第2381回 UEFAネーションズリーグが新設(1) 欧州選手権の本大会と予選の方式が大幅に変更
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■12か国で分散開催となる2020年の欧州選手権本大会
前々回と前回の本連載はテニスのデビスカップの新方式について紹介したが、今回からは欧州選手権の方式変更とそれに伴って新設されるUEFAネーションズリーグについて紹介しよう。
欧州選手権は従来は本大会は16か国が開催国(1か国または2か国)に集まり、予選グループを経て決勝トーナメントを争う形式であった。これが次回の2022年大会は24チームが本戦に出場、4チームずつ6つのグループに分かれてリーグ戦、各グループの上位2チームと3位チームの中で成績の良い4チームの合計16チームが決勝トーナメントを戦う。このように説明すると、本大会の参加国が16チームから24チームに増えただけであると思われる読者の皆様も少なくないと思うが、大きな変化は開催場所である。従来は1か国または2か国であったが、今回はグループリーグから準々決勝までは分散開催で12か国の12会場で開催される。準決勝と決勝はイングランドのウェンブリーで行われる。
■予選は2019年の3月から開始
そして変更があったのは本大会だけではない。予選についてもこれまではワールドカップの終わった9月(8月末)から始まり、大会の前年の10月までホームアンドアウエー形式のリーグ戦を行い、11月に最後の切符をかけてプレーオフが行われ、出場チームが出そろい、12月に本大会の組み合わせ抽選を行っていた。
2020年大会は開催国枠という概念がなくなるため、すべての国が予選に出場し、次回からはコソボが加わり、55か国で予選を戦う。これを5チームないしは6チームの10のグループに分けてホームアンドアウエー形式でリーグ戦を行い、各グループ2位までが本大会出場、グループで3位のチームのうち4チームがプレーオフ経由で最後のチケットをつかむ。
このように基本的な枠組みは変わらないが、予選の開催時期に大きな変更がある。それは予選のリーグ戦の時期が大会の前年の3月から11月まで、プレーオフが大会の年の3月に行われ、現在の予選開催時期と比較すると半年ほど後ろにずれ込むことになる。
予選を勝ち抜いたチームは本大会に向けて準備のための試合は大会前年の11月(プレーオフを経由せずに出場権を得たチームのみ)、大会の年の3月、そしてメンバーを決めてから大会直前の5月末から6月初めしか行うことができない。新方式になると、メンバー決定までの親善試合はプレーオフを経ないチームは3月に行うことが可能であるが、プレーオフを戦うチームには行う機会がない。
■2018年9月から11月まで開催されるUEFAネーションズリーグ
それではワールドカップが終了してから予選が始まるまでには9月、10月、11月とインターナショナルマッチデーが存在するが、ここでは親善試合を行うのか。この3か月間は親善試合ではなく、UEFAネーションズリーグというタイトルが新設され、各国の代表チームが戦うのである。
■4レベルのリーグに分かれ、さらに4グループに分けて総当たりでリーグ戦
これは文字通り代表チームによるリーグ戦であり、55か国を実力別にリーグAからリーグDまでの4つのリーグに分ける。各リーグは4つのグループに分けられる。
最上位のリーグAの場合、12チームが所属し、3チームずつグループ1からグループ4までの4つのグループに分けられる。各グループでホームアンドアウエー方式のリーグ戦を行う。このリーグ戦は今年の9月、10月、11月に行われる。グループAの場合は、各リーグのトップ4チームが来年6月に準決勝と決勝、3位決定戦を行い、1位から4位までが決定する。
一方、各リーグには昇格と降格があり、リーグAの各グループで最下位になった4チームはリーグBに降格、リーグBの各グループで首位になった4チームはリーグAに昇格することになる。そしてこのネーションズリーグの結果が欧州選手権の予選組み分けの際のシード順となるのである。
また、欧州選手権のシード分けは組み合わせ抽選時のFIFAランキングなどで決定していたが、2020年大会ではこのネーションズリーグの結果が使われることになるのである。(続く)