第2421回 最後の王座を逃したフランス(3) ファビオ・ファニーニとのエース対決を制したルカ・プイユ
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ダブルスにも出場するイタリアのエース、ファビオ・ファニーニ
デビスカップでは22年ぶりとなるイタリア戦、初日のシングルスはフランスのルカ・プイユ、イタリアのファビオ・ファニーニという両エースが勝利し、1勝1敗となった。
2日目のダブルスについてフランスはピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユというダブルスのスペシャリストで臨む。一方のイタリアは木曜日に発表した当初のメンバーはシモーネ・ボレリとパオロ・ロレンツィを予定していたが、ロレンツィに代えてファニーニを起用する。
ファニーニはボレリとペアを組み、しばしばトーナメントで上位に進出している。フランス勢にとって忘れられないには2015年の全豪オープンの決勝である。決勝の相手はエルベールとマユのペアである。ファニーニ・ボレリ組とエルベール・マユ組がこれまでに唯一対戦したのがグランドスラムの決勝であった。この決勝戦、6-4、6-4でイタリアペアが2セットを連取して優勝している。グランドスラムで初めてのイタリア人ペアの優勝となったのである。
■ストレートで勝利したピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユのペア
エルベールもマユも木曜日でメンバーが発表された時点からロレンツォに代わってフォニーニを起用してくると予想しており、特段の驚きはなくコートに入ってくる。その落ち着きが勝利をもたらしたのであろうか、フランスペアはサーブをミスすることもなく、確実にポイントを稼ぎ、第1セットは6-4、第2セットも6-3と連取する。週末とあって会場はイタリアのファンの応援に包まれたが、前日のシングルスでエースらしさを見せたフォニーニも第3セットは全く沈黙してしまう。第3セットはフランスペアが6-1と一方的なスコアで奪い、結局セットカウント3-0でフランスがダブルスをものにする。王手をかけて最終日のシングルス2試合を迎えることになったのである。
■エース対決となる第4ラバー
4月8日の日曜日、11時30分に始まる第4ラバーは両チームのナンバーワン対決となる。ATPランキング11位のプイユと20位のファニーニの顔合わせとなる。ランキングに加え、ファニーニは前日のダブルスも出場をしていることからプイユが優勢と思われるが、過去の2人の対戦は3戦してファニーニの2勝1敗と勝ち越しており、唯一のクレーコートでの対戦もファニーニが勝利している。このエース対決でプイユが勝利すれば、そのままフランスの準決勝進出が決まるが、ファニーニが勝利した場合は最終の第5ラバーでの決着となる。
前日の段階で第5ラバーはフランスはジェレミー・シャルディ、イタリアはアンドレアス・セッピと発表された。この2人の対戦成績は6戦して3勝3敗と五分の成績である。しかし、試合直前までメンバー変更は可能である。イタリアはセッピ以外のチョイスとしてはシモーネ・ボレリかロレンツォ、フランスは1回戦のオランダ戦で準々決勝進出を決める勝利をあげたアドリアン・マナリロが考えられる。
■デビスカップ改革に反対するルカ・プイユ
そのような駆け引きがある中で、両国のエースはコートに立つ。第1セットを奪ったのはイタリアのエースであった。ファニーニが6-2と先取したが、ここからプイユが挽回する。プイユは第2セットを6-1と取り戻し、タイスコアに持ち込む。第3セットは接戦となった。タイブレークとなり、これをプイユが制す。第4セットは勢いに乗ったプイユが6-3と取って試合終了、プイユは不安定な試合内容ではあったが、精神面でファニーニを上回り、それが最終スコアとなった。
プイユの勝利を支えた要因の一つとして彼のデビスカップに対する思いがある。プイユはデビスカップの大会形式の改革に反対である。ちょうど、このイタリア-フランス戦には改革を進める国際テニス連盟のダビッド・ハガティ会長が視察に来ている。その会長の前で気持ちの入ったプレーをすることがプイユの勝利につながり、フランスは前年に続いて準決勝進出を果たしたのである。(続く)