第2456回 イングランドに歴史的大敗(2) ミス連発、6トライを奪われ大敗
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■キャリア不足のリザーブメンバー
前回のワールドカップではフランスがベスト8、イングランドは予選プール敗退という結果であったが、その後の勝率はイングランドが8割なのに対し、フランスは3割にとどまっている。この3年間のチームの勢いの差が2月最初の第1節では明らかになった。
リザーブ選手の質も両国の差である。前年覇者アイルランドに勝利したイングランドは開始早々のジョニー・メイの電光石火のトライが印象的であるが、その後はいったん逆転され、29分に再逆転し、後半に入って差を広げている。一方のフランスは16-0と大差をつけて後半を迎えたものの、後半のスコアは3-24であり、逆転負けしているが、フランスが大逆転を喫している。フランスのリザーブメンバーはキャリアが少なく、インパクトプレーヤーとなりえていない。ブルネル体制の12試合において、試合開始時の15人の総キャップ数の平均は356であったが、終了時は233となる。試合終盤にリーダーシップを取れる選手がグラウンドにおらず、後半の崩壊を招き、選手起用、采配についてジャック・ブルネル監督には非難が集中する。
■マチュー・バスタローを起用、リザーブメンバーの経験不足は解消せず
そしてイングランド戦、ブルネル監督はメンバーを大きく変える。キャリアの少ない若手を先発させ、ベテランをインパクトプレーヤーとしてリザーブに据えるべきという世論であったが、ブルネル監督がトゥイッケナムの芝の上に送り込んだ先発フィフティーンは次のとおりである。フォワード第一列はジェファーソン・ポワロ、ギエーム・ギラド、デンバ・バンバ、ロックはセバスチャン・バーマイナとフェリックス・ランべ、フランカーは左にヤクーバ・カマラ、右にアルツール・イトゥリア、ナンバー8にルイ・ピカモール、ハーフ団はスクラムハーフにモルガン・パラ、スタンドオフはカミーユ・ロペス、スリークォーターバックは左からガエル・フィクー、ジョフレイ・ドゥメル、マチュー・バスタロー、ダミアン・プノー、フルバックはヨアン・ウジェである。リザーブの8人のうち2人は代表未出場、4人が1キャップのみ、合計でわずか25キャップである。イングランドはジョージ・フォード、ジャック・ノーウェル、ネイサン・ヒューグというビッグネームがベンチにおり、リザーブ8人の合計キャップ数はフランスの約10倍の249である。ベテランを復帰させたブルネル監督に対し、フランスのファンは失望する。
驚きはバスタローを先発に復帰させ、ウジェは代表では初めてフルバックを務めることになる。バスタローの復帰に対してフランスのファンは失望し、イングランドは警戒感を強めた。
■ジョニー・メイ、早くも25分にハットトリック
試合は悲劇的なものとなった。開始1分、フランスはノックオン、このボールがイングランドに渡り、守備陣形の整わないフランスに対し、イングランドが前進、エリオット・ダリーが左隅にキック、これをメイが拾って先制のトライをあげる。メイはアイルランド戦に続いて開始早々のトライを決めたが、イングランドは5試合連続で開始3分以内にトライをあげた。
23分にはゴールポスト真下のラックから左に大きくロングパス、メイがインゴールに持ち込む。さらに29分にはハイパントの処理をピカモールがミス、こぼれたボールを左ウイングのクリス・アシュトンが蹴り、これがプノーとウジェの間のスルーパスのように決まり、メイがキャッチしてトライ、早くもハットトリックとなった。過去10試合の平均失トライ数が3.1というフランスには、大敗の予感が漂う。35分にはターンオーバーしてプノーが1トライを返すが、これが最後の得点となった。前半終了間際のヘンリー・スレイドのトライでイングランドは30-8と大差をつけて折り返す。
■後半もリズムは変わらず、8-44と記録的大敗
後半に入って50分、試合は決定的になった。ロペスのパスをスレイドがインターセプト、大きく前進して、右隅にキック、このボールを追っていたアシュトンに対し、フィクーがノーボールタックル、ペナルティトライとなり、フィクーはシンビンとなる。その後もファレルのトライとゴールが決まり、イングランドが44-8という記録的大差で勝利したのである。(この項、終わり)