第2318回 伏兵が決勝に進出するフランスカップ(4) ナショナルリーグのレゼルビエ、シャンブリーが四強入り
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■注目の下部勢対決でグランビルを下したシャンブリー
ベスト8決定戦の中で唯一3部リーグに相当するナショナルリーグ以下の対戦となったのがNのシャンブリーとN2のグランビルの戦いである。通常であればくじ運に恵まれた下部リーグのチーム同士の戦い、と一笑に付されるところであるが、前回の本連載で紹介したとおり、両チームはフランスカップのスペシャリストであることから注目の一戦となった。
シャンブリーのホームゲームであるが、ボーベに舞台を移してベスト8入りをかける試合が始まった。シャンブリーの人口は1万人、そしてこの日はボーベのピエール・ブリッソン競技場に4,200人の観衆が集まった。そしてその中の600人はグランビルから4時間のドライブでやってきた。
シャンブリーはナショナルリーグで11位、2部昇格には少々厳しい順位であるが、過去12試合で1試合しか負けておらず、シーズン終盤に向けて勢いのあるチームである。試合はシャンブリーの長身ストッパー、身長195センチのラッサナ・ドゥークレが51分に決勝点をあげる。この1点でシャンブリーはベスト8に進出したのである。
■2部勢で唯一ベスト8入りしたRCランス、リーグでは不振のストラスブールも勝利
残りのベスト8決定戦3試合の結果であるが、1部のトロワは2部のRCランスとアウエーで対戦する。格下ではあるが、ホームのRCランスが終始圧倒し、70分のクリスチャン・ロペスのゴールで2部勢として唯一のベスト8入りを決める。
1部のストラスブールはアウエーでナショナルリーグのグルノーブルと対戦する。ストラスブールはこのところ負けが込み、順位を14位まで落としている。対するグルノーブルはアゼルバイジャン、タイのクラブチームで活躍し、アジアの読者の方であるならばよくご存じのモロッコ代表のあるアルハルビ・エル・ジャデヤウイが今年の冬の移籍市場でグルノーブルに戻ってきた。モロッコ代表であるがストラスブール生まれであり、生まれ故郷のチームに勝利してグルノーブルのファンを喜ばせたいところである。この試合はアウエーのストラスブールが最近の不振を忘れさせるような見事な試合運びで3-0と勝利する。
■オセールに完勝したレゼルビエ、RCランスにPK勝ちし、準決勝進出
そしてナショナルリーグのレゼルビエは驚きの快進撃を見せる。レゼルビエは年が変わってからのベスト32決定戦、ベスト16決定戦ではドローに恵まれ、いずれもN3のチーム相手に勝利する。そしてベスト8決定戦はアウエーで2部のオセールとの対戦、運もここまでではないかと思ったが、前半のアディショナルタイムに先制点を奪うと、後半にも2点追加、リーグ、フランスカップでの優勝経験のあるオセールに対し3-0と勝利した。このレゼルビエの8強入りはクラブ史上初めてのことであるが、バンデ県のチームとしても初という快挙を成し遂げたのである。
そして2月末に行われた準々決勝、ファンの注目は前々回の連載で紹介したパリサンジェルマン-マルセイユ戦に集中したが、ナショナルリーグ勢の出場した試合にフランス中が驚いた。まずはパリサンジェルマン-マルセイユ戦の前日に行われたレゼルビエ-RCランス戦はバンデ県を離れ、隣県のロワール・アトランティック県のナントのボージョワール競技場に2万人を超す観衆を集めて行われた。90分を過ぎても両チーム無得点で延長戦へ、延長戦を戦ってもゴールネットは揺れなかった。PK戦での決着となり、レゼルビエのGK、マチュー・ピショの活躍で4-2とナショナルリーグのチームが過去のリーグチャンピオンに競り勝ち、ベスト4入りした。
■創設者の死を乗り越えたシャンベリーが四強入り
さらに21時5分キックオフのパルク・デ・プランスの試合の前座のように18時30分にボーベでキックオフされるシャンベリー-ストラスブール戦は機器の故障により、キックオフ時間が40分遅れるというアクシデント、さらにこのシャンブリーの創設者のバルテル・ルジが亡くなるということも重なったが、シャンブリーは終盤の決勝点で準決勝進出となった。(続く)