第2445回 ジャイアントキリングの続くリーグカップ (1) リーグ上位が姿を消したベスト16決定戦
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■年初に続くカップ戦
前々回と前回の本連載はフランスカップにおいて1部勢の初戦となるベスト32決定戦についてお伝えした。下部のリーグのクラブと対戦した1部勢が次々と敗れ、18チーム中5チームがジャイアントキリングの憂き目にあった。
さて、1月は欧州では代表もクラブも国際試合がない。フランスの1月のサッカーは1部勢の場合、リーグ戦3試合に加え、カップ戦に関してはフランスカップのベスト32決定戦とベスト16決定戦、リーグカップの準々決勝と準決勝が行われる。リーグ戦の後半戦スタートの第20節は1月12日と13日の週末に行われるが、その前にフランスカップのベスト32決定戦、勝ち残っているチームはその後のリーグ戦再開前にリーグカップの準々決勝が行われる。すなわちチームによっては年末年始休暇明けにいきなりカップ戦を2試合戦ってからリーグ戦の再開を迎えることになる。今年はこのリーグカップ準々決勝で予想もしない結果が出た。今回からは第3のタイトルであるリーグカップについて紹介しよう。
■44チームが参戦した今季のリーグカップ
リーグカップは1部20チーム、2部20チームに加えて、それに準ずるナショナルリーグのチームが出場している。今季ナショナルリーグに陥落したブール・アン・ブレス、クビリー・ルーアン、トゥール、そして昨季ナショナルリーグに陥落したラバルの4チームがナショナルリーグから出場している。
大会規定は1回戦制のノックアウトシステムであるが、準決勝までは延長戦がなく、90分終了して同点の場合はPK戦となる。また、欧州カップの本戦もしくは予備戦に出場する6チームは本戦のグループリーグの終了した12月中旬に行われるベスト8決定戦から参戦することになる。そして、優勝リームは翌季のヨーロッパリーグの予備戦2回戦に出場することができる。ヨーロッパリーグの予備戦2回戦と言うのはリーグ上位のビッグクラブにとっては魅力的ではないインセンティブであるが、リーグ戦で下位に低迷するチームにとっては大きな意味がある。さらに地上波でのテレビ中継が充実していることもこの大会の特徴である。
■2回戦を突破した2部勢6チーム
このタイトルを目指す戦いは8月に始まり、2部20チーム、ナショナルリーグ4チームが参戦し、1回戦と2回戦が行われた。ナショナルリーグ勢4チームは1回戦で全部姿を消してしまう。結局8月末の2回戦を勝ち抜いた6チームはロリアン、メッス、ルアーブル、オルレアン、オセール、トロワであった。
リーグカップでは欧州カップに出場するチームはベスト8決定戦から参戦、すなわちベスト16の座は確保されている。したがって、それ以外の1部勢14チームと2回戦まで勝ち抜いた6チームを交えたチームが戦うのがベスト16のうち10の椅子を争うことになる。ベスト16決定戦は10月の末に行われた。
■リーグ2位のリール、3位モンペリエ、6位サンテチエンヌが初戦敗退
抽選のいたずらか、10試合のうち1部勢同士の対戦は5試合、1部勢対2部勢は4試合、2部勢同士の対戦が1試合となった。10月末の段階で欧州カップに出場していない中でリーグ戦で成績のいいのがリール(2位)とモンペリエ(3位)である。リールは7位のストラスブールとアウエーで対戦したが、0-2で敗れてしまう。モンペリエは13位のナントをホームに迎えたが、0-3と敗れてしまう。また6位のサンテチエンヌも16位ニームに終了間際に追いつかれ、PK戦で敗退する。リーグ上位のチームは欧州組のいないところで消え去ってしまう。
それ以外の1部勢対決はディジョンがカーンに勝利、最下位のギャンガンがアンジェをPK戦で下す。また2部勢の挑戦を受けた1部勢であるが、アミアンはメッスに追いつかれた直後に勝ち越し点をあげるが、スタッド・ド・ランスはオルレアンに先制を許し、試合終了間際に追いついたもののPK戦で競り負け、トゥールーズはロリアンに敗れている。また唯一の2部勢対決はルアーブルがトロワにPK勝ちしている。
2部からはオルレアン、ロリアン、ルアーブルの3チームがベスト8決定戦に進出したのである。(続く)