド、エースにふさわしい2ゴール

 アウエーでの先制点を守り切りたいパリサンジェルマンであったがエメリ監督の選手起用が裏目に出る。前半終了間際にロセルソがペナルティエリア内でトニ・クロースを倒してしまい、PKを取られる。これをクリスチャーノ・ロナウドが決めて同点に追いつかれる。この得点はクリスチャーノ・ロナウドにとってレアル・マドリッドのメンバーとしてチャンピオンズリーグ100得点目となる。
 また、クリスチャーノ・ロナウドのサイドに起用されたベルチチェも1対1ではある程度のパフォーマンスを見せたが、ボールを奪われるシーンが多々あった。このままアウエーのドローであればまずまずの結果になるはずであったが、83分にはクリスチャーノ・ロナウドが左足で勝ち越しゴールを奪う。今季のチャンピオンズリーグで11得点目という驚異的な得点力を持つエースの一撃にパリサンジェルマンは沈む。さらにレアル・マドリッドはこの日完璧な守備でムバッペを完封したマルセロが攻撃でも活躍、86分にゴールを決める。パリサンジェルマンはアウエーとはいえ1-3というスコアで敗れ、3月6日のホームでの第2戦に望みをかけるのである。(この項、終わり)

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