第2382回 UEFAネーションズリーグが新設(2) ドイツ、オランダと戦うフランス
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■公式戦を増やす目的で創設されたUEFAネーションズカップ
前回の本連載では2020年の欧州選手権の大会方式の変更、予選期間の後ろ倒しについてご案内し、あわせて今秋からUEFAネーションズカップという新しいタイトルが始まることを紹介した。今回はこのUEFAネーションズリーグについて詳しく紹介しよう。
もともとの発想は強豪国が力の離れた国との対戦する場合、特に親善試合の場合は営業面で苦戦することから、力量の近い国での試合を増やそうというものである。ワールドカップや欧州選手権の予選は参加チームをシードごとに組み分けするため、力量の離れた国とのミスマッチが生じてしまうが、それ以外の親善試合ではミスマッチを減らしたいということが出発点である。そういうわけで新たなタイトルを創設し、親善試合そのものの数を減らすことになった。
■レベル別に4つのリーグ、各リーグを4つのグループに分けて総当たりのリーグ戦
さて、このUEFAネーションズリーグの大会形式について解説しよう。現在のUEFAに所属する国・地域は55である。これを2017年秋のワールドカップ予選終了時のUEFAランキングごとにリーグAからDまで4つに分ける。なお、UEFAインデックスはFIFAランキングとは異なり、親善試合の成績がカウントされず、ワールドカップと欧州選手権の本予選の成績だけで算出される。各リーグは4つのグループに分けられる。12チームから構成されるリーグAとリーグBは3チームずつのグループの4つに分かれる。3番目のレベルのリーグCは15チーム、最下位のリーグDは16チームで構成されるため、グループのチーム数は4チームないしは3チームである。
■最上位のリーグAのメンバーと、4つのグループの組み分け
注目の最上位のリーグAのメンバーであるが、UEFAインデックス順にドイツ、ポルトガル、ベルギー、スペイン、フランス、イングランド、スイス、イタリア、ポーランド、アイスランド、クロアチア、オランダである。
この12チームをUEFAインデックス順に3つのシード順に分け組み合わせ抽選を行った。その結果グループ1はドイツ、フランス、オランダ、グループ2はベルギー、スイス、アイスランド、グループ3はポルトガル、イタリア、ポーランド、グループ4はスペイン、イングランド、クロアチアとなった。
第2シードのフランスは今回のワールドカップでは一次リーグで敗退した第1シードのドイツ、予選落ちした第3シードのオランダと対戦する。ワールドカップの本予選では不調だった両国であるが、いずれも強敵である。
日程も決まっており、9月6日にアウエーのドイツ戦、9日にホームのオランダ戦、10月16日にアウエーのドイツ戦、11月16日にアウエーのオランダ戦となっている。
これで首位になれば、来年6月に開催地は未定であるが、5日と6日に準決勝、9日に決勝ならびに3位決定戦を行うことになる。
一方、最下位になれば次回のUEFAネーションズリーグでは2部に相当するリーグBに降格することとなる。
そして重要なことであるが、この2018-19のUEFAネーションズリーグの結果が、2019年3月から始まる2020年の欧州選手権の予選のシード順になるということである。
■UEFAネーションズリーグのプラス面とマイナス面
欧州の55か国が同レベルの相手と公式戦を4試合もしくは6試合行うということは各チームのレベルアップにつながるとともに、スポンサー獲得という点でもよい影響を与えることになるであろう。
一方、このUEFAネーションズリーグのマイナス面についても言及しなくてはならない。それは欧州域内のチームとの公式戦が増えることにより、親善試合の数が減り、特に欧州域外のチームにとっては欧州のチームとの親善試合の機会が少なくなることである。
欧州のトップレベルのチームと親善試合を行うような欧州域外の国は多くの選手が欧州のクラブに所属し、欧州で代表戦を行った方が好都合である。しかし、それらの国が欧州の国との親善試合の機会が限定されることになり、欧州とそれ以外の地域の格差が拡大すると懸念する声もあるのである。(続く)