第2473回 フランス勢、ベスト8に残れず(3) リヨン、レンヌともアウエーで敗退

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3月中旬に準々決勝進出をかけた第2戦を迎えるリヨンとレンヌ

 前回の本連載で紹介したレンヌ-アーセナル(イングランド)戦が行われたのは3月7日、その前日にはパリサンジェルマンがマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)にベスト8への道を断たれているため、フランス勢の望みはチャンピオンズリーグのリヨンとヨーロッパリーグのレンヌの2チームとなった。
 リヨンは3月13日、レンヌは14日に第2戦を迎える。両チームの第1戦の結果を確認すると、リヨンはバルセロナ(スペイン)にホームで0-0のスコアレスドロー、アウエーで勝利するか、得点をあげて引き分ければ勝ち抜きとなる。そしてレンヌはホームで3-1と勝利しているため、アウエーで勝てば勝ち点でベスト8進出が決まり、得点を奪って引き分けてもよい。負けた場合でも1点差、あるいは2点以上奪って2点差であれば、勝ち進むことになる。

■先制点はリオネル・メッシのパネンカ

 バルセロナのノウカンプ競技場が舞台である。第2460回の本連載で紹介した通り、リヨンはこれまでバルセロナに勝利したことがなく、通算成績は3分4敗、しかし、ここで初勝利をあげれば久しぶりのチャンピオンズリーグでの準々決勝進出となる。第1戦は出場停止だったナビル・フェキルも出場し、オレンジのユニフォームにキャプテンマークを巻く。
 だが、この試合で輝いたのはバルセロナのキャプテンを務めたリオネル・メッシであった。18分にルイス・スアレスがペナルティエリア内で倒され、バルセロナにPKが与えられる。ペナルティスポットにボールを置いたのはメッシである。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント、第1戦をスコアレスドローで終えて迎えたホームの第2戦、勝てばよい試合の先制機、9万人を超える満員の観衆の前で、通常ならばゴールの隅を狙うであろう。ここでメッシはあろうことかパネンカ、すなわちチップキックでGKの正面にボールを蹴ったのである。リヨンのアントニー・ロペスは見事にあざむかれ、バルセロナが先制する。パネンカは昨年11月のヨーロッパネーションズリーグでリヨンに所属しているオランダ代表のメンフィス・デパイがかつてリヨンに所属していたフランス代表のウーゴ・ロリスから決めており、フランスのファンは4か月前の悪夢を思い出した。バルセロナは30分にフィリペ・コウチーニョが追加点をあげて、2-0で前半を折り返す。

■リヨンの希望を砕いたメッシの追加点

 リヨンも後半に入って57分、CKからのチャンス、ゴール前の空中戦からヘディングで落としたルカ・トゥサールが1点を返す。次の1点を奪えばリヨンの勝ち抜きとなる。
 しかし、リヨンの希望を砕いたのはメッシであった。78分にブスケッツからのパスを決めて2点差となり、決定的な差となる。さらに81分にはジェラール・ピケ、86分にはウスマン・デンベレが追加点、5-1という見事なスコアでバルセロナが準々決勝進出を決める。

■ピエール・エメリク・オーバメヤンの活躍の前にレンヌは沈黙

 その翌日にエミレーツ競技場で行われたアーセナルとレンヌの試合も悲劇的な結膜となった。第1戦で精彩を欠いたアーセナルのエース、ピエール・エメリク・オーバメヤンが5分に先制点を奪うなど大活躍をみせる。オーバメヤンは15分にもアーロン・ラムジーとのパス交換からクロスをあげて、エインズリー・メイトランド・ナイルズが追加点をあげる。この時点で2試合通算スコアは3-3となり、アウエーゴールの多いアーセナルが優勢である。試合時間の残りはたっぷりとあり75分、しかし、この日のレンヌは1週間前とは異なり、試合の主導権を握ることができず、終始守勢にまわる。オーバメヤンは終盤の75分にも得点をあげ、全得点に絡む活躍で第1戦での汚名をそそぐ。レンヌは快進撃の支えとなってきた両サイドからの攻撃を封じられ、得点をあげることができず、0-3と完敗、ベスト8に入れなかった。
 フランス勢は8年ぶりに欧州カップのベスト8に入ることができなかったという残念な結果に終わったのである。(この項、終わり)

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