第2336回 マルセイユ、ヨーロッパリーグ準優勝(6) フランス勢で初めて準決勝の延長戦を勝ち抜く
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■驚異的な試合数を戦っているマルセイユ
4月26日にベロドロームで行われたヨーロッパリーグ準決勝第1戦、マルセイユはフローリアン・トーバン、クリントン・エンジエのゴールで2-0と先勝した。ヨーロッパリーグにマルセイユは予備戦3回戦から出場しており、この日の試合がヨーロッパリーグだけで17試合目となった。国内のリーグ戦、カップ戦、リーグカップ戦と合わせるとなんと56試合目、国内三大タイトルを獲得したパリサンジェルマンの52試合を上回る数字である。準決勝を勝ち抜けば、年間62試合を戦うという驚異的な数字を記録する。
そのような過密スケジュールの中では控えメンバーの存在は重要である。今季のマルセイユの注目株はDFの左サイドDFのジョルダン・アマビである。24歳のアマビは昨年10月の代表選に招集されたが出場機会に恵まれず、代表デビューはお預けとなった。しかし、マルセイユでは同ポジションのパトリス・エブラが11月初めにファンを蹴りつけたために、解雇される。そのようなアクシデントもあったが、着実にクラブ内では地位を高めつつある。準決勝第1戦でも活躍し、2点目を生み出したのはアマビがボールを奪取したからである。
■ホームで強さを誇るレッドブル・ザルツブルク
そして5月3日、オーストリアのザルツブルクのレッドブルアリーナは3万人の観衆で埋まる。レッドブル・ザルツブルクは今季の欧州カップではホームで無敗である。また、国内リーグでも38戦連続で無敗という記録を更新中である。十分にマルセイユ相手に2点差をつけて勝利できるとファンも期待している。その中で1500人のマルセイユのサポーターがザルツブルクにやってきた。
■代役のGKヨアン・ペレの好守も及ばず2失点
試合は、見ているファンにとっては最高の展開となった。ボール支配率はほぼ互角であったが、得点の欲しいレッドブル・ザルツブルクのシュートが次々とマルセイユのゴールを襲う。マルセイユのゴールを守るのは負傷のスティーブ・マンダンダに代わってヨアン・ペレ、このペレがスーパーセーブを連発する。ペレの活躍もあり、前半は両チーム無得点で折り返す。
試合が動いたのは後半である。53分にレッドブル・ザルツブルクのマリ代表のアマドゥ・ハイダラがボールを奪って40メートル前進し、ペナルティエリアに入ったところでシュート、これまでスーパーセーブを続けてきたペレのセービングも及ばず、レッドブル・ザルツブルクはまず1点を返す。ここからマルセイユに間の時間帯が訪れる。65分にはハイダラのクロスをアディル・ラミがクリアするが、クリアボールをレッドブル・ザルツブルクの選手がシュート、これをマルセイユのDFのブナ・サールが痛恨のオウンゴール、これでスコアはタイスコアとなる。
マルセイユは完全に防戦一方となり、レッドブル・ザルツブルクのリズムとなるが、何とかペレが守りきる。得点を許さなかったマルセイユであるが、攻撃陣も枠内にシュートを放つことができず、得点の気配を感じさせない。
結局、90分を終えて0-2、第1戦と全く同じスコアとなったために延長戦に突入したのである。
■延長後半で初めて枠内に放ったシュートが決勝点
欧州カップの準決勝でフランス勢が延長戦を戦うのはこれが3回目である。最初は1986-87シーズンのカップウィナーズカップのボルドーである。東ドイツのロコモティフ・ライプチヒに敗れている。そして1992-93シーズンのUEFAカップのオセールもドイツのボルシア・ドルトムントに決勝への道を阻まれた。
アウエーのザルツブルクの地での延長戦とあってマルセイユは不利であったが、延長後半の116分、右サイドのディミトリ・パイエの右サイドからのCKをファーサイドのローランドがボレーでシュート、マルセイユにとってはこの試合初めて枠内に飛んだシュートが値千金のゴールとなったのである。
結局、第2戦のスコアは1-2、第1戦と合わせるとマルセイユが3-2とリードし、欧州カップで5回目の決勝進出を決めたのである。(続く)