第2388回 UEFAネーションズリーグが新設(8) オリビエ・ジルーの11試合ぶりのゴールでフランスが勝利
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■ドイツ戦の最大の収穫、アルフォンス・アレオラ
9月9日のUEFAネーションズカップ、フランス-オランダ戦はフランスにとってワールドカップ優勝から初めての国内での試合、いわゆる凱旋試合である。
オランダ戦の終了後にはワールドカップ優勝のセレモニーが控えている。この記念すべき試合の先発メンバーであるが、先発メンバーで注目すべきはGKと両サイドDF、そしてFWであった。GKは正GKで主将でもあるウーゴ・ロリス、第2GKのスティーブ・マンダンダが負傷で外れたため、所属チームのパリサンジェルマンでも出場機会の少ない4番手のアルフォンス・アレオラにチャンスが巡ってきた。アレオラはドイツ戦で代表デビューしたわけであるが、6セーブを記録するなどの大活躍であり、ドイツ戦の最大の収穫であった。本来の3番手のブノワ・コスティルを差し置いてオランダ戦でもゴールを守ることになった。
両サイドバックは右はバンジャマン・パバール、左はルカ・エルナンデスがロシアでのワールドカップに続き、ドイツ戦も出場したが、風邪をひくなどコンディションが悪く、右はジブリル・シディベ、左はバンジャマン・マンディを起用するのではないかと思われた。
■ワールドカップ前から10試合連続無得点のオリビエ・ジルー
またFWは1トップでオリビエ・ジルーをワールドカップでは起用してきたが、肝心のゴールから遠ざかっている。ワールドカップ前の5月28日のスタッド・ド・フランスでのアイルランド戦で得点をあげたのを最後に10試合連続で無得点に終わっている。これまでの代表で出場82試合、31得点をあげているジルーにとっては大スランプである。この原因はシュートの精度である。無得点に終わった10試合でのシュート本数は16本とやや少なめであるが、問題はその16本のうち枠内シュートが2本しかないことにある。カリム・ベンゼマも代表戦で15試合連続で無得点という記録を残したことがるが、ディディエ・デシャン監督は辛抱強く起用し続けた。しかし、人材も豊富で1トップではなく2トップにかえるなどのオプションもある。
■ドイツ戦と同じ先発メンバーで臨むオランダ戦
結局、デシャン監督はシステムを変えず、パバール、エルナンデス、ジルーを起用する。それ以外のポジションはドイツ戦と同じである。つまり、GK以外は8週間前に終わったワールドカップと同じメンバーで臨むことになる。
あらためてメンバーを紹介するとGKはアレオラ、DFは右からパバール、ラファエル・バラン、サミュエル・ウムティティ、エルナンデス、MFは守備的な位置に2人、右にエンゴロ・カンテ、左にポール・ポグバ、攻撃的な位置に3人、右にキリアン・ムバッペ、左にブレーズ・マツイディ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWはジルーとなる。
対戦相手のオランダはロナルド・クーマン監督に代わってからは初戦のイングランドに負けただけで2勝2分1敗、直前のペルーとの対戦も2-1と勝利している。
■記念すべき初ゴールはキリアン・ムバッペ、決勝点はジルー
2つの星のコレオグラフィーで飾られた満員のスタッド・ド・フランスに両チームの選手が姿を現す。リヨンに所属しているオランダのメンフィス・デパイのキックオフで試合が始まる。ドイツ戦とは逆にフランスは立ち上がりから攻める。14分にオランダのクインシー・プロメスのクリアミスをマツイディが拾い、ペナルティエリア内のムバッペにパス、これを右足で決める。フランスのUEFAネーションズリーグ初のゴールは新時代の寵児のムバッペが記録したのである。
前半はフランスの一方的な展開であったが、オランダも後半に入って盛り返す。67分にはリヨンに所属するケニー・テテがチームメイトのデパイとワンツーパスで前進、テテのクロスをニアポストに詰めたライアン・バベルがパバールに競り勝って同点ゴールを決める。
このところ4連勝と相性のいいオランダに追いつかれてしまったフランスであるが、決勝点を決めたのはフランスのファンが最もゴールを望んでいた選手であった。エルナンデスに代わって出場したマンディが75分にクロスをあげ、これをジルーがオランダの主将のフィルヒル・ファン・ダイクのマークをものともせずに左足でシュート、ジルーの11試合ぶりのゴールでフランスが2-1と勝利したのである。(この項、終わり)