第2371回 2018-19シーズン開幕(1) ヨーロッパリーグ予備戦を戦うボルドー
1998年の「フランス・サッカー実存主義」で連載を始めて、早いもので20年たちました。第2368回が通算して2500回目の連載となりました。記念すべき節目の連載でフランスのワールドカップ優勝をお伝えできたことをうれしく思います。引き続きよろしくご愛読のほどお願いいたします。
■2年連続でパリサンジェルマンのフランスカップ優勝で出場権を得たボルドー
ワールドカップ終了から3週間、各国のリーグは8月の上旬から開幕する。フランスリーグは8月10日のマルセイユ-トゥールーズ戦で始まるが、その前に公式戦を戦うチームがある。それがヨーロッパリーグの予備戦2回戦から参戦するボルドーである。ボルドーは昨季はリーグ6位であったが、パリサンジェルマンがリーグ、フランスカップ、リーグカップの三冠を達成したため、リーグ5位のレンヌがヨーロッパリーグのグループリーグに出場、6位のボルドーにヨーロッパリーグの予備戦2回戦からの出場権が与えられた。ボルドーはその前のシーズンのリーグも6位であり、パリサンジェルマンのフランスカップ優勝でヨーロッパリーグの予備戦出場権を獲得している。2年連続でパリサンジェルマンのフランスカップ優勝で欧州への道が開けたわけであり、ローラン・ルノーも苦笑いしているであろう。
■数多くの日本人選手の活躍したラトビアのFKベンツピルス
昨年は予備戦3回戦でハンガリーのビデオトンと対戦、1勝1敗であったがアウエーゴールの差で敗退している。2年連続で予備戦からの出場となる今年は雪辱を果たしたいところである。フランスのクラブとして今季初めての試合は7月26日、ラトビアの小都市、ベンツピルスで始まった。ボルドーの相手となるFKベンツピルスは昨季ラトビアリーグ2位、佐藤穣、柴村直弥、斎藤陽介、加藤康弘というそうそうたるメンバーが在籍したことがあり、日本の皆様にはゆかりの深いチームであり、予備戦1回戦を勝ち抜いてボルドーと対戦する。
■若手選手の活躍で連勝し、予備戦3回戦に進出
ボルドーはすでに親善試合を4試合行い、無敗でこの日を迎えた。今回のワールドカップに2人の選手を送っている。1人はセネガルのユスフ・サバリを送っている。サバリはグループリーグ3試合すべてに出場しているが、チームにはまだ合流していない。もう1人はフランスのバックアップメンバーとなったGKのブノワ・コスティルである。コスティルはキャプテンマークを巻いてゴールを守る。
ボルドーは19歳のザイドゥ・ユスフが3分に先制点し、試合を優勢に進める。この1点を守ってボルドーはアウエーで1-0と先勝したのである。
第2戦は8月2日、ボルドーの本拠地、マットミュット・アトランティックで行われた。ボルドーでの今季初めての公式戦、キックオフセレモニーにはボルドーで選手生活を終え、監督としてのキャリアを始めたナイジェリア代表のゲルノト・ロール監督が招かれた。第1戦に続き、この試合もボルドーは若手が活躍する。22歳のフランソワ・カマノが9分に左足でゴールを決める。後半の立ち上がりの48分にもゴールを決めたジュール・クンデはキリアン・ムバッペと同じ年の19歳であった。ボルドーはFKベンツピルスの反撃を1点に抑え、連勝して予備戦3回戦に進出したのである。
■リーグ戦開幕1週間前に行われるチャンピオンズトロフィー
そして、開幕の1週間前には国外での公式戦が行われた。それがチャンピオンズトロフィーである。リーグ優勝チームとフランスカップの勝者で行われるこのタイトル、パリサンジェルマンがタイトルを独占したため、リーグ2位のモナコが出場することになった。パリサンジェルマンは国内三冠を達成したもののチャンピオンズリーグでは今回も期待に応える結果を出すことができなかったスペイン人のウナイ・エメリ監督が退任、イングランドのアーセナルの監督となる。パリサンジェルマンは新監督としてドイツ人のトーマス・トゥヘルを招聘する。トゥヘル監督はかつては岡崎慎司が所属していたマインツの監督を務め、昨年までは香川真司のいるボルシア・ドルトムントの監督、また日本とは縁のある監督である。
ワールドカップに出場した選手を欠く中で、パリサンジェルマンはインターナショナル・チャンピオンズ・カップに出場、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、アーセナルに連敗、ようやく第3戦でアトレチコ・マドリッド(スペイン)に勝利したのである。(続く)