第2373回 2018-19シーズン開幕(3) リーグ開幕戦に登場するトゥールーズ
1998年の「フランス・サッカー実存主義」で連載を始めて、早いもので20年たちました。第2368回が通算して2500回目の連載となりました。記念すべき節目の連載でフランスのワールドカップ優勝をお伝えできたことをうれしく思います。引き続きよろしくご愛読のほどお願いいたします。
■リーグ開幕前日にヨーロッパリーグ予備戦第1戦で勝利したボルドー
前々回の本連載でボルドーがヨーロッパリーグの予備戦2回戦を突破したことを紹介したが、本大会出場までには予備戦3回戦とプレーオフを勝ち抜かなくてはならない。予備戦3回戦を前にして組み合わせが決まり、予備戦3回戦ではウクライナのFCマリウポリ、勝ち上がった場合のプレーオフではベルギーのAAゲントとポーランドのヤギエロニア・ビャウィストの勝者と対戦する。プレーオフは8月の下旬に行われ、本戦出場が決まるのは8月30日である。昨季リーグ6位で予備戦からの戦いとなったボルドーは7月から8月にかけて通常のリーグ戦に加えて最大6試合を戦うことになる。
そのボルドーはリーグ戦が開幕する前日に今季3試合目となる予備戦2回戦の第1戦をウクライナのオデッセで迎える。真冬に試合のできないウクライナリーグはすでに開幕しており、FCマリウポリはすでに3試合を消化している。立ち上がりの7分にホームで試合慣れしているFCマリウポリは先制するが、シーズン開幕を控えたボルドーも果敢に攻める。33分にガエタン・ラボルドが同点ゴール、ラボルドは37分にも逆転ゴールを決める。後半の立ち上がりにもボルドーは追加点を決め、アウエーで3-1と先勝してリーグ開幕を迎えるのである。
■リーグ開幕戦はマルセイユ-トゥールーズ戦
そして8月10日、いよいよ長いリーグ戦が開幕する。金曜日の10日に1試合、土曜日の11日に6試合、日曜日の12日に3試合行われる。開幕戦はマルセイユ-トゥールーズ戦、サッカーの都でラグビーの都のチームを迎える。サッカーの都とは言え、近年のマルセイユは政治・経済の都であるパリのパリサンジェルマンにタイトルを独占されている。またラグビーの都と言われるトゥールーズであるが、2012年を最後に国内外のタイトルから遠ざかっている。またサッカーのトゥールーズは昨季は18位となり、プレーオフを戦っている。
■大荒れとなったACアジャクシオ-ルアーブル戦
このプレーオフは一悶着あった。2部で1位のスタッド・ド・ランスと2位のニームが自動昇格する。残り1チームが1部18位のチームとプレーオフを戦う。プレーオフ進出をかけた戦いは2部3位のACアジャクシオが4位のルアーブルをホームに迎えて1回戦制で行われる。当初5月18日に予定されていたこの試合、ACアジャクシオのファンがルアーブルの選手の乗ったバスを襲撃するという事件が起こり、試合は20日に延期となる。この試合は大荒れで90分間の戦いは1-1のタイスコア、延長戦では両チーム1得点ずつ挙げるが、2人ずつ退場者をだし、120分経過した時点で両チームとも9人しかピッチの上に残っていなかった。PK戦ではACアジャクシオが5-3で競り勝ち、プレーオフ進出を果たした。プレーオフ第1戦はACアジャクシオのホームゲームであったが、ルアーブル戦でのバス襲撃事件の処分として中立地での無観客試合となる。
■プレーオフに連勝し残留を決めたトゥールーズ、アラン・カサノバが監督復帰
無観客のモンペリエのラモッソン競技場で行われた試合、トゥールーズは3-0と完勝、トゥールーズは地元での第2戦も1-0と連勝し、1部残留を決めたのである。
ACアジャクシオの不祥事に救われて1部に残留したトゥールーズであるが、最大の補強は監督にアラン・カサノバを招聘したことであろう。選手時代はGKを務め、トゥールーズにもマルセイユにも所属したことがある。現役引退後はGKコーチとしてアラン・ジレス、ローラン・クルビス、ギ・ラコンブ、エリック・モンバエルツなどの名将に仕えた。2008年にトゥールーズの監督となったが、名監督の元でGKコーチを歴任したことが良い経験となった。7季に渡って監督を務め、ヨーロッパリーグにチームを導くなど安定した成績を残し、古豪を復活させた。そして2016年には2部のRCランスの監督となり4位、次年度も続投したが、最初の4試合で勝ち星をあげることができず、解任された。
そのカサノバが監督として復帰、上位進出を狙うのである。(続く)