第2387回 UEFAネーションズリーグが新設(7) ワールドカップ予選敗退から立ち上がるオランダ
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■記念すべきUEFAネーションズカップの初ゴールはポーランドのピエトル・ジエリンスキー
9月6日に行われたUEFAネーションズカップの初戦でフランスはアウエーでドイツと引き分けた。リーグAの他のグループはそれ以降の日に行われ、グループ2は8日に開幕、スイスがアイスランドに6-0と快勝している。グループ3は7日に行われイタリアとポルトガルが1-1の引き分け、この試合の40分にポーランドのピエトル・ジエリンスキーが先制点をあげており、これがUEFAネーションズカップのリーグAの初ゴールとなった。グループ4は8日にロンドンで行われ、イングランドはスペインに1-2で敗れている。
■ワールドカップ予選では第2シードのフランスが連勝
フランスの第2戦は9日に本拠地スタッド・ド・フランスでのオランダ戦である。地元での凱旋試合となる。対するオランダは今回のワールドカップ予選ではフランスと同じグループAに入って戦ったばかりである。予選組み合わせの段階ではオランダはFIFAランキング5位であり第1シード、フランスは当時は22位で第2シードに甘んじていた。しかしフランスは2016年11月の第3節でのアウエーでのオランダ戦で1-0と勝利し、2017年8月の第7節でのホームの試合も4-0と連勝する。オランダはフランスに連敗しただけではなく、ブルガリアにアウエーで敗れたのが響き、最終戦を迎える段階で2位のスウェーデンと勝ち点3差、ホームでの直接対決となったが、得失点差で19ポイントも差があり、絶望の中でキックオフを迎えた。オランダは2-0で勝利したものの、3位にとどまり、ワールドカップ出場を逃し、ヨハン・クライフの死去に加えてファンは悲しみにくれたのである。
■再起を期すオランダの新監督はロナルド・クーマン
そのオランダは予選終盤に監督をダニー・ブリントからディック・アドフォカートに変更したが、昨年10月に予選敗退が決まり、11月のスコットランド、ルーマニアとの親善試合を終えて監督を交代し、3月のイングランド、ポルトガルとの親善試合からロナルド・クーマンが指揮を執っている。ワールドカップ直前の5月末から6月にかけては同じくワールドカップ行きを逃したスロバキア、イタリアとの親善試合を行い、ほぼ1年ぶりに公式戦を戦う。
9月上旬にはインターナショナルマッチデーとして2試合を行うが、オランダは9日にはペルーとアムステルダムで親善試合を行っている。この試合はウェスレイ・スナイデルの引退試合になっている。
■オランダを支えた主力選手が大量に抜けた新チーム
ペルー、フランスとの対戦に向けて選ばれた23人の選手であるが、このうち昨年のワールドカップ敗退時に代表出場歴がなかったのはマルコ・ビゾート、パトリック・ファン・アーンホルト、マルテン・デ・ローン、ドニー・ファン・デ・ベーク、ルート・フォルマー、フレンキー・デ・ヨング、ジャスティン・クライファートの7人であるが、かつての名選手、パトリック・クライファートの息子であるクライファートは19歳である。これ以外に17歳で代表デビューし、オランダ代表の最年少記録を作ったマタイス・デ・リフトもまだ19歳であり、名を連ねている。オランダの誇る育成システムの生んだ若い選手がオレンジのユニフォームに身を包み、復活を期している。
逆に昨年8月にスタッド・ド・フランスでフランスとの前回の試合の先発出場した選手のうち、ダレイ・ブリント、ベスレイ・フート、アリエン・ロッベン、スナイデル、フィンチェント・ヤンセン、ティモシー・フォス・メンサーが代表メンバーから離れている。また途中出場したロビン・ファン・ペルシー、トニー・ビリェナも同様であり、交代出場を含めて出場した13人の選手のうち8人が1年後のメンバーから外れている。ブリント、ロッベン、スナイデル、ファン・ペルシーというメンバーがオレンジのユニフォームを不本意な形で脱ぐことになってしまった。一方、フォス・メンサーは当時19歳、フランス戦が代表デビュー戦であった。このような大一番に若い選手を代表に招集せざるを得なかったところに当時のオランダの苦悩が見られるのである。(続く)