第2386回 UEFAネーションズリーグが新設(6) 代表デビューのアルフォンス・アレオラの活躍でスコアレスドロー
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■2014年のワールドカップ以降はフランスが負けなし
ドイツとフランス、長年のライバルは満員のミュンヘンのアリアンツアリーナ、記念すべきUEFAネーションズリーグの開幕戦を迎えた。本連載でも両チームの対戦はその都度紹介してきたが、西ドイツ時代を加えるとこれまで29戦してフランスが13勝7分9敗と勝ち越している。最近の成績を見ると、2014年のブラジルでのワールドカップの準々決勝でドイツが勝利してからは2015年11月のスタッド・ド・フランスでの親善試合、2016年にフランスで行われた欧州選手権の準決勝（マルセイユ）でいずれもフランスが勝利し、最新の試合は昨年11月にケルンで行われた親善試合で2－2で引き分けている。
■ドイツ国内での試合に強いフランス、ディディエ・デシャン監督の栄光のミュンヘン
ドイツ国内での試合でフランスは滅法強く、ドイツ統合後、ドイツ国内で両国は親善試合を4試合行っているが、直近の2017年の試合で引き分けるまで、フランスが3連勝であった。ドイツ国内の試合でドイツがフランスに勝利したのは西ドイツ時代の1987年のベルリンでの親善試合までさかのぼらなくてはならない。また不思議なことにこれまで両国の対戦はワールドカップの決勝の舞台にもなったミュンヘンで行われたことがない。もっともフランスは2006年のワールドカップの際に準決勝のポルトガルと対戦し、勝利しており、ディディエ・デシャン監督にとっては現役時代にマルセイユの一員としてチャンピオンズリーグの決勝でイタリアのACミランを下したのはこのミュンヘンである。
■2つ星のフランスに対し、前世界チャンピオンのドイツが優勢に試合を進める
デシャン監督にとっては格別の思いの詰まったミュンヘンの地でワールドカップ優勝チームとしての初陣を迎えた。ワールドカップで優勝したのを受けてフランスのユニフォームには2つ変更点がある。まず左胸のフランス協会のエンブレムの上には従来星が1つついていたが、今回の2回目の優勝を記念して2つ目の星が加わった。また、胸の中央には今回の優勝を記念したエンブレムが付け加えられ、世界チャンピオンのプライドを誇示するユニフォームの初戦が先代の世界チャンピオンとの試合である。
試合は立ち上がりから前チャンピオンのドイツが積極的に試合を進める。一方のフランスは消極的な試合運びで主導権を完全にドイツに渡してしまった。そして18分にはドイツがこの試合両チームを通じて初めての枠内シュート、ティム・ベルナーのシュートをフランスのGKのアルフォンス・アレオラがストップする。この試合の22人の先発メンバーの中で唯一の代表試合未出場だったアレオラは難なく最初の守備機会を無難に乗り切る。
その後もドイツが一方的に試合を支配するが、フランスは試合巧者ぶりを発揮し、一方的に攻められている試合でもなんとか少ないチャンスをものにしてシュートまで結びつける。前半はシュート数は両チーム3本ずつで、枠内シュートはフランスが2対1と上回ったが、ノーゴールで試合は後半に入る。
■オリビエ・ジルー不発、6セーブと活躍したアルフォンス・アレオラ
この試合で最初にピッチを去ったのはオリビエ・ジルーであった。ワールドカップでは得点をあげることができず、この日もチャンスを作ることができてもゴールをあげることができない。5月末のアイルランドとの親善試合でのゴールはロシアでの活躍を予感させるものであったが、ワールドカップ直前の米国戦での頭部の負傷の影響があったとはいえ、動きは悪くなかったが無得点の1トップとして世界チャンピオンになった。66分にデシャン監督はウスマン・ダンベレを投入する。
後半はドイツの攻勢がさらに激しくなった。このドイツの猛攻からフランスを救ったのが初代表のアレオラであった。アレオラはこの試合で6セーブを挙げる。アレオラの活躍で新旧の世界チャンピオンの対戦はスコアレスドローとなる。アレオラは代表デビュー戦でマンオブザマッチに選出されたのである。（続く）
