第2405回 不振のドイツに勝利(3) アントワン・グリエズマンの2ゴールで逆転勝利

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■逆転を狙うドイツ

 不振とはいえ、前回のワールドカップ王者であり、ライバルであるドイツを本拠地スタッド・ド・フランスに迎えたフランス、チケットは前売りで完売し、ファンの関心も高い。勝ち点4のフランスが勝ち点1のドイツに勝利すれば、ドイツはグループ首位の可能性はなくなり、逆に最下位となってリーグAからリーグBへと降格する可能性が強くなる。その一方、ドイツがフランスに勝利すれば、この日試合のないオランダを抜いてフランスと勝ち点で並んで暫定首位となる。そうなれば2試合残しているオランダが有利に見えるが、オランダの最終戦はドイツ戦であり、ドイツのホームゲームであり、大逆転となる。

■連勝中に新選手が加わってきたフランス

 ワールドカップで優勝したチームのレギュラーがずらりと並んだフランス、このところの公式戦での戦績は10勝3分と13試合負けがない。最後に負けたのは昨年6月のワールドカップ予選のアウエーでのスウェーデン戦である。そのスウェーデン戦の先発メンバーを振り返ってみれば、このドイツ戦にも先発しているのはウーゴ・ロリス、ラファエル・バラン、ポール・ポグバ、ブレーズ・マツイディ、アントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルーの6人であるが、このドイツ戦に先発しているルカ・エルナンデス、バンジャマン・パバール、プレスネル・キンペンベはそれ以降に代表入りした選手である。連勝を続けながら若い選手が加わっているところがフランスの強さであり、ワールドカップや欧州選手権の1年前に新戦力が加わって優勝するという伝統を引き継いでいる。

■前半はドイツが圧倒、1点リード

 西ドイツ時代を含め、両国にとって31戦目となるこの試合はドイツのキックオフで始まった。なんとしても勝ち点3の欲しいドイツは立ち上がりから積極的に攻める。そして13分、ドイツのルロワ・サネのあげたクロスをキンペンベがハンドしてしまう。主審はPKをドイツに与え、ドイツはトニ・クロースがこのPKを決めて先制する。ドイツにとっては望む通りのシナリオが始まり、その後もドイツが優勢に試合を進めるが、フランスは主将のロリスを中心としてよく守り切って前半はドイツが1点をリードして折り返す。前半はシュート数こそ5本ずつで互角であったが、ボール保持率はドイツが6割を超え、クロスもドイツはフランスの倍以上の13本を記録している。

■ドイツ戦に強いアントワン・グリエズマン、後半に強いフランス

 後半開始時点では選手交代はなかったが、48分にようやくフランスは初めてのCKを獲得する。60分過ぎにはフランスが連続してCKを獲得する。62分には、エルナンデスからのクロスをグリエズマンがヘディングで決めてフランスは同点に追いつく。このゴールでフランスは盛り返す。
 公式戦で選手交代数が3人に制限されていることもあり、両チームなかなか選手交代に踏み切らなかったが、72分にドイツはこの日好調だったサネに代えてユリアン・ドラクスラーを投入、パリサンジェルマンの選手の登場にスタッド・ド・フランスは歓声が上がる。  そして79分、ペナルティエリア内でマツイディとマット・フンメルスが軽く接触し、このプレーをファウルと判定、今度はフランスにPKが与えられた。これをグリエズマンが決めてフランスは逆転する。グリエズマンは代表65試合目で26点であるが、ドイツ戦には相性がいい。1試合に2得点を記録するダブルをグリエズマンは2016年の欧州選手権の準決勝でも記録している。そしてフランスの対ドイツ戦の最近の6得点のうち4得点によるものである。
 フランスはこのままリードを守り、2-1でドイツに逆転勝ちを収めた。フランスはワールドカップ後の4試合行い、6点をあげているが、そのうち5点は後半に記録されている。勝ち点を7に伸ばしたフランスは、11月16日のオランダとのアウエーでの直接対決で引き分け以上ならば首位が確定する。ドイツは1位争いから脱落し、2018年になって6敗目となり、ドイツの年間6敗は史上最悪の記録を更新してしまったのである。(この項、終わり)

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