第2310回 コロンビア、ロシアと連戦(4) コロンビアに逆転負け

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■特別な存在のコロンビアと日本

 3月23日には欧州各地で約20試合の親善試合が行われたが、フランス-コロンビア戦のキックオフ時間は欧州中央時間で最も遅い21時である。逆に最も早いのは13時20分キックオフの日本-マリ戦、この2つの試合が多数の試合の中で特別な存在であることは、読者の皆様もよくお分かりであろう。そしてコロンビアと日本はワールドカップではグループカップの初戦で対戦する。今年のワールドカップ全体を左右する大一番であり、その両チームに対する欧州での関心は並々ならぬものがある。

■1週間前にチケットは完売、フランスの先発メンバー

 そしてコロンビア戦であるというだけではなく、フランスのファンにとっても今年最初の代表の試合であるとともに、ワールドカップのメンバー決定前最後の試合であることから、ファンの関心は高まり、試合の1週間前にチケットは前売りで完売となった。
  前回の本連載ではコロンビアの先発メンバーを紹介したが、対するフランスのメンバーを紹介しよう。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、サミュエル・ウムティティ、ルカ・ディーニュ、MFは4人、右からキリアン・ムバッペ、エンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、トマ・ルマール、2トップは右にアントワン・グリエズマン、左にオリビエ・ジルーという布陣である。

■理想的な展開で2点をリードしたフランス

 試合は立ち上がりからフランスが積極的に攻撃を仕掛ける。11分には左サイドのルマールとディーニュをパスをつなぎ、左サイドのクロスに合わせたのがジルーである。至近距離からのシュートにコロンビアのGKは追いつかず、フランスが先制点を奪う。そしてこのゴールは今世紀に入ってコロンビア相手にPKでした得点できなかったフランスにとって初めてのPK以外でのゴールであった。先制したフランスはいったんはペースダウンし、コロンビアにボールを保持させて守備を固める。そのフランスは20分にはカウンターアタックから追加点をあげる。右サイドDFのシディベが反撃の起点となり、グリエズマン、ムバッペとつなぎ、最後は左サイドのルマールがシュートをゴールネットに突き刺す。
 先制点を奪ってから相手にボールを持たせ、相手が前がかりになったところをカウンターアタックで追加点を決めるという理想的な展開で開始20分で2点をリードしたフランスであったが、その後は思わぬ展開が待っていた。

■3連続失点でフランスは逆転負け

 フランスの2点目が決まった直後の28分、コロンビアはCKのチャンスをつかむ。ハメス・ロドリゲスが蹴ったCKにルイス・ムリエルが合わせ、これをフランスのGKロリスが処理を誤り、コロンビアは1点を返す。コロンビアはフランス国内でのフランス戦、3戦目にして初得点となった。前半終了間際にはロドリゲスのシュートがゴールポストの脇を通りぬけて終了する。
 親善試合であることから、選手交代が積極的にあってもよさそうなものであるが、後半開始時にフランスのディディエ・デシャン監督、コロンビアのペケルマン監督、いずれもメンバーを交代させなかった。両チームにとっては新戦力のテストではなく、既存メンバーによるチーム力のさらなる向上をこの試合のテーマとしていることがわかる。
 コロンビアが同点に追いついたのは62分のことであった。これまで八面六臂の活躍をしていたカンテがゴールを失い、ロドリゲスの右サイドからのパスをモナコのラダメル・ファルカオがゴールを決める。ここからようやく両チームの監督は選手交代を始める。73分にはウィサム・ベンイェデル、76分にはルカ・エルナンデスが代表にデビューする。
 そして85分、フランスはペナルティエリア内でウムティティがファウルを犯してしまい、PKを与えてしまう。これを交代出場してきたばかりのホアン・カンテロが決めて、コロンビアはついに逆転する。4分間のアディショナルタイムでも得点をあげることができず、フランスは逆転負けを喫したのである。(続く)

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