第2409回 10月のチャンピオンズリーグ (4) 四銃士の活躍でパリサンジェルマン大勝
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス勢に負け続けているレッドスター・ベオグラード
1991-92シーズン以来のチャンピオンズリーグの本戦に出場するセルビアのレッドスター・ベオグラード、フランスのファンにとっては1991年のチャンピオンズカップ決勝のマルセイユ戦が印象的であるが、欧州カップでのフランス勢との対戦はこのマルセイユ戦が最初であった。
それ以降はしばしばフランス勢との対戦を重ねているが、ことごとくフランス勢に敗れている。1998-99シーズンのUEFAカップでは本戦の1回戦(当時はグループリーグはなくすべてノックアウト方式)でメッスと対戦し、2戦とも2-1でホームチームが勝利し、PK戦の末、2回戦に進出したが、2回戦ではリヨンと対戦し、2試合とも敗れている。その翌年の1999-2000シーズンのUEFAカップは1回戦でモンペリエと対戦m1分1敗で初戦敗退となる。2005-06シーズンのUEFAカップでは総当たり1回戦制のグループリーグが採用されていたが、ストラスブールと引き分け、5チーム中4位で終わり敗退する。2011-12シーズンのヨーロッパリーグではプレーオフでレンヌと対戦し、2試合とも敗れ、最新のフランス勢との対戦である2012-13シーズンもヨーロッパリーグのプレーオフでもボルドー相手に1分1敗となり、本戦出場を阻まれている。結局PK戦を引き分けとカウントすると、レッドスター・ベオグラードはフランス勢相手に1勝3分7敗という成績であり、しかも強豪クラブとの対戦はマルセイユが最初で最後、パリサンジェルマンとの対戦はチャレンジである。
■渡航禁止のレッドスター・ベオグラードのサポーターを受け入れるパリ
一方のパリサンジェルマンは初戦こそ落としたものの、リーグ戦では8戦全勝、ホーム初戦で完勝したい。ところがパリサンジェルマンは思わぬ敵を迎えることになった。前回の本連載で紹介したとおり、レッドスター・ベオグラードは昨季のヨーロッパリーグでサポーターが人種差別的な応援という不祥事を起こしたが、罰金、無観客試合に加え、サポーターのアウエーゲームへの遠征禁止という制裁を受けている。したがって、本来はこの試合はセルビアからのサポーターはいないはずであるが、警備の網をかいくぐって2000人がパルク・デ・プランスに集結したのである。パリの治安当局は通常の国際試合以上の厳戒な警備体制を敷き、レッドスター・ベオグラードのサポーターのメトロの乗降などをエスコートするなどして今季初のパリでの国際試合を迎えたのである。
■次々とゴールを決めるパリサンジェルマンの攻撃陣
トラブルを恐れるファンも少なくなかったのであろうか、パルク・デ・プランスに集まった観衆は4万人に満たなかった。しかし、試合は黒いエア・ジョーダンのユニフォームのパリサンジェルマンが、全盛期のマイケル・ジョーダンのように躍動した。
最初の得点はネイマールであった。20分にゴールから約20メートルの地点でFKを得たパリサンジェルマン、ネイマールがキッカーとなり、赤と白の壁の上を通り越したボールはそのままゴールインし、先制点となる。その2分後には右サイドのキリアン・ムバッペからのクロスをネイマールが決めて、追加点。さらに37分にはエディンソン・カバーニが左足で得点、41分にもアンヘル・ディマリアが右サイドのトマ・ムニエからのパスを右足で合わせてゴール、4-0という大差で折り返す。
■ブラジル人として最多得点に並んだネイマール
後半になっても試合を支配したのはパリサンジェルマン、70分にはムバッペがカバーニのパスをゴール前で受けてシュート、ゴールが決まる。これでパルサンジェルマンは1トップと3人の攻撃的MFの4人全員が得点を記録した。ネイマール、カバーニ、ムバッペ、ディマリアの四銃士がそろって得点をあげたのはこれが4回目である。
71分に1点を返されたものの、81分にはゴール前25メートルの距離のFKを決めてハットトリックを記録する。チャンピオンズリーグで1試合に2本直接FKを決めたのは2009年のクリスチャーノ・ロナウド以来のことである。またネイマールはこれでチャンピオンズリーグ通算30得点となる。これはカカと並んでブラジル人選手として最多である。ネイマールをはじめとする四銃士の活躍でパリサンジェルマンは初勝利をあげたのである。(続く)