第2437回 2019年ラグビーワールドカップ展望 (4) 後半に入って崩壊、オールブラックス戦14連敗

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■マチュー・バスタローに代わってモルガン・パラが主将

 ニュージーランド遠征の第2戦、ウェリントンでの第2テストは序盤にレッドカードによる退場者を出し、1人少ない状況が続いたが、チームが団結し、13-26というスコアでの敗戦となった。
 最終戦となる第3テストは6月23日にダニーデンで行われる。ちょうどロシアで行われているサッカーのワールドカップでもフランス代表は豪州とペルーに勝利し、早々と決勝トーナメント進出を決めており、それにあやかりたいところである。
 フランスのメンバーはFWのフロントローは左からダニー・プリゾ、カミーユ・シャ、ウイニ・アトニオ、ロックはベルナール・ルルーとヨアン・マエストリ、フランカーは左にマチュー・バビヨ、右にケリアン・ガルチエ、ナンバー8にケビン・グルドン、ハーフ団はスクラムハーフにモルガン・パラ、スタンドオフはアントニー・ベロー、スリークォーターバックは左からガエル・フィクー、レミ・ラムラ、ガエル・フィクー、テディ・トマ、フルバックはバンジャマン・フォールとなっており、センターの2人が第2戦とは変更があった。第1戦と第2戦に出場したマチュー・バスタローが出場しないことにより、主将はパラが務めることとなった。

■3試合先発メンバーが変わらないフロントローとハーフ団

 基本的に3試合を通じてメンバーの入れ替えは少なく、特にフロントローの3人、ハーフ団の2人はスターティングメンバーを固定している。プロップのプリゾ、フッカーのシャは第1テストが代表戦で初先発であり、それ以来3試合連続で先発となっている。プリゾはカメルーン生まれで、11歳の時に母親とともにフランスにやってきた。カメルーンではサッカー少年であり、フランスに来てからもサッカーを続けてきたが、17歳の時に初めてラグビーと知り合う。ラグビーを始めて4年でプロになり、名門スタッド・フランセの一員となり、現在は近年優勝争いを行うようになったラロッシェルの中心選手として活躍している。また、シャはこれまでは主将を務めていたギエーム・ギラドの交代要員という位置づけであったが、ギラドのいないチームにおいてスクラムの要となった1メートル78センチの選手である。

■9年前の最後の勝利をあげたダニーデン

 昨年の6月のフランスは南アフリカに遠征して3連敗を喫しているが、2年連続して3連敗というわけにはいかない。4年に1度結成されるブリティッシュライオンズが昨年はニュージーランドを遠征、テストマッチ3試合を含む10試合を行ったが、オールブラックスとのテストマッチの結果は1勝1分1敗という五分の成績であった。
 現在オールブラックスに13連敗のフランスであるが、最後に勝利したのがこのダニーデンの地であり、9年前の6月のことである。

■先制トライをあげた前半と一変して後半はチームが崩壊、大敗で通算14連敗

 試合はフランスは立ち上がりから良い動きを見せる。8分に主将のパラが負傷でベンチに下がるというアクシデントがあったが、代わって入ったバティスト・サランが12分にトライをあげる。ベローのゴールも決まり、7-0と先制する。その後、オールブラックスにはベン・スミス、トッドにトライを決められ、いずれもゴールが成功し、7-14と逆転されるが、28分位はフォファナがトライを決め、ベローのゴールも決まって14-14と追いつく。この日、オールブラックスで際立っていたのが負傷したボーデン・バレットの代役のダミアン・マッケンジーであり、28分に勝ち越しトライを決める。
 前半はフランスがボール支配率では上回っていたが、後半に入って崩壊する。ボールを保持することができず、タックルミス、パスミスを連発する。オールブラックスはリエコ・イオアンが3トライ、マッケンジーが1トライ、後半だけで25点をあげる。一方、フランスは無得点に終わり、第3テストは14-49と大敗し、オールブラックス戦の連敗記録は14となった。これは1908年から1927年にかけて記録したウェールズとの15連敗に次ぐ不名誉な記録となったのである。(続く)

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