第2302回 パリサンジェルマン、レアル・マドリッドに連敗(2) ホームでの無敗記録も51でストップ
1998年2月20日、「サッカークリック」の「フランス・サッカー実存主義」でJ.P.モアンは連載を始めました。2018年2月20日でちょうど20年になりました。「サッカークリック」で92回、「スポーツナビ」で40回、そしてこの「フランス・サッカー幻想交響曲」で2302回、全部で2432回の連載を続けてこられたのは読者の皆様のおかげです。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。
■攻撃陣はアンヘル・ディマリア、エディンソン・カバーニ、キリアン・ムバッペ
エースのネイマールの負傷は深刻でロシアで開催されるワールドカップの出場も厳しいという診断になった。パリサンジェルマンはネイマールを失ったリーグ戦のマルセイユ戦の次のフランスカップのマルセイユ戦では左サイドにアンヘル・ディマリア、中央にエディンソン・カバーニ、右サイドにキリアン・ムバッペというD-C-Mのトリオで臨み、3-0と大勝し、直前のトロワ戦ではカバーニとムバッペを温存しながらも完勝している。第1戦で驚きの起用をしたウナイ・エメリ監督がこの3人以外の組み合わせで第2戦に臨むのではないかという憶測も流れたが、この3人を先発メンバーに選んだ。ただし、左右を入れ替え、右にディマリア、左にムバッペを入れた。中盤も3人、中盤の底にはチアゴ・モッタ、右にマルコ・ベラッティ、左にアドリアン・ラビオを配す。そして最終ラインは右からダニエウ・アウベス、マルキーニョス、チアゴ・シウバ、ユーリ・ベルチチェ、ゴールを守るのはアルフォンス・アレオラである。マドリッドでの第1戦では中盤の底にジョバニ・ロセルソ、ストッパーのプレスネル・キンペンベという若手の起用が裏目に出てしまったが、今回はレギュラーを復活させた。そして両サイドDFのダニエウ・アウベスとベルチチェは攻撃力が生命線である。
■カリム・ベンゼマとクリスチャーノ・ロナウドが2トップ
一方のレアル・マドリッド、2トップは右にカリム・ベンゼマ、左にクリスチャーノ・ロアウド、MFは4人、右からルーカス・バスケス、カゼミーロ、マテオ・コバチッチ、マルコ・アセンシオ、最終ラインは右からダニエル・カルバハル、ラファエル・バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ、GKはケイロス・ナバスである。パリサンジェルマンはチアゴ・シウバ、レアル・マドリッドはセルヒオ・ラモスとストッパーが主将を務める。
■積極的なレアル・マドリッド、消極的なパリサンジェルマン
イタリアのフィオレンティーナのダビデ・アストーリの逝去を悼み、黙祷が行われ、カバーニがキックオフして試合は始まる。レアル・マドリッドは引き気味ではなく高めのプレスをかけてくる。パリサンジェルマンは試合開始から守勢一方となる。17分にはセルヒオ・ラモスのシュートがパリサンジェルマンのゴールを襲うが、アレオラがセーブする。パリサンジェルマンは低調な試合内容で、ボールは保持するものの、シュートまで結びつけることができない。38分にはマルキーニョスがインターセプトに失敗したところを、この日がチャンピオンズリーグ出場100試合目となるベンゼマがシュート、これもアレオラの守備が失点を許さない。アレオラの2回にわたる好セーブにもかかわらず、攻撃陣は全く精彩を欠いたまま、前半が終わる。
■ゴールを量産するクリスチャーノ・ロナウドが先制点
後半に入り、5分ほどたった時点でレアル・マドリッドは波状攻撃を仕掛ける。そして51分にパリサンジェルマンの守備陣の不用意なパスをインターセプトしたクリスチャーノ・ロナウドが先制点を奪う。クリスチャーノ・ロナウドは今季のチャンピオンズリーグ8試合目で12点目という驚異的なペースでゴールを量産している。
残り40分で最低でも3点が必要となったパリサンジェルマンはチアゴ・モッタに代えてハビエル・パストーレを投入するなど攻撃的な選手起用をする。しかし66分にはベラッティが2枚目のイエローカードで退場してしまう。それでもパリサンジェルマンは71分にはパストーレのヘディングのこぼれ球をカバーニがシュートして追いついた。カバーニも今季のチャンピオンズリーグで7点目である。
しかし、このゴールは遅すぎた。さらに80分にレアル・マドリッドはカゼミーロが勝ち越し点を奪う。パリサンジェルマンはマドリッドでもパリでも敗れ、昨季に続き、決勝トーナメント1回戦でスペインの強豪に敗れたのである。
そしてパリサンジェルマンが本拠地パルク・デ・プランスで敗れたのは2016年3月20日のモナコ戦以来、欧州記録でもあった無敗記録は51(43勝8分)でストップしたのである。(この項、終わり)