第2436回 2019年ラグビーワールドカップ展望 (3) 14人で戦い善戦した第2テスト
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■大差で敗れた第1戦から巻き返したいフランス
フランスのニュージーランド遠征、6月9日にオークランドのエデンパークで行われたオールブラックスとの第1テストは前半を11-8とリードして折り返しながら、後半にチームは崩壊状態となり、後半だけで7トライ44失点し、11-52という大差で敗れた。
第2戦は1週間後の16日にウェリントンに舞台を移して行われた。フランス時間ではこの試合の直後にサッカーのワールドカップの豪州との初戦が控え、それ以外にもルマン24時間耐久レースも行われ、また翌日にはフランス屋内のベジエで20歳以下のワールドカップの決勝がフランスとイングランドで争われるというスケジュールであった。
■第1テストから5人を入れ替えるが、主将はマチュー・バスタロー
フランスのメンバーはFWのフロントローは左からダニー・プリゾ、カミーユ・シャ、ウイニ・アトニオ、ロックはルルーとヨアン・マエストリ、フランカーは左にマチュー・バビヨ、右にケリアン・ガルチエ、ナンバー8にケビン・グルドン、ハーフ団はスクラムハーフにモルガン・パラ、スタンドオフはアントニー・ベロー、スリークォーターバックは左からガエル・フィクー、ジョフレイ・ドゥーマイルー、マチュー・バスタロー、テディ・トマ、フルバックはバンジャマン・フォール、5人が入れ替わっているが、バスタローがこの試合も主将を務める。
■12分にバンジャマン・フォールがレッドカード、1人少なくなったフランス
試合は11分にパラがペナルティゴールを決めて先制、しかし、その直後のベローのハイパントがこの試合を決した。落下点に入ったのはオールブラックスのスタンドオフ、ボーデン・バレット、ジャンプしてキャッチしようとしたところ、フランスのフォールが空中のバレットをタックル、危険なプレーでフォールはレッドカード、バレットは負傷退場となった。フランスは70分近くを14人で戦うことになった。その直後にフランスはトライを許し、ゴールも決まって逆転され、20分にもトライを奪われ、3-14と引き離される。30分にパラがペナルティゴールで3点を返し、前半終了直前に守備の乱れを突かれてトライとゴールを奪われ、6-21というスコアでハーフタイムを迎える。前半のうちに点差をつけられ、1週間前の再現かとファンは心配した。しかし、この日のフランスはここで崩れることはなかった。
■14人で団結して大量失点を許さなかったフランス
オールブラックスのプレーの精度が前週よりも良くなかったこと、そして1人足りないフランスは団結心を高めた。2試合連続してカードをもらったフランスであるが、規律のあるプレーを続けた。後半は57分にジョルディ・バレットにこの日2本目のトライを決められるが、その後はフランスはよく守りきる。そして後半の終了間際には22メートル付近からフランスのフォワード陣が突進して、最後は交代して出場してきたプロップのセダト・ゴメスサがトライをあげ、ゴールも決まり、ノートライを免れた。
フランスは人数的には劣勢の時間が長い試合となったが、ダブルスコアの13-26というスコアでおさめた。試合展開としてはフランスのファンは7年前の2011年のワールドカップの準決勝のウェールズ戦を思い出したのではないであろうか。この時は序盤の19分にウェールズの主将のサム・ウォーバートンが危険なタックルで退場となってしまう。精神的支柱を失ったウェールズであったが、逆にチームが結束し、フランスをノートライに抑える。フランスは防戦一方となったが、3ペナルティゴールを決め、1トライ、1ペナルティゴールのウェールズをかろうじて1点上回り、決勝に進出した。その日のウェールズの戦いをフランスのフィフテイーンは思い出したかの様な戦いであった。そしてそのワールドカップはニュージーランドで行われ、決勝ではフランスは逆に1点差でオールブラックスに敗れたのである。(続く)