第2389回 U-21欧州選手権本大会出場権獲得(1) 6大会連続で予選落ちしているフランス

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■育成に定評のあるフランスであるが、実績を残していないアンダーエイジの代表チーム

 9月に入ってからの本連載では新たに始まったUEFAネーションズリーグでフランスがドイツに引き分け、オランダに勝利したことを紹介していたが、この時期にフランスサッカーにはうれしい出来事があった。それは来年イタリアで開催されるU-21欧州選手権の出場権を獲得したことである。
 フランスサッカーの強さをその育成組織に求める指摘は多い。しかしながら、フランスのアンダーエイジの代表チームはフル代表ほどの成績を残していないのが事実である。

■5大会連続で予選落ちのオリンピック、6回しか本大会に出場していないU-20ワールドカップ

 例えば、フル代表に最も近い23歳以下で行われるオリンピック、初めてプロ選手の出場が解禁された1984年のロサンジェルス大会でフランスは優勝したものの、1988年のソウル大会では予選落ち、そして23歳以下と年齢制限のある大会となった1992年大会以降については1996年のアトランタ大会に出場し、ベスト8に進出しただけである。現在まで5大会連続で予選落ちが続いている。
 また、それに次ぐU-20ワールドカップ、かつてのワールドユースでも2013年にポール・ポグバ、アルフォンス・アレオラ、フローリアン・トーバンを擁し優勝はしているが、これまで21回のうち6回しか本大会に出場していない。

■6回連続で予選落ちしているU-21欧州選手権

 そして予選落ちした連続回数としてオリンピックを上回るのが2年ごとに開催されているU-21欧州選手権である。年代別のワールドカップやオリンピックという年齢制限のある世界大会は競技の普及、強化という観点から欧州からの本大会出場枠がフル代表のワールドカップに比べて少なくなっており、それがフランスが本大会に出場しにくい理由の一つである。
 しかし、欧州内の戦いである欧州選手権であるならば、それは理由にはならない。さらに、フル代表のワールドカップに出場しているアフリカの選手を見てお分かりの通り、アンダーエイジではフランス代表、フル代表は出自となるアフリカの国の代表を選ぶ選手も少なくないことから、本来はフランスのアンダーエイジの代表チームは競争力があるはずである。にもかかわらず、フランスはU-21欧州選手権で2007年大会から2017年大会まで6大会連続で予選落ちを喫しているのである。

■後にフル代表で活躍するメンバーでイスラエルに敗れた2007年大会予選

 この大会はもともとU-23欧州選手権として1972年に始まり、1978年大会からはU-21欧州選手権となった。2006年までは偶数年に本大会が行われ、2007年からは奇数年に行われるようになったが、最後の偶数年開催となった2006年大会はポルトガルで行われ、フランスはスティーブ・マンダンダ、バカリ・サーニャ、ヨアン・グルクフなどを擁し、準決勝に進出している。
 その大会の直後に行われた2007年大会の予選は3チームずつのグループリーグの首位になったチーム同士がホームアンドアウエー方式でプレーオフを行い、7つのチケットを争う。フランスは8月から9月にかけて行われたグループリーグでスコットランド、スロベニアに連勝し、プレーオフに臨む。プレーオフの相手はイスラエルである。10月7日にホームのカーン、11日にアウエーのイスラエルで試合が行われた。このチームの正GKはマンダンダ、控えはウーゴ・ロリスである。カリム・ベンゼマ、サミール・ナスリ、ラッサナ・ディアラ、ブレーズ・マツイディという後にフル代表でも活躍するメンバーが名を連ね、主将はリオ・マブーバである。フランスはイスラエルに先制を許し、ロナルド・ズバーのゴールで追いつく。フランスにとっては勝利が必要なアウエーの第2戦、両チーム無得点のままで後半のアディショナルタイムを迎える。フランスは守備を固めるイスラエルを崩せず、逆に93分にゴールを奪われ、1分1敗で本大会出場を逃したのである。
 ここからフランスのアンダーエイジの代表は長いトンネルに入ったのである。(続く)

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